chuka's diary

万国の本の虫よ、団結せよ!

トランプのアメリカ:モラーレポートが公開された!?

4月18日、ロシアによるの大統領選介入事件の捜査に当たったモラー特別検察官による『モラーレポート』が予定通り米司法省から一般公開された。公開は司法長官バー氏の報道記者会見の後に予定され、その前にCD-ROMで公開されるというのが流れ、今時これを使う人がいるのか?という苦笑がでた。結局このレポートはネットで直接公開された。
 
しかし前哨戦が凄かった。まず民主党が実権を握る下院監視委員会はバーの能書きは不必要、と前夜に記者会見を止めろ、と公式に要求した。というのは、絶対多数の法曹系コメンテーターは、司法省内部メモによって、司法省が現職大統領を犯罪容疑で起訴することを禁止していることを理由に、モラー特別検察官は報告書を議会と市民に向けて書いた、結論ずけたからだ。
 
以前説明したように、政府高官の政治的任命というものが悪用されるとどういう結果を招くか、今回のバー長官のモラーレポート公開阻止行為はそのいい例だ。
 
モラー捜査は2017年の5月、トランプが大統領に就任して4カ月後、当時FBI長官だったコミー氏を不意打ちして突然クビにしたことから、臨時代理長官となったマケイブ氏が司法省にかけあって特別検察官モラー氏を任命させたことから始まった。政府とは独立して、トランプ及びその身辺を徹底的に捜査しロシア大統領選介入のトランプ側の動きとの関連性を解明する目的だった。だから、これは最初から大統領をターゲットとした捜査であり、トランプが執拗にツィートしている‟魔女狩り”だ、というのも当たらずとも遠からず。これが公平な視点だと私は思う。
 
モラー捜査官は総勢40人以上のスタッフを雇い、2800件の召喚命令を出し、証人500人を直接インタビューし、約500件の捜査令状を取り、13国に接触した。捜査過程で34人と3つの組織が起訴された。その中には民主党本部をハッキングしたロシア陸軍諜報部のメンバーも含まれている。しかし、親玉プーチンは起訴から外されている。
 
公開されたモラーレポートはレインボーレポートにはならなかった。黒塗りされた部分に理由についてカラーコードがチョコンと付いている、というしろもの。しかし448ページもあり、プリントしたものは高さ3インチぐらいか、TVではファイルにされていたが、ずっしりと重そうだった。
 
このモラーレポートに先立つもう一つのレポートがある。これは‟スティールドシエ”と呼ばれている。民主党のEメールが盗まれたとわかった直後に民主党が元英国諜報員で私的調査機関を運営していたスティール氏に依頼し調査を行った。ドシエという聞きなれない英語はフランス語で探偵録を意味する。このレポートはトランプ就任前後に関係者に出回り、FBI捜査の根底になった。だからトランプは犯罪者ヒラリーの陰謀と見ている。その中にはトランプがミス・アメリカ世界大会でモスクワ滞在中にロシア側に売春婦の目の前でおしっこした場面(=Golden Shower)の隠しビデオを撮られ、脅迫を受けている、というがあった。その件に関してもモラーレポートは触れている。トランプはこのビデオの存在を早くから知っていたが、問題のビデオが本当に存在するのかどうか、モラー捜査では確定できなかった。
 
 
もっとも黒塗りの部分が多いのは、ロシアと大統領側の共謀容疑関連のパートである。
とにかくモラーレポートの内容は詳細で、これまで報道されていた多くの謎の点がをモラー氏によってはうまく線で繋げられている、という評価だ。
モラー報告書によると、トランプサイドには共謀を構成する要素、特に双方の合意・共有されたプランがない、というのでこの捜査結果では陰謀罪で起訴するに値しない、という結論となっている。
 
もともとこのハッキングは、トランプが選挙運動中にステージで、‟ ロシアよ、どうか極悪人ヒラリーの失なわたEメールを見つけて、公開してくれ”と演技力たっぷりに聴衆に叫んだ事が発端だった。ロシア側は五時間後に民主党本部にサイバーアタックを試みた。その後、ロシア陸軍諜報部は民主党本部のハッキングに本当に成功した。
 
プーチンはクリントン候補に恨みがあるらしく、クリントンが大統領になるのを阻止したかった、そして米ロ関係の向上を狙っていた。具体的には経済サンクションの廃止とオリガルヒを使っての米での金儲けである。トランプはモスクワにトランプタワーを建てたくて頭が一杯だったから、彼の大統領候補はロシアにとって絶好の機会となった。
多くが黒塗りされているので詳細は明らかでないが、ロシアとトランプ側はかなりの回数でコンタクトしていた。起訴されたフリン元国家安全保障長官は長官に任命される前にトランプの手下としてサンクション緩和についてロシアとコンタクトしていた。フリン氏は海兵隊を退役した後は金儲けに専念、外国から金を受け取りながら、税金申告は勝手にスルー。外国のロビーストである登録もしていなかった。理由はグリード(強欲)である。
 
だから、フリンはモラー氏より捜査協力により減刑嘆願も得たが、昨年刑を決める判事から、あなたの罪は国家反逆罪、と指摘され、刑期決定が延期された。フリン氏は退役海兵隊大将なのだ。一体どの顔下げて合衆国と自由を守る為に危険覚悟で闘ってくれ、というつもりか?
 
しかし、トランプ側は嘘と違法な捜査妨害でモラー捜査に敵対だ。
たとえば、大統領報道官のサラ・サンダース。
FBIのロシア介入の捜査を止めさせないコミ―長官をクビにした事件に際して、FBI内部からたくさんの賛同を得た(つまり現職の大統領捜査に反対している)、コミ―はFBIで人気もなく、仕事のできない人だからクビになった、とTVで散々にけなしたのだが、モラーレポートによれば、これは彼女の全くの作り話と彼女自らが認めた(疑わしい、トランプからだと想定される)。とにかくこういう人が大統領報道官として白昼堂々とウソの中傷をまき散らしたということになる。
 
 
昨日はTVで一日中モラーレポートの解釈を法曹コメンテーター達がしていた。今日はグッドフライデーでこれから3日間米はイースターホリデーに入り、学校は今日は休校。バー司法長官はこの祝日連休を狙ってレポートを公開し市民の矛先をそらすのが目的、という非難がフェイクニュース側から流れていたが、モラーレポートを読むには少なくとも2日はかかるそうで、今日は皆休みを利用して読んでいる最中だそうだ。結局これはグッドタイミングだったのではないだろうか、と私は思う。
 
昨日のバー氏のモラーレポートの解釈は自説の大統領権限拡大論、つまり背任特別捜査は憲法違反、に沿ったもので、実際のモラーレポートの内容とは反対であることが公開でバレてしまった。
捜査妨害容疑では結論は正反対。しかしトランプ起訴は議会による弾劾か、大統領終了後に民間人として起訴されるのか、選択があることを開示している。
 
NYタイムスの公開前夜の特報は正しく、大統領側はすでにモラーレポートを事前に見ており、40ページぐらいの反論を公開前からすでに用意しているとの事だが、その反論はまだ公表していない。
トランプ氏は冬のホワイトハウス、マー・ラーゴ・ゴルフクラブの別荘で早朝ツイート。
 
Statements are made about me by certain people in the Crazy Mueller Report, in itself written by 18 Angry Democrat Trump Haters, which are fabricated & totally untrue. Watch out for people that take so-called “notes,” when the notes never existed until needed. Because I never....
拙訳:キチガイモラー・レポートの私に関する各人の証言は、実は18人の怒れる民主党トランプ・ヘイター達が書いたもの、捏造されたもので全くのウソ。いわゆる‟ノート”を取っているヤツに気をつけろ、このノートは都合に応じて現れるぞ。・・・
 
というように出来るかぎりトランプ英語のニュアンスに合わせて訳してみたが、モラーレポートで無罪証明された、と宣言している人の書く言葉ではないことは明らか。これを読んでもツィートしている人の頭の中の回線がどこかおかしいとは思わないか?
ノートの部分については明確な意味は不明だが、どうやら、彼がクビにしたコミ―氏などのFBI高官達(コミ―氏はトランプとの対話はすべて直後にノートし、その内容をモラー氏に送った述べている)や、モラーをクビにしろ、とせまったが逆に断られ、こんなバカやってられないと辞職したドン・マゲーン弁護士がノートを取る人達だったところからきているようだ、とNYタイムスは解釈していた。
 
 

トランプのアメリカ:モラーレポート公開前夜

明日の朝、米時間では 4/18、日本時間では 4/18 の真夜中ぐらい、いよいよモラー報告書が一般に公開されることになった。 まず午前9時にバー司法長官とローゼンスタイン副長官の報道記者会見が開かれ、実際のモラーレポートの一般公表は昼過ぎになる予定だそうだ。
その後に、トランプ自らも報道記者会見をする、という話も流れている。
 
これは一体どういうことなのか?皆理解に苦しんでいる。
 
フェイク・ニュース側は、能書きはいいからとにかくモラー・レポートを公開せよ、と要求していた。
しかし、このモラーレポートは非公開箇所を真っ黒に塗りつぶした敗戦直後の日本の教科書みたいになっていると最初から予想されていた。しかし、バー司法長官は、先週、黒だけじゃなく、赤、黄、青等々に色分けて塗りつぶす、と議会で述べたので、この報告書は『レインボーレポート』だと冗談を飛ばすTVコメンテーターが続々現れた。
 
当然、下院では塗りつぶしなして提出せよ、と要求、バー司法長官が拒否すれば、裁判所に提訴、その間モラー特別検察官本人を議会に召喚ということになるだろう。
なぜこういう事態になったのか、という原因を追究しても今は無駄だ。とにかく明日のその時を待つより他はなし、というのが本日の米の最大ニュースである。
 
Image: What to Expect from the Mueller Report
 
上はこの事件の関係者達。向かって左側、バー司法長官
彼はトランプによる政治的任命である。バー氏は若い頃パパ・ブッシュ大統領の任期の終わりに司法長官に任命され、当時のイランコントラ・スキャンダルで政府にウソをついたとして連邦裁判所に起訴された関係者、政府高官も含めて、全員を大統領恩赦したので有名だ。
トランプの目にとまったのは司法省つまりトランプに、大統領権限があるので大統領を捜査する特別検察官設置は違法、モラー捜査自体も違法、という法的意見書を送りつけ、前任者セッション元上院議員に辞職させ、誰もなりてがなかったポストに志願した。ブッシュ時代にも大統領権限が国際法に先行する、という主旨のメモを司法省で書き、後で議会に公開を要求され、モラーの時と同じように、自分で『結論サマリー』を書き拒否したという過去があるそうだ。このメモは後に公開され、バーのサマリーとは内容が違っていたことがつい先だって明らかにされた。
 
隣はモラー特別検察官。FBI長官を務めたこの人は悪人を取り押さえるのが大好きで、司法省を引退後弁護士になったのだが、顧客に、アンタ、どう見ても有罪じゃないか、と言いかねない人、とモラー氏の知人が冗談のタネにしていた。
 
トランプについてはいろいろな事が書かれている。フェイクニュース側はトランプは政治家というよりマフィアのボスと見た方がふさわしい。忠誠心を何よりも大切する男。裏切り者は徹底的に痛めつけて消せ、というパターンだ。かなりボケが進んでいるらしく、あちこちで、私の父はドイツ生まれのドイツ人、とやっているが、気を付けなければならないのは、彼のいうドイツ人とは、敗戦前のユダヤ人撲滅を目指したドイツ人のことだ。日本人は白人が大好きだが、白人の中には有色人種やユダヤ系を機会あるごとに虐待しようとする人がいる。しかしなぜかトランプは日本の政治好きの人々に大人気。しかもトランプは踏んだり蹴ったりされてもついてくる、安倍ポチがとても気に入っている。
 
向かって右側はトランプ・Jr。トランプの長男だ。この若者はカジノ・タイクーンと自称していた若きトランプとしゃべり方も似ている。しかし、トランプの家庭環境は複雑で、トランプはこの長男に常に苛立ちを感じていると言われている。トランプのお気に入りは娘のイヴァンカと彼女の夫、クッシュナーだ、というのが定評となっている。それで、この長男様は父親に気に入られたいのか、反対派を刺激する問題発言を次々起こしている。トランプは不必要な事をして、と常にご機嫌ななめとか。
ところで、この長男様にウィキーリークスがコミュニケーションをしていた、という憶測が流れている。なぜ、この長男様が他の偽証者と同様に起訴されなかったのか?その事も含めて、この長男様の中でのロシア介入事件の役目もモラーレポートで明らかにされる、と見なされている。
 
さて明日は朝から実況中継だそうです。これからベッドに行きます。

再び:小野田寛朗の不都合な真実

拙ブログのツイン版、Hatena Blog、 chuka's diaryに数日前に下のようなコメントが送られてきました。記事は『小野田寛朗の不都合な真実』です。
 
 
 運悪く現地を通った旅行者
現地ではただの連続殺人犯扱い。戦後も敵兵士ばかり殺害していたなら英雄扱いは妥当だが、実際は民間人ばかり殺害していた。
被害者家族には謝罪の言葉もなく、何の保障も無かったそうです。感覚としては伊藤博文を暗殺した犯人が故国では英雄として奉られている事を不快に感じるのと同じで、日本で英雄扱いなのは不快に思うそうです。
当時の日本軍において、敵国の民間人を殺害する事は、日本軍人として当然の事だと言われたのであれば、教育を施した軍が悪いから仕方ないけど。
日本人のイメージが悪くなるから、現地の情報を無視した当時のマスコミの報道の仕方にも問題があった。
コメントありがとう。
 
小野田さんのように三十年あまりを戦争後孤立化、そのままサバイバルして生還した人が三人いたのをご存知でしょうか?
 
1) 横井庄一 1972年帰国、当時57歳 陸軍軍曹 グアム島 終戦後グループで逃亡生活を送っていたが、いさかいが原因で一人で生活を始める。残りのグループは全員死亡
 
2)小野田寛郎 三人グループで逃亡生活。1972年、最後の食料収奪に失敗、小塚軍曹の死、で1974年に投降の儀式を通して帰還。
 
3)中村輝夫 1974年12月、52歳、軍国少年で志願して軍港少年で台湾歩兵第一連隊、太平洋モロタイ島から帰還、日本に帰りたいという希望だったが、ジャカルタ経由で台湾へ帰国させられた。
モロタイ島からの最後の日本人帰還兵は1956年だった。中村さんは原住民のように裸で暮らしていた。島の住民の一人が彼の友人になり、彼から補助を受けていた。
 
3人のうち住民を襲撃、略奪した彼らの食料や生活必需品で生存していたのは小野田さんグループのみです。
 
小野田寛朗著となっている『わが三十年戦争』はたちまちベストセラーとなり、英訳もすぐ出ました。
 
彼の本はアマゾンジャパンでも結構いい値がついて、決して捨て値では売られていません。英訳‟NO SURRENDER My Thirty-Year War ”は名作とされ、今日に至るまで多くの人々に読まれています。
ところが原作については、ゴーストライターの津田信という作家が、1977年に『幻想の英雄』という本を出し、小野田さんのは自分が想像力を駆使して売れるように書いた、と告白したので、かなり話題となったようです。しかし、その時はすでに小野田寛朗はブラジルに去った後。将来帰ってくるのかどうかも分からない、と思われ、彼も日本ではもう過去の人となっていたのです。
だから今日と当時の日本の小野田評価はかなり違っていました。  
 
ところで英訳本を読んでみますと、かなり興味深い事を発見しました。拙ブログでも取り上げましたが、小塚一等兵の死の場面は嘘らしい。
心臓を撃たれた後、本の中に描写されているようにしっかり意識があり判断力もある人間はいません。また死ぬ瞬間に涙を流す、というのも生理学的に疑わしい。しかし事情はどうあれ、小野田寛朗は小塚さんの銃を手に小塚さんとは反対方向に向かって逃亡したのは確かなようです。
 

英訳によると、小野田寛朗の銃は前から問題があったことが述べられています。だから小塚さんが肩を負傷し取り落とした銃を拾って逃げたという事は充分あり得ることです。銃がなければサバイバルは不可能。待っているのは餓死か住民・警察に撃ち殺されるか、のどちらかでしたから。

 
もともとこの襲撃は稲を刈ったあと、田んぼの傍で稲束を干す作業を狙ったものです。棒や竹などで枠組みをこしらえ、その上に水分を含んだずっしりと重い稲束をかけて数日間干すわけですが、日本人の多くはもうこういう稲作の行程は知らないんじゃないでしょうか。
小野田・小塚組はその時を待ち構え、収穫したばかりの稲束に火をつけて住民を恫喝することが目的、と書かれています。
しかし、当時はすでに小野田組に対する警察と住民の間の緊急警戒態勢がほぼできあがっていた、小野田組もそれを承知で放火を実行したのですが、小塚さんが、住民が逃げ、残された昼食の鍋を失敬しようとして思わぬ時間をくい、村人達が警察を連れて戻ってきたことで、小塚さんが撃たれてしまったのです。
私は拙ブログで小野田組はコメを持たない、食べない、と津田さんの本の情報をもとにして書きましたが、昔の日本人でコメなくして生きていけるわけがない。ルバング島の残留日本兵達も取り分のコメをめぐって醜い争いがあったと小野田寛朗も報告しています。おそらく稲の束を焼いたのもコメがたべられない自分達の嫉妬やコメを主食にしている住民に対する憎しみの感情があったのではないか、と推測します。
 
小野田寛朗は終戦時、最下位の見習い将校でした。将校というのは指揮官で兵卒は指揮官の命令に従うのが軍の基本的規律です。これなくしては近代的軍隊は成立しない。しかし日本陸軍内部の精神構造は近代的とは程遠く天皇を神とした古代的神軍組織という異常なものでした。小野田寛朗は一時的にしろただ一人の生き残り将校となり、兵士を指揮する立場になったのです。近代軍隊なら指揮官は負け戦はしないで投降というのが一般的ですが、日本軍は自分を犠牲にして死ぬまで戦い、敵に損害を与える、という言わば地獄の軍隊です。そこで小野田寛朗少尉見習いの選択はどちらでもない、ジャングルで何が何でも生き延びる、ということになったのです。
 
民間人殺害は日本軍でも禁じられていました。しかしそれを守らせるのは指揮官の責任です。戦闘が最悪化すれば占領地で繰り返し起こっています。この現象は今日も同じです。しかし表面は近代的な日本陸軍が大っぴらに中国民間人を殺戮、女性を強姦、さらに占領地の現地女性を軍の慰安婦として性的虐待を行ったのは、世界的にも驚きです。ここでの慰安婦は半島からの慰安婦ではなく、オランダ人や中国・インドネシア島の占領地の女性達のことです。何かが狂ったとしか言いようがない。
 
小野田寛朗の帰国に対する当時の日本社会の反応は政府の音頭取りにも関わらず、決して甘いものではなかったようです。
実は私は一度だけ小野田寛朗を近くで見た事があるのです。場所は皇居二重橋前の広場です。終戦の日に人々が集まり嘆き悲しむ写真が残っていますが、その日はもちろん、ただの砂利を敷き詰めた人影まばらな空間でした。昭和天皇は小野田は全く無視です。皇居前の二重橋の見える地点で黙って頭を下げていた彼の姿が印象的でした。小野田自身もこれ以上問題になるのを恐れて、ブラジルに逃げ去った、というのが当時の見方でした。小野田寛朗が最後の日本兵としてヨイショされるようになったのは、日本の奇妙な右傾化と安倍政権のせいでしょう。
 
『ジャングルでのサバイバル』の為に、多くの住民が小野田組に残虐に殺されました。伊藤博文暗殺犯人は日本の司法制度下で死刑になりましたが、これらの犠牲者の方々に社会的法的正義はいつなされるのでしょうか?

トランプのアメリカ:ボケが始まる!?

このところアメリカでは毎日にようにトランプ・ニュースが続出、ついていくのも一苦労。
 
今のところ、最大ニュースはモラー特別検察官の最終報告書の行方だ。
自己の潔白が証明された!と諸手を上げてのぬか喜び。乗りにのって、オバマケア全面廃止をトランプは宣言した。それからメキシコ国境全面封鎖、と次々に先制攻撃に転じた。しかしこれらの新方針についてはトランプ付きお守り役の人々は事前に知らされていなかったようだ。
 
ボブ・ウッドワードのベストセラー、‟Fear"の内容のほとんどは、トランプの突発行動を阻止しようと必死に彼を見張っていた政府高官達の裏話の公開であるが、そういう人達はすでに政府を去り、ホワイトハウスは今やトランプの一人天下。この先何が起こるか怖ろしい限りだ。
この本を読んだので、おまけを一つ。トランプ夫妻は寝室を別々にしていて、普段は夫婦別行動だそうだ。
 
オバマケアとは米国の国民健康保険だが、共和党にはプレミアム(維持費)がオバマケアよりもっと安いケアを用意し2020年の選挙後に発表する、とトランプは宣言した。要は健康保険を餌に自分に投票を呼びかけているわけだ。しかし共和党の方ではそんな案は聞いていないし何も計画を立てていない、と答えている。
 
 
拙家族は国境閉鎖というニュースを聞いて、アボカドが食べられなくなる、とパニック気味だったのだが、共和党からも強い反対が出てすぐに一年延期に変更、となった。アボカドは野菜の女王様、アメリカ人も困るはずだ。
 
先月3月22日の金曜日の夕方、約2年間の捜査が終了、モラー特別検事は、直接の上役に当たるバー司法長官に捜査報告書手渡した。長官は文書で、これについてのサマリーを発表すると報道。
約束通り、25日の日曜日の朝、4ページ(実は3ページ半)のサマリー(要約)がバー長官によって発表された。ネットからの日本語訳版を前回に追加しておきました。
 
それには:トランプ陣営からのコンスピラシー=共謀、の証拠がない、調査妨害の証拠は不十分、という事から、誰も起訴対象にならない、というバー司法長官による判断が明記されていた。
 
よって不起訴なら内容自体も公開する必要性はない、という非常に高圧的な姿勢すら感じさせられる。このバー氏のサマリーを正面から受け止めたのが、トランプと彼のダイ・ハード(=die hard)サポーター達。一部の反トランプ派も、これで大統領の潔白は証明され民主党側は敗北した、と報道していたぐらいに米国市民に衝撃を与えた。
 
しかし、バー司法長官のサマリーの文章の一節一節が米国の法曹関係者、元司法長官や弁護士、法学者によって詳しく分析され、バー氏の判断を支えるモラー報告書からの具体的内容が何も示されていない、という結論が得られた。モラー長官からの直接引用は、『有罪とされるには確定証拠がなく、他の証拠からは無罪とはいえない』、という宙ぶらりん的断片のみで、意味から推定すれば、これはむしろバーの結論とモラーの結論は違う、ということになった。
 
その翌日はこのサマリーはバー長官自身による隠蔽工作ではないか、という疑惑をフェイクニュース側が一斉報道。その上、最初は機密事項で非公開と主張していたが、問い詰められて、バー長官は、モラー報告書は約400ページであること、それに他の引用や裁判関係資料を加えるとかなりの分量となることを公表させられた。
これはニクソンのウォーターゲート盗聴疑惑やクリントンのホワイトウォーター疑惑の捜査結果の報告書とほぼ同じ程度の分量。しかしそれをわずか2日間でよくサマリーとして要約できたものだ、という批判があちこちから出てきた。
 
そこで30日金曜日遅くにバー長官は、再び文書で返答。
これによると、彼のサマリーは実はモラー報告書のサマリーではない、と主張!??
それでは一体何なのか?
バー司法長官によれば、彼のはモラー検察官の報告書の最期の文章を直接反映したものだという。まったくあきれた話だ。
下院のナドラー民主党議員で司法委員会委員長はバー氏にモラー報告書全文を下院委員会に送るよう要求、バー氏が返事をしなかったので、今度はバー氏とモラー氏のコミュニケーション議事録を送るよう要求した。
 
ナドラー委員長のモラー報告書全文要求のデッドライン、4月2日を逃したバー司法長官は再び短い手紙で、モラー報告書の各ページに大陪審関係の内容が混じっているのでこの箇所を一つ一つチェックし黒線でカバーするのはかなりの時間がかかる、と返答。
 
米国は建国以来連邦裁起訴に大陪審制度を採用している。これは検察官の起訴濫用を防ぐ目的とした起訴に値する証拠のスクリーニングプロセスだ。このプロセスは非公開だが、議会に必要であれば連邦判事の許可を得てそのまま議会に送られる。これは過去のニクソン、クリントンの弾劾ケースでも報告書は議会に送られた。クリントンのケースでは、彼の任命した司法長官は報告書には全く手を触れなかった。
 
そのうち、これまで沈黙を続けていたモラー捜査チームからリーク=情報漏れ、が出始めた。
 
まず、バーのサマリーはモラーの報告書とは内容にかなりの違いがあるというのだ。
モラー報告書には一般公開を意図してサマリーがすでに用意されていたということ、しかしこのサマリーの存在までバー長官は隠していたのだ。
 
上のリークは昨日、NYT、続いてワシントンポストで報道された。
 
一方、トランプは自分の潔白がモラー報告書で証明された、と大喜び。
さらに、この捜査のオリジン(=源)となった該当者、つまりコミーFBI前長官やマケイブ代理長官を徹底捜査しろ、と報復を叫び始めた。
 
モラー捜査のきっかけを作った者達にリベンジを企てるトランプは、ホワイトハウスで報道陣を前にまくしたてたのだ。しかし、口から出てきたのは、『オリジン』の筈が実は『オレンジ』!下はその動画。本人も自覚している筈だと私は思う。それでもオレンジ!周りの人の顔は!?
 
実はこの日、トランプの記憶はまた混乱した。それは彼の父親の出身についてである。
トランプの父はNYのブロンクスで生まれた。しかしトランプは父はドイツ生まれのドイツ人移民だと報道陣を前に語ったのだ。
 
Netflexのトランプ一家のドキュ映画によれば、祖父はドイツ生まれのドイツ人だったが、この人は家族とのおりあいが悪く家出してアメリカに渡った。この祖父はアメリカで荒稼ぎしてドイツに帰ったのだが、徴兵忌避者だというのでドイツ国籍剥奪になった。それで米に戻ったといういわくつきの人だ。不法移民であった可能性も強い。もっともドイツ人は白人だから、不法でもお構いなし、という事になる。だからトランプの移民観を基にした政策がいかに人種偏見に依拠しているかわかるだろう。
 
トランプ(72歳)の精神状態には注意すべきだ、という声が米国民の間で日増しに高まっている。例のコンウェイ弁護士のトランプは人格障害というツィートの影響も大きい。
 
 
下はこの動画に投稿されたコメントの一つ。
 
@OWERFULL owerfull It's patently obvious from the video, from the history of similar behaviours, from the family history of dementia (his dad had Alzheimer's the last six years of his life).  He said his father was from Germany..  THREE times over the last 8 months.
拙要約:動画からも、彼の父はアルツハイマー型認知症で亡くなっていることからも、明らかだ。父がドイツ人だった、と八カ月の間に3回も繰り返している。

下はトランプが父はドイツ生まれのドイツ人だったと言っている動画。それから横のNATO代表にもっと金を出せとせまっている。凄いとしか言いようがない。
 
 

エイプリルフールの新元号、❝令和❞!?

4月1日、新元号、❝令和❞ がアベ政権によって公表。今年のエイプリルフールにふさわしいネタとなった。安倍政権側は従来のように中国古典からではなく万葉集からピックアップした漢字の組み合わせだから史上初の国風だと自画自賛。もちろんその根底には中韓を何とかして踏みにじろうというノスタルジアに満ちた戦前回帰願望がある。
拙ブログで戦時下の敵国・米側から見た日本文化をトピックにした。文化はある民族・地域に広く共有される風俗・習慣と一般的には解されているが、文化の各要素のほとんどが伝播され、時代に応じてさらに地域化したもの、と想定されている。進んだ文化を摂取する事はグループの生存がかかっていた。日本文化というのも同じだ。外来文化摂取と醸成のリピートだ。
歴史的には日本も朝鮮半島も固有の文字はなかったとされている。古代中国からの漢字を習得し、中国文化及び政治体制を習得する事が支配層エリートの仕事だった。中国語は今日の英語と同じ。当時も中国語ペラペラというわけにはいかないので、中国語をそのまま器用に解読したのが半島と日本の知識人だった。たとえば古代日本では唐の均田制とか律令制がそのまま取り入れられた。それは戦後民主主義と同じだ。しかしどこかがオリジナルとは違う。こういう事態は外来文化の特徴であって日本に限ったことではない。むしろ問題はこのような歴史的現象を誤解し理解できない政治家が大手を振って歩いているという日本の現状だ。妄想がかった自説を都合よく政治に利用する。今回のエイプリルフール新元号もその典型かと思われる。
この新元号のセールスポイントこれまでの中国古典からでなく、万葉集という国産の古典から取られた、と安倍政権は誇り高々だが、すぐにメディアによってこれは甚だ疑わしいことであるのがバレた。これを見ても安倍政権がいかに皮相的であるかお分かりだろう。
下は朝日新聞からのコピペだが、辰巳氏は万葉集専門家、水上氏は中国古典専門家だそうだ。
辰巳正明:大宰帥(だざいのそつ、長官)の大伴旅人(おおとものたびと)が、天平2(730)年に、梅花の宴という宴会を開いた。そこで、大宰府の役人たちが集まって、梅花の歌、32首が読み上げられた。その時の漢文で書かれた「序文」から採られている。
 ――どんな意味でしょうか。
 辰巳:「初春令月、気淑風和」。「初春のこの良い月に、気は良く風はやわらか」という意味だ。春の訪れを喜び、みんなが和やかに歌を詠んで楽しむ。採り出した漢字だけに着目すれば、「和しむべし」「みんなで仲良くしましょう」という意味にもなる。
上の万葉集の漢文(中国語)は明らかに有名な中国の詩を踏まえて書かれている。
水上:確かに、万葉集より古い中国古典詩文集の「文選(もんぜん)」に収録されている、張衡(ちょうこう)の帰田賦に「於是仲春令月、時和気清」がある。ここにおいて仲春の令月、時和して気清しと。
以上、今風に言えば上の大伴旅人の漢文序文の関係個所はどこから引用したのか明らかにされていないので、プラジアリズムに相当する。つまり剽窃である。しかし同時代の貴族達は引用などされなくとも出典先を知っていた。当時のインテリ貴族の楽しみは特権的教養を仲間ウチで共有することでもあった。そういう楽しみ方をしていたのだ。
ここで拙者は拙高校教科書に載っていた、枕草子の香炉峰の雪の一節を思い出してしまう。これは皇后定子に仕えた清少納言がいかに才女であったかという話である。雪の日に、「少納言よ。香炉峰のいかならむ?」
と定子が女官達に問いかけると、清少納言は何も言わずに召使に格子を開けさせて御簾を上げさせ、外の雪景色を見せた。
これは中国の白居易の有名な詩の一節を踏まえたもので、定子皇后もいたく感激した、というたわいもない自慢話だが、驚くべきことは、このように、中国の詩は当時の貴族の教養のベースであったという事である。だから下流貴族出身の清少納言から最上流の定子皇后に至るまで女性ながらもこれらの人達は凄い教養の持ち主であることが理解できる。
皇后定子は藤原道長の姪で一条帝に寵愛されたにも関わらず父の突然の死で一族の長となった道長に定子の家族は傍流に追いやられて失意のうちに死ぬ、という悲劇の人でもあった。だから枕草紙にかなりの恨を感じる読者も多い。
上からも明らかなように、❝令和❞が国風だという主張ははなはだ疑わしい。メイド・イン・中国の方が真相だ。
覚えているだろうか?❝The Facts❞というワシントンポスト紙に出した安倍支持派の政治広告を。2007年の事件だが、慰安婦は韓国被害者のウソで彼女らは日本軍相手に商売する売春婦、だと宣言。これによって日本に謝罪を求める決議が米国下院外交委員会で一挙に可決になってしまった。それでも懲りずに2012年には米国最初の慰安婦記念碑の地となったパリセーズパークのあるニュージャージー州の地方新聞に同じ政治宣伝広告を再び出した。中でも支援者の一人、安倍晋三の名は特に目立った。この嫌がらせが韓国及び在米市民団体対安倍政権の慰安婦像設立泥仕合にまで発展し、今日にまで小競り合いが続いている。この慰安婦像設紛争については異様な国際外交紛争として注目されている。戦時下の米軍教育映画、Know Your Enemy、では、口ではアジアの平和を唱えながら実際は侵略した二枚舌の日本、となっていたが、戦前回帰志向の安倍政権が平和主義であるとは思われていない。
 

続・敵国から見た日本文化!?

前回戦時中の米軍の日本文化紹介映画について書きましたが、日本語字幕付きを見つけました。
 
ところどころで省略されていますが意味は充分に取れます。
 
上のは日本の歴史・文化についての兵士向け教育映画だが、対象は白人米兵だった。米兵の多くは田舎出身で教育もない。文盲率も相当なものだったはずだ。現在の米国白人の祖先の大多数は英国ではなくドイツ系と見なされているが、第一次大戦ではドイツは言葉が通じない遠い国になっていた。だから日本については火星みたいなもの、と言った方が当たっているだろう。
戦争中米兵士を対象とした教育映画がたくさん作られている。米軍兵士は愛国心と冒険心から自ら志願した者が多かった。徴兵で引っ張られた日本の兵士達と比べると士気に違いが出るのは当然だ。
 
私の出遭った方で、16歳で年齢をごまかし海兵隊に志願して硫黄島の戦闘に参加した、というかくしゃくとした老人がいた。一人ではない。親友と示し合わせて志願し、奇しくも二人とも生き残った。あの戦争がなかったなら、こういう人達は地元を離れることもなくそこで一生暮らしていたはずだ。これは日本も同じであろう。とにかく戦争は多くの若者の運命を変えた。
 
当時黒人や東洋系兵士は軍内では全くの少数派だった。米軍部は忠誠心を含めて実際の戦闘能力に疑問を抱いていたことが理由のようだ。皮肉なことにこの人種偏見の壁をを打ち破ったのが日系二世部隊で、この映画の最初に日系二世部隊の活躍が賞賛されている。しかし、映画では日本人を‟Jap”と一貫して呼んでいる事から、この映画は日本を敵視する米のプロパガンダだ、と思いこんだ人も多い。
 
この映画の武士道についての視点がユニークだ。
ところで外国に行くと多くの日本人が、日本人はサムライの子孫で武士道に生きる民族だ、と自己紹介をするのによく出会う。不思議に思った私は、あなたは武士の子孫か?と尋ねることにしているのだが、これまで本当の武士の子孫にはあったことがない。ほとんどが田舎の水呑み百姓の倅である。どうして外人にこんなウソをつくのか私には理解できない。
 
この映画での武士道というのはで権力奪取の道であり、その手段として奸計・裏切を常習とする、となっている。そして日本の歴史は武士階級が政権を握って以来、この熾烈な権力闘争のリピートである、というのだ。天皇は大昔は宗教及び武力の覇者であったが、明治以前は太陽神の子孫として単なる宗教的継承者に過ぎなかった。明治以降の藩閥出身の指導者により近代国家日本の神となり、武家制度はそのまま軍部に継承された。だから、日本の軍部の本質、Aggression =過度な攻撃性、とGreed =野望(強欲)、は武士道に由来する、と主張。
太平洋戦史に詳しい方なら、上の2つのキーワードはポツダム宣言や東京裁判で繰り返し聞く言葉であることを知っている。第一級戦犯の罪はこのAggressionGreed であった。
だからこの映画は戦時下の米軍のスタンスを見事に反映している。
 
日本人は八百万の神を拝んで暮らしてきた。それは今日も変わっていない。天皇家というのも庶民にとっては諸々の神の一つにしか過ぎないはずである。
しかしキリスト教は多神教を認めない、また神の前では人間は平等、を信徒に厳しく要求する教えであるから、日本的な宗教観が破壊されるという事もあって豊臣秀吉と徳川家康がキリシタン弾圧に走り、鎖国を強行した。
明治以降キリスト教は再び日本に帰ってきたが、神格化した天皇制と競合することが出来なかった、というのはある牧師さんの話である。
 
他国で鎖国した国にタイがある。原因は同じく西洋文明に対する抵抗であるが、山田長政の活躍したアユタヤ王朝は鎖国状態の中、隣国ビルマ王国に侵入され滅亡した。あのままフランス王から軍事援助を受けていれば、滅亡することもなかったかも知れない。
 
李氏朝鮮も日本と同じく鎖国を続けたが、開国後日本によって併合され滅亡した。
 
日本では明治以降の天皇の神格化は国家の統合と富国強兵政策、つまり植民地獲得に大きく貢献したが、その後の軍部の暴走を抑えることが出来なかった、というのが米側の視点である。
 
軍部による天皇神格化に呼応するように大戦への道に貢献したのが、日本文化の根底を流れる日本人の気質だそうだ。
もう一つの短編映画、Japanese Culture WW2Eraに出てくるのは、
『ヤコブの梯子』ならぬ 『日本人の梯子』である。
 
旧約聖書の創世記にユダヤ人の始祖とされている族長アブラハムとその子イサク、孫のヤコブの話が出てくる。三人とも揃いも揃って狂信的であり、姿の見えない、触れられない、従って名も付けられない絶対神を崇めていた。ただこの神だけを愛し、この神が喜ぶことをすれば神に愛される、と信じこんでいた。ユダヤ人というのは聖書ではこのヤコブの子孫ということだ。読んでわかるように、神の喜ばれる事をするというのは並み大抵ではない。神によって選ばれた人のみに可能だ。そのヤコブが見た夢の一つに天からの梯子というのがある。この梯子は夕暮れ時に見える太陽の残光だという説がある。ヤコブには梯子(光線)を上り下りする天使が見えた、というのである。神に愛されているヤコブはやがて自分もこの梯子を上って神の御許に行く、と解釈したそうだが、反対に短編の中の日本人の梯子はそれとはかなり違う。
 
最上に神として天皇をいただくところは同じなのだが、その下は日本人の梯子では下に向かう果てしない階段である。日本人は常に自分が社会のどの階層=ステップに属するかを見極める民族だそうだ。しかし下だけはもちろん御免だ。だから下にならない為にはだれか他人の存在が下に必要になるということにもなってしまう。
そこで、身の程を知る、というのは、梯子全体での自分の位置を知ることを意味する。しいては日本人は常に梯子を、つまり社会全体を気にしていなければならなくなる。
そうなると、個人の権利、幸せの追求、独創性、などは二の次になってしまう。目標はいかに社会にうまくはまり込むかということで、日本兵がいとも簡単に生をギブアップし死を選ぶのはこの梯子のせいだ。
 
これが米国側から見た日本人の国民気質であるが、果たして当たっているのだろうか?

トランプのアメリカ:モラー報告書がいつの間にかバー報告書に!?

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3・24の今日の昼(日本時間3・25早朝)ついにバー司法長官が議会の民主共和の司法委員リーダー4人にモラー特別検事チームによるロシア大統領選介入事件の捜査結果についてのサマリー(要約)を送り、その内容がただちに公表された。それがまた、米を2分する大問題になっている。
 
日本のメディアのみならず日本の市民に誤解されているのは、バー報告はモラー報告ではない、別個のものであるという事だ。モラー報告がそのまま市民に知られては困る、というトランプ政権の意図によってバー元司法長官はトランプに雇われた。いわばトランプの火消しである。だからバー報告は単なるサマリーではなく政治的演出とみるべきだ。長い大報告書を提出する際にサマリーを付けて出すのが必然だ。しかしここでのサマリーはモラー氏ではなくバー氏によるもので、内容はバー氏によるモラー報告の解釈の仕方である。
 
バー報告は4ページであり、私も読んだ。素人にも十分理解できる文章で書かれている。おそらくトランプと彼のサポーター達を念頭に置いて書かれたせいかも知れない。アメリカ政治に興味のある方には一読を薦めたい。しかし、この報告の容易さが曲者だ、というのが拙者の印象だ。
 
以下は拙者の理解によるバー報告。
 
ロシア政府=プーチン、は大統領選挙に介入した。
・フェイスブックやツィートでフェイク・トランプ賛辞をカキこして拡散。
・ロシア諜報部による民主党本部のEメールハッキング
 
拙解説:ハッキング後、盗まれたEメールがウィキーリークスに登場し始めた。
ところが2016年投票日の一か月前に浮上したアクセスハリウッド動画の公開後24時間以内にウィキーリークスが盗んだEメールを大量公開。その中にはサンダース候補を泡沫候補とこき下ろすのがあり、メディアもあきれた。一方、動画では、トランプの、プッシーを掴む、という下品な表現が大問題となり、共和党内では一時的にせよトランプ公認を取り消せ、代わりにペンスを、という声が湧きあがり、身から出たさびとは言えトランプ陣営は死ぬか生きるかの瀬戸際に立った。
 
プーチンを除くロシア諜報部及び軍部側関係者はモラー捜査官によって起訴された
 
モラー捜査の目的:
トランプ選挙キャンペーンのメンバー(トランプ自身を含め)がロシアと共謀したかどうか。共謀とはいかなくてもこれを選挙利用したかどうか?
 
上を隠す目的で捜査妨害を行ったかどうか。
 
というスタンスでの捜査による結果は:
トランプ及びトランプ選挙対策のメンバーが共謀したという証拠はみつからない。
ただし、ロシアから多くの支援申し出がトランプ陣営にあった。
 
よってモラー氏は、ロシアとの共謀を理由として起訴を進言しない。
捜査妨害に関しては証拠からは決着をつけられない、よって司法省に一任。
 
これを受けてバー長官はロシア共謀・捜査妨害について証拠不十分で不起訴とする、と結論ずけた。刑事訴訟は100%確証がないと有罪にできない、という米法廷の刑法判決基準をあげた。
 
上のバー報告にはモラー報告の抜粋はほんの2-3箇所、それも文章ではなく、断片である。
捜査妨害の箇所に引用されているのは、『大統領には確証はないが無罪とは言えない』、という奇妙な文片である。これでは一体どの部文から引用してきたのか不明。
 
米司法省の内規として現職の大統領を起訴しない、というがある。しかしこれは、法はすべての市民に公平平等に適用されるという米国憲法違反であるという反論がある。しかしこの伝統は守られてきた。これまで、大統領の起訴については、『弾劾』として下院で決定される。その範囲は国家反逆罪から軽犯罪まで。
だから、なぜ司法長官がここでしゃしゃり出て大統領は証拠不十分で無罪という判断を下すのか?
理由は単純だ。今日の下院は民主党多数であるからだ。弾劾決定を回避する為である。
 
100%確証がないので起訴しない、というのもおかしな説明だ。これが事実であれば、検察の起訴は100%有罪につながるということになる。米では大審院システムを使っていて、問題となる起訴はこの大審院の判定で決定される。100%確証は裁判での市民裁判員の判断基準であって起訴する検察側の基準ではない。ここで一挙にすべてを握りつぶしてしまおう、というつもりだと思われる。
 
時をさか上って1992年、バー司法長官はパパ・ブッシュ大統領により司法長官に任命されている。だから今回はリピート。司法長官として彼のなした事で最も印象に残るのは、リーガン時代のイラン・コントラ事件の取り調べでウソをついた、つまり司法妨害として起訴されていた政府要人をすべて大統領恩赦してしまった、という事である。
今回は彼自身が司法省に、コミFBI長官の罷免は大統領の権限として正当、モラー捜査は違法だ、というメモを送りつけ、それが藁にもすがりたいトランプの目にかなった、と言われている。
去年の上院司法委での彼の信任審議はモラー報告書の公開についてであった。バー氏は全文公開には賛成だが、司法長官の権限下で出来る限り公開する、という矛盾する回答を繰り返した。委員会で信任されたのは、上院は共和党が多数であるからである。
 
バー氏はトランプとの契約を実行しているだけだ、というTVのコメンテーターがいた。
 
トランプ側からの法的解釈スタンスからすると、起訴されなければ当然無罪で、これ以上この問題は追求されるべきではない、と言うことになる。これはモラー報告を公開しない法的根拠となる。
 
トランプは、『共謀罪証拠なし、捜査妨害罪証拠なし、最初から私は無罪潔白、モラー捜査でこれが証明された、と例のごとく事実とは違う発言をしている。トランプ狂信派はこれで一期に2020になだれ込もう!と気勢を上げている。
 
いつ、本物のモラー報告書が公開されるのか?未定です。