chuka's diary

万国の本の虫よ、団結せよ!

日系弁護士協会遅ればせながら物申す

 Japanese American Bar Association

今年の220日に加州中部地区連邦裁判所にメイヤーブラウン法律事務所を通してグレンデール市に対する起訴状が提出された。訴状の全文は著名な法律ブログにより公開。拙者もそれを読ませてもらった一人である。

 

もし、ホロコースト否定者達から米のホロコースト博物館撤去を要求する訴訟を起こしたいという依頼を受けたら、果たしてメイヤーブラウンは引き受けただろうか、と米大手の法律会社メイヤー・ブラウンはブロガー達から手厳しく批判された。

 

原告側の一人、歴史の真実を求める世界連合会(GAHT-US)サイトの

世界では日本の名誉を貶める運動が盛んに行われています。しかもそれはしばしば、自国に都合よく捏造された歴史を流布することによって、日本人の名誉を傷つけ、日本国を残忍な、悪辣国家であると断じているのです

という被害妄想的視点に注目。

その結果、普通のアメリカ人まで、日本人が異常に残酷で、非人道的な民族であると信じるようになってきているのです

 

GAHTの認識と現実の間には大きな差があるようだ。日本のネトウヨ勢が屁理屈をコネて反社会的な行動をデモンストレーションすればするほど、今や普通のアメリカ人まで慰安婦の史実を知ることになってしまった、というのが真相だ。

 

全般的に見て、歴史に関しては、普通のアメリカ人の方が日本のネトウヨに比べてはるかに歴史通、というのが私の感想。

理由は英語による慰安婦問題の本やネット記事へのアクセスだ。内容も日本に比べてはるかに高度。

それから、女性問題は米の高等教育の一環として広く取り上げられ議論の対象となっているので、慰安婦を日韓対立と見るより女性の人権問題と見る傾向が強いということがある。

 

GAHTは明らかに普通のアメリカ人を必要以上に見下しているようだ。

 

ネット上で『彼ら(原告の日本人達)が米市民だとはとても思えない』というコメントに頻繁に出会ったのも決して偶然ではないだろう。

 

メイヤー・ブラウンが訴訟から手を引く前の420日には、韓国系弁護士協会が12のアジア系弁護士協会の賛同を得てこの訴訟を批判する声明を発表した。それが雪崩のように全米のアジア系をはじめとする他の弁護士協会の賛同を得た。

韓国系弁護士協会は、慰安婦は日本兵のセックス相手をする為に雇われた、というメイヤーブラウンの手による訴訟内容は、彼女らの受けた人権蹂躙による残虐行為を全く無視したもので、この被害者達の受難を記念する碑が米国憲法違反であるという議論を展開するのは社会的に無責任、と大手のメイヤーブラウンを直撃だ。

 

さらに、慰安婦問題を日系コミュニティ攻撃に利用する者は断罪されるべきだ、と非常に厳しく出ている。日本人や、特に日系米人を第二次世界大戦中に起こった事件で責めるのは無責任である、これらの問題の責任は当時の日本政府にあるのだから、と。

428日には北加州フィリピン弁護士協会も上記の声明に賛同した見解を発表。上記のメイヤーブラウンの手による慰安婦は商売女という記述は、元フィリピン女性慰安婦を屈辱するものでありメイヤーブラウンの行動は恥ずべきもの、と手厳しく批判、さらに、法治国家としての法の役割は不正を認め、将来二度とそういったことが起こらないようにするということであり、慰安婦像は戦時性暴力による女性被害の象徴だ、と述べた。

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メイヤーブラウンが訴訟から手を引いた後、日系弁護士協会は55日、南加州韓国系弁護士協会と共同で声明を出した。

 

日系団体はこれまで日本の政治に関しては全く無関心なのが基本姿勢である。今回の慰安婦碑設立運動に関してもほとんどの日系市民団体は傍観者の地位を守っている。彼らはまず米国市民であり、彼らの忠誠は米国にあるという考えが強いので、それも当然であろう。

この二団体の共同声明では、原告側の目良氏を代表とする日系ネトウヨ勢が厳しく非難されている。

 

原告側の歴史観は自分の都合のよいように史実を歪曲し、慰安婦達の受難を最小化している。そのよい例は、訴訟文の中で、日本政府は慰安婦達が虐待されたことに責任はない、と主張していることである。これは1993年の河野談話の内容と全く相反している、河野談話は今日の日本政府の公式の立場であるにもかかわらず、と。

 

米国の弁護士として米国の法は社会正義をもたらすと確信しているが、訴訟の結果がどのようなものになろうと、慰安婦の方々の受けた苦しみは決して忘れ去られるべきではない。メモリアルはヘイトと他民族への敵意のシンボルであってはならない。同様にこの訴訟が民族間に亀裂を生じさせ、私たちがこれまでに大きな努力を注ぎ培ってきた未来に向けての多民族コミュニティ建設に危機をもたらすようなことになってはならない。

韓国系と日系はロスサンゼルスという多民族共存の地域社会で共に働いてきた・・・とりわけ1992年のロス人種騒乱では、韓国系弁護士協会と日系弁護士協会は他の民族代表と協力して両コミュニティを通しての人種問題の解決に向けて努力を重ねてきたのだ。

私たちは反韓国系でも反日系でもない、私たちはアジア系米国人として多様な文化を祝福し、理解と友好を深め、誠実さと相互の尊敬に基ずいた地域社会を作るということに深くコミットしている。私たちはこれまでの歴史を無視したり作り変えたりすることはできないが、よりよき明日の為に共に働くことを決意することはできるはずだ。この精神にもとずいて、私たちの協会はこのグレンデール問題が私たちの多文化多民族コミュニテイに分裂をもたらすことを許さないということをここで明確にしたい。

 

PDF] KABA_JABA_Joint_Statement_(PDF May 5, 2014).pdf

 

公平さの為に付け加えておきたいのは、トンデモ訴訟は大手の弁護士事務所も扱っているし、トンデモ訴訟は米政府をはじめ大会社でも起こしている。だからメイヤー・ブラウンばかりを批判するのは公平ではない、という意見が出ていたということ。

 

慰安婦抗争が容易に人種偏見につながる可能性がある、といういう可能性も軽く見るべきではないだろう。1992年のLA人種騒乱で韓国系商店街が焼き討ち略奪にあったのはまだ記憶に新しい。