chuka's diary

万国の本の虫よ、団結せよ!

旭日旗消去 VS. フリースピーチ!?

ケネディ大統領暗殺後大統領に立候補した弟のロバート・F・ケネディはLA(エル・エーと、発音、ロスアンゼルス)のアンバサダーホテルで銃弾に倒れた。時は1968年。しかし時代は流れかのアンバサダーホテル一帯は今日LA教育区の管轄下にコミュニティースクール群と化してしまった。アンバサダーホテルの正面にあたるビルにはケネディ候補の壁画が飾られている。下のがその壁画で2016年に作成された。
 
 
 
 

 
上のは同時期にお目見えした壁画でアンバサダーホテル跡に建てられた体育館に飾られている。モチーフはアンバサダーホテルにあったココナッツグローヴ・ナイトクラブとそこをひいきにした大女優エヴァ・ガードナーである.しかし背景の旭日が大日本帝国陸軍の戦旗に似ている、という韓国系高校生のクレームから地元のK(コレア)タウン住民団体がコミュニティスクールに壁画の消去を要求、このスクールの監督がコミュニティの方々に不快感を与えて申し訳ない、と一方的に冬休み中に約210万円かけて旭日のパートを消去する、と発表したことから騒ぎが起こった。一方的に、といったのはウソではない。当然これには政治的背景がある。米の学校区を運営する委員は選挙による。教育委員会で任命される大都市の学校監督はバカ高い給料が払われているケースが多い。地元民を怒らせると高給がパーになるばかりか、キャリアもこれで終わりだ。学校の事は監督に権限がある、とまでこの監督は言い放って言い訳に懸命だ。
 
これに怒ったのは、旭日旗もどきと韓国系に名指しされたのを理由に何の相談もなく突然旭日消去を言い渡された壁画家のスタントン氏。僕の壁画はアートであり、日本陸軍の旭日旗とは一切関係なし、旭日の部分を消去することは作品自体を台無しにすることだ、と真っ向から反対した。
スタントン氏とアートの自由を訴えるケネディ候補の壁画の作者は、スタントン氏の壁画が消去されるなら、僕のも消去する、と強い態度に出た。米国の表現の自由を守る団体NCACもスタントン氏をバックアップすることを表明。この団体にはACLUという強力な法律家団体が加わっているのだ。
 
最後のとどめは、ロバート・F・ケネディ・コミュニティスクール宛てに、名前を取った故ロバートFケネディ氏の子息二人が手紙を送ったことだ。それによると、この子息二人は、父、叔父達(ケネディ大統領とエドワード・ケネディ上院議員)は、マイナリティーのカルチュアは尊敬せられるべきだが、米国憲法の表現の自由、特に芸術、はこの国の基礎として一番重要であることを指摘、それから、以下のように続けた、
“My father and uncles considered people who destroyed art in the service of political agendas as the worst sort of scoundrels,” he wrote. “There is so much reprehensible and irrational about this scheme that one could write a thesis enumerating the idiotic flaws that catacomb the shallow arguments in its favor.”
 
拙要約すれば、私の父と叔父達は自分の政治目的を達成する為に芸術を破壊する者は人間として最低だと確信していた。このような考え方は他を懲罰する非合理的発想を土台にしたもので、この山ほどある愚かな主張をカタログ化して一個の学術論文が書けることは請け合いだ。
 
あのケネディ家からもきついお叱りを受け、かの学校監督は急きょ旭日旗消去をクリスマス・正月休み後まで延期と宣言した。事態急変に驚いのは韓国系サイド。
 
一方の韓国系代表、自称弁護士、は消去しないと学校区を提訴する、と公言していた。しかし壁画製作者には差別しようという悪意も動機もない、ただ彼は旭日モチーフが好き、なので、訴訟しても連邦裁判所で門前払いに終わるのが落ちだ。これでは在米ネトウヨによるグレンデール訴訟の二の舞だろう。