chuka's diary

万国の本の虫よ、団結せよ!

トランプのアメリカ:ボケが始まる!?

このところアメリカでは毎日にようにトランプ・ニュースが続出、ついていくのも一苦労。
 
今のところ、最大ニュースはモラー特別検察官の最終報告書の行方だ。
自己の潔白が証明された!と諸手を上げてのぬか喜び。乗りにのって、オバマケア全面廃止をトランプは宣言した。それからメキシコ国境全面封鎖、と次々に先制攻撃に転じた。しかしこれらの新方針についてはトランプ付きお守り役の人々は事前に知らされていなかったようだ。
 
ボブ・ウッドワードのベストセラー、‟Fear"の内容のほとんどは、トランプの突発行動を阻止しようと必死に彼を見張っていた政府高官達の裏話の公開であるが、そういう人達はすでに政府を去り、ホワイトハウスは今やトランプの一人天下。この先何が起こるか怖ろしい限りだ。
この本を読んだので、おまけを一つ。トランプ夫妻は寝室を別々にしていて、普段は夫婦別行動だそうだ。
 
オバマケアとは米国の国民健康保険だが、共和党にはプレミアム(維持費)がオバマケアよりもっと安いケアを用意し2020年の選挙後に発表する、とトランプは宣言した。要は健康保険を餌に自分に投票を呼びかけているわけだ。しかし共和党の方ではそんな案は聞いていないし何も計画を立てていない、と答えている。
 
 
拙家族は国境閉鎖というニュースを聞いて、アボカドが食べられなくなる、とパニック気味だったのだが、共和党からも強い反対が出てすぐに一年延期に変更、となった。アボカドは野菜の女王様、アメリカ人も困るはずだ。
 
先月3月22日の金曜日の夕方、約2年間の捜査が終了、モラー特別検事は、直接の上役に当たるバー司法長官に捜査報告書手渡した。長官は文書で、これについてのサマリーを発表すると報道。
約束通り、25日の日曜日の朝、4ページ(実は3ページ半)のサマリー(要約)がバー長官によって発表された。ネットからの日本語訳版を前回に追加しておきました。
 
それには:トランプ陣営からのコンスピラシー=共謀、の証拠がない、調査妨害の証拠は不十分、という事から、誰も起訴対象にならない、というバー司法長官による判断が明記されていた。
 
よって不起訴なら内容自体も公開する必要性はない、という非常に高圧的な姿勢すら感じさせられる。このバー氏のサマリーを正面から受け止めたのが、トランプと彼のダイ・ハード(=die hard)サポーター達。一部の反トランプ派も、これで大統領の潔白は証明され民主党側は敗北した、と報道していたぐらいに米国市民に衝撃を与えた。
 
しかし、バー司法長官のサマリーの文章の一節一節が米国の法曹関係者、元司法長官や弁護士、法学者によって詳しく分析され、バー氏の判断を支えるモラー報告書からの具体的内容が何も示されていない、という結論が得られた。モラー長官からの直接引用は、『有罪とされるには確定証拠がなく、他の証拠からは無罪とはいえない』、という宙ぶらりん的断片のみで、意味から推定すれば、これはむしろバーの結論とモラーの結論は違う、ということになった。
 
その翌日はこのサマリーはバー長官自身による隠蔽工作ではないか、という疑惑をフェイクニュース側が一斉報道。その上、最初は機密事項で非公開と主張していたが、問い詰められて、バー長官は、モラー報告書は約400ページであること、それに他の引用や裁判関係資料を加えるとかなりの分量となることを公表させられた。
これはニクソンのウォーターゲート盗聴疑惑やクリントンのホワイトウォーター疑惑の捜査結果の報告書とほぼ同じ程度の分量。しかしそれをわずか2日間でよくサマリーとして要約できたものだ、という批判があちこちから出てきた。
 
そこで30日金曜日遅くにバー長官は、再び文書で返答。
これによると、彼のサマリーは実はモラー報告書のサマリーではない、と主張!??
それでは一体何なのか?
バー司法長官によれば、彼のはモラー検察官の報告書の最期の文章を直接反映したものだという。まったくあきれた話だ。
下院のナドラー民主党議員で司法委員会委員長はバー氏にモラー報告書全文を下院委員会に送るよう要求、バー氏が返事をしなかったので、今度はバー氏とモラー氏のコミュニケーション議事録を送るよう要求した。
 
ナドラー委員長のモラー報告書全文要求のデッドライン、4月2日を逃したバー司法長官は再び短い手紙で、モラー報告書の各ページに大陪審関係の内容が混じっているのでこの箇所を一つ一つチェックし黒線でカバーするのはかなりの時間がかかる、と返答。
 
米国は建国以来連邦裁起訴に大陪審制度を採用している。これは検察官の起訴濫用を防ぐ目的とした起訴に値する証拠のスクリーニングプロセスだ。このプロセスは非公開だが、議会に必要であれば連邦判事の許可を得てそのまま議会に送られる。これは過去のニクソン、クリントンの弾劾ケースでも報告書は議会に送られた。クリントンのケースでは、彼の任命した司法長官は報告書には全く手を触れなかった。
 
そのうち、これまで沈黙を続けていたモラー捜査チームからリーク=情報漏れ、が出始めた。
 
まず、バーのサマリーはモラーの報告書とは内容にかなりの違いがあるというのだ。
モラー報告書には一般公開を意図してサマリーがすでに用意されていたということ、しかしこのサマリーの存在までバー長官は隠していたのだ。
 
上のリークは昨日、NYT、続いてワシントンポストで報道された。
 
一方、トランプは自分の潔白がモラー報告書で証明された、と大喜び。
さらに、この捜査のオリジン(=源)となった該当者、つまりコミーFBI前長官やマケイブ代理長官を徹底捜査しろ、と報復を叫び始めた。
 
モラー捜査のきっかけを作った者達にリベンジを企てるトランプは、ホワイトハウスで報道陣を前にまくしたてたのだ。しかし、口から出てきたのは、『オリジン』の筈が実は『オレンジ』!下はその動画。本人も自覚している筈だと私は思う。それでもオレンジ!周りの人の顔は!?
 
実はこの日、トランプの記憶はまた混乱した。それは彼の父親の出身についてである。
トランプの父はNYのブロンクスで生まれた。しかしトランプは父はドイツ生まれのドイツ人移民だと報道陣を前に語ったのだ。
 
Netflexのトランプ一家のドキュ映画によれば、祖父はドイツ生まれのドイツ人だったが、この人は家族とのおりあいが悪く家出してアメリカに渡った。この祖父はアメリカで荒稼ぎしてドイツに帰ったのだが、徴兵忌避者だというのでドイツ国籍剥奪になった。それで米に戻ったといういわくつきの人だ。不法移民であった可能性も強い。もっともドイツ人は白人だから、不法でもお構いなし、という事になる。だからトランプの移民観を基にした政策がいかに人種偏見に依拠しているかわかるだろう。
 
トランプ(72歳)の精神状態には注意すべきだ、という声が米国民の間で日増しに高まっている。例のコンウェイ弁護士のトランプは人格障害というツィートの影響も大きい。
 
 
下はこの動画に投稿されたコメントの一つ。
 
@OWERFULL owerfull It's patently obvious from the video, from the history of similar behaviours, from the family history of dementia (his dad had Alzheimer's the last six years of his life).  He said his father was from Germany..  THREE times over the last 8 months.
拙要約:動画からも、彼の父はアルツハイマー型認知症で亡くなっていることからも、明らかだ。父がドイツ人だった、と八カ月の間に3回も繰り返している。

下はトランプが父はドイツ生まれのドイツ人だったと言っている動画。それから横のNATO代表にもっと金を出せとせまっている。凄いとしか言いようがない。