chuka's diary

万国の本の虫よ、団結せよ!

差別は続くよ いつまでも:トランプ大失速


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上は、バージニア州シャーロッツビル市の公園にある、『リー将軍』の像。彼は南北戦争(米ではCivil War=内戦)時の南軍総司令官。バージニア州で生まれ育った。初代大統領ワシントンの縁戚にあたる。この人の像が市議会で除去されることに決まったのはつい最近のこと。
 
リー将軍は、奴隷制には反対だが、祖国バージニアに従って南軍で戦う、と言ったそうだが、そんなのは屁理屈。
バージニアのあちこちでよく見かける南軍兵士やリー将軍の像には奴隷マスターという特権を奪われた地元白人達の恨みと、セグリゲーション=白人優位は絶対に止めないという決意がしっかりとこもっている。
ジム・クロー(=英語版カラスの勘三郎)という皮肉をこめて呼ばれた黒人を差別し、貧困から這い上がれないような条例を制定し、それでも立ち上がろうとする黒人はKKKがリンチで面倒を見るという、全く非人道的なやり方で黒人を押さえつけてきた。これが南部であり、かっての南アフリカと全くのいい勝負。
‟ Separate but Equal”という米国流アパルトヘイトは、南北戦争終結100年目の1964年の公民権法の成立まで続いたのだ。
黒人専用のトイレや水飲み場、黒人お断りのサイン、黒人学校に黒人ホスピタルなどはもう跡形もなく消え失せてしまったが、なぜかこれらの像(奴隷マスター)は2017年の今日まで残されている。
今回のリー将軍像の撤去に反対するラリー(大集会)が白人至上主義者によってネットを通してオーガナイズされたのだが、そこには予想以上の多くのその手のグループが参加することになってしまった。その中には暴力的なネオナチ・グループがいたことから、これもネットで、カウンターアタックがオーガナイズされ、事態は急速にエスカレート。
8月11日の夜、のシャーロットビルに集結したネオナチ・KKKは例の、2017年版たいまつ行列をおこなった。それが下の写真。
 
 
‟Jews will not replace us”=ユダヤなんかには絶対に引き下がるものか(これ拙者の意訳)
 
これがネオナチの叫びだったそうだが、なんじゃこれ?リー将軍の像とのつながりがまったく見えない!のは拙者だけか?
しかし、声はともかく、上の写真はネットで大拡散、おかげで写真の参加者の身元がばれるというはめに。右側の白人は仕事をクビに。
真ん中の人は大学生だがもうその大学へ戻れないことは保障してもいい。その他に、親がTVに登場し、息子への勘当宣言をしたというのも。
これはKKKの白頭巾をかぶらなかったせいで自業自得。
それから、このラリーはチキトーチ・ラリーと呼ばれることに。
参加者が手にしているトーチはチキトーチという竹製なのだが、これ、夜のバーベキューパーティーにとても重宝。拙者も使いました。
下はチキトーチの売り場に早速出されたサインが下。
 
 
‟これらのチキトーチを人種差別のクソ***に使うのはどうかやめていただきたい、ケツの穴(=阿呆バカ)のナチの皆さん”
 
ところでついに犠牲者が出た惨事が起こったのは翌12日の土曜日。ネオナチと反対派のはでな街頭闘争でマケソーになり、焦ったネオナチメンバーが、群衆に車で突っ込んだ。この容疑者は以前から精神疾患を抱えていた、と報道された。
この事件でババ抜きのババを引いたのは明らかにトランプだ。只今彼は大失速中。もう北朝鮮どころの騒ぎではないようだ。
 
追記:リー将軍の研究家によれば、リー将軍は彼や南部民兵の像が雨後のタケノコのごとく故郷バージニアのあちこちに建てられることに反対していた。南部連邦旗をかかげることにも反対だったそうだ。旧南部のシンボルである像や旗は、病弊した南部復興の妨げになる、というのが理由。彼が指揮した戦闘もできることなら忘れて欲しかったようだ。