chuka's diary

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F/U :米医療保険について 

F/Uはフォローアップの略語です。

前回の米医療保険についてに、以下のようなコメントを頂きました。コメントありがとうございます。

 

>・・・・記事と引用のサイトの最初の部分とそこの図を見ました。先進工業国で唯一、国民皆保険制度を持たないこと、3000万人の65才以下の人が無保険であること(89%の加入率)、それにより余分の死亡者が年間3万から9万人出て居ることを知りました。オバマケアは、廃止すべきでなかったことは明らかです。
民間の健康保険に加入されているとのことですが、民間保険の規約は複雑で、イザという時、病歴の申告が不十分だったとか言われないのでしょうか。米国の医者は、高い給与をもらって居ても、もっと高くすべきだと言って居るようです。学生時代8年間の大学授業料がローンで残って居るのなら、自然な主張だと思います。米国の医療費と保険の問題は、オバマケアだけでは解決しないと思います。やはり、サンダースが大統領になって、MMTで政府予算を増額し、大学の授業料をゼロにするというのが最良かと思います。米国は世界で唯一MMTが実行できると思います。(日本も、ほとんどMMTをやって居るようなものだという人もいます。)

 

事実はオバマケアは法的には廃止されてはいない。オバマケア=米健康保険(or 医療保険)の複雑さから誤解につながっているようです。トランプ、フェイクニュース両サイドが都合に応じて廃止した、していないと使い分けている。

 

疑う余地もなくオバマケアの大目的は国民皆保険だった。理由は保険料の独特な算出に関連している。既成の病や健康な人も含めて全員が加入すれば全体として成算できるはずと米国民を説得して法化された。しかし、若くで健康な人までもシステムを維持する為に最低月6500円から1万円程度払わなければならず最低賃金の手取り7万から9万で生活している人にはこれはかなりきつい。

オバマケアの強制加入については一州で違憲判決が出されている。それを理由にトランプは強制加入を大統領令で昨年停止させた。

不加入によるペナルティは、税金申告書に保険に加入しているかどうかの選択項があり、NOをマークすると、申告書のプロセスを拒否されるので、払い過ぎた税金が返ってこない、ということに。実際に該当者がいるのかどうか報告されていないが、2019年用には上の選択項がすっぽり消えていた。

トランプの意図はオバマのやった事は何でも潰すという復讐心にもとずいている。これを利用しているのが米の超保守だろう。だが法的にはオバマケアは健在だ。

 

オバマケアもう一つの利点は保健会社は既成の病人を加入拒否することができない、ということだ。これまで、例えばエイズ患者等、は頻繁に拒否されてきた。理由は保健会社の採算に合わないからだ。該当者は悪化するのを待って職を辞め、州のメディケイドに頼るしか方法がなかった。ただしオバマケアでは職業保険がない人は公式サイトのマーケットプレイスで既成の病気を知らせて各人に合った健康保険を選ぶことになっている。

サンダース対バイデンの一つの焦点は、既成のオバマケアを改善するのか、全く新しい政府事業としての健康保険制度を打ち立てるのか、ということになる。

サンダースはその費用を税率アップからと言っている。以前にもブログで書いたことがあるが、米ミドルから低所得の州・市郡、国の総合税率はせいぜい30%台だと思われるが、サンダースの理想国スェーデンでは55%だ。米では食糧を除いた消費税が10%。しかしスェーデンでは25%。食糧品は肉類は米の2倍以上と見ていい。これについても基準や解釈の違いがあり、どちらかが絶対的に良いとも言い難い。

 

実は米には既に国民皆保険が2種類存在している。一つは65歳以上のメディケア。これは政府運用でメディケアパートBと呼ばれている。パートAは無料でナーシングホーム滞在を含んでいるのでナーシングホームは国民年金と引き換えに無料である。Bでは一般的医療費、通院、薬、手術等を80%はらってくれる。しかし加入者は国民年金から約14000円差し引かれることになっている。日本とほぼ同じ額ではないだろうか?

このB未加入、他の代替え保険を持っていない、それで遅れて加入したという場合金銭的ペナルティを課せられる。未加入時期の料金を毎月の額に上乗せされ全額払わされる。

 もう一つの国民皆保険は全米約120万人加入の元米軍兵士の健康保険である。加入者は高齢者か低所得者が多く、実際に払えない人は払わない、とも言われている保険システムである。加入者はベテラン(元兵士)省運営の地区病院かクリニックで治療を受け、処方箋薬もすべてそこでかメールで受け取る。しかし薬代ほぼ無料と言われているにもかかわらず非常に評判が悪い。特にオバマ時代の日系陸軍大将シンセキ長官は、フェニックス地方メディカルセンター病院でアポ待ち日数を報告書類で3か月以上から一カ月に改ざんしていたことに責任を取り、辞任しているくらいだからさまざまな憶測の対象になっている。

 

米国の学生ローンについても学費をローン and/or 奨学金で払いたい学生はそれぞれのスタンスから選ぶことになるが、これなどは選択の種類が非常に多い。サンダースの主張からすると、彼のロビンフッド式帳消しは主として比較的富裕なミドルクラスの子弟を対象にしているように思えるがどうだろう?

大学4年終了後に郊外の家一軒相当の借金ができ、それを20年―30年ローンで家と同じように払っていくわけだ。理由は私立大学の高額授業料+付属学生宿舎+三食食費のパッケージを全額借り入れるからだ。

州立大学では授業料をローンで借りていた学生も多いが、働きながら4年以上かかって卒業している人が大勢だ。そういう学生のローンも帳消しになるのだろうが、これではもの凄く不公平だ。高利のローン会社に払う金は富裕層から税金を取り立てて払う、というのは法的にも道義的にも問題がある。

昔気質の社会主義者サンダースの金持ちヘイトはおそらく一生治らないだろう。

 

今日、3月10日はミシガン州やその他の州のプライマリーの日であり、今日で民主党候補が決定する。今の米政治の動きは、新型コロナ・ストック暴落・プライマリーの三つ巴です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最低賃金の手取り7-8万ではこれはかなりきつい。