chuka's diary

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放浪革命家、バノン逮捕!?

民主党大会の最中の8月20日、全米に驚きのニュースが流れた。それは2016大統領選のトランプ支持層"ベース"の名付け親とも言えるスティーブ・バノンの逮捕だった。

 

"ベース"というのは革命家を自称しているバノンにとってのレーニンのプロレタリアートに当たる人々、つまり弾圧を跳ね除け革命を起こす主体。米の経済的には低収入で低学歴の白人ブルーカラー層、社会的には黒人・女性優遇のアファーマティヴアクションで最初から不利な立場に置かれている。この"ベース"の敵はかってのブルジョワジーに代わる"グローバリスト"だそうだ。

しかもこの"ベース"の先頭に立つのはALT-Right (極右)の武装した白人優性主義者だ。

 

下の動画は去年2019年6月にメキシコ国境の壁建設の寄付金あつめの目的で作成された。その冒頭で、バノンは、コルファージは寄付金を全額横取って今南仏沿岸の地中海に数億円のヨットを浮かべて休暇中、などとブラックジョークを飛ばしているのだが、まさかそれが現実になろうとは!?

ボサボサ頭でむさい恰好のバノンの横には、もともとこの"We Build The Wall" 基金を始めたブライアン・コルファージ氏。この若者はイラク戦争で、両足と右腕を失い車椅子で暮らしている。実はこの人にも民主党から共和党へという複雑な政治的背景がある。このバノンとコルファージ氏、それに他の2人が今回起訴された。

 

https://www.youtube.com/watch?v=nYNg8J4c_pM


UNCOVERED: Steve Bannon Jokes about “taking money from Build The Wall” to buy “million dollar yacht”

起訴したのは、NY南地区の連邦検察官。当然司法長官の監督下にあるのだが、司法の独立をモットーとし、トランプには目の上のたん瘤。トランプの手下、バー司法長官はこの6月に筆頭検察官が辞任しセキュリティ取引委員会の会長に栄転したとTVで噓つき会見し、大騒ぎになった。筆頭検察官は辞表を出していないどころか寝耳に水と反撃。結局バーがトランプに泣き込み、クビにした。しかしバーの乗っ取りは延期となってしまった。その時からこれは底に何かがある、という憶測の対象となっていたのだ。

 

検察側の起訴状がネットで公開されているので、以下は起訴理由の簡単な説明です。

2018年の末にコルファージ氏が寄付集めのウェブサイト, "Go Find Me" で"We, the people build the wall" を打ち立て草の根寄金を募ったのだが、そのキャッチフレーズは、すべての寄金はそっくりそのまま政府の壁建設資金に寄付。目標は約1000億円。しかし一か月の間に約1.5億円近くが集まり、ウェブサイトの運営者側から、額が大きいので公約通り政府に寄付するか、寄付者に金を送り返すよう勧告された。そこで翌1019年の一月中に、コルファージ、バノン氏など4人は寄付金を政府に渡さず、別のノンプロフィットである"We build the wall, Inc"を設立。寄付者にサイトで通告した上で寄付金を後者に転送。寄付金総額約24億から7-8億相当を出資し、ニューメキシコやテキサスでモデルの鉄柵壁を施行。これが上の寄付集めの動画の背景です。

その間、"We build the wall , inc" からバノンが運営者となっている別のノンプロフィット基金#1へ金を一億余り転送、そこから請求書を装ってコルファージやバノンに手渡るように金が払われた。特にこのコルファージ氏にはまず約1000万円が最初から振り込まれ、その後月200万相当が妻宛てにコンサルタント料として払いこまれていた。使い先は整形手術やボート、車など様々。

 

もう一つ、これに関連して起こった事件がある。今年の6月に動画で宣伝されたテキサスのモデルの壁の土台に大穴が開いてしまいこのままでは危険だという事が政府関連の不正を暴く組織により公表された。その時トランプ氏はこれに口を合わせるかのようにツィートでコルファージ氏を非難する立場を取った。しかしそれまでコルファージ氏をトランプや特に息子が強く推していた。しかもこのモデル壁を建設したのは、一番低い見積もりだったとかで政府によるトランプの壁の独占契約を獲得した建設会社であるのでこれも背後に何かあるのでは?と言われている。

 

バノン氏は住居を持たない放浪者ライフスタイルで知られている人だが、今回逮捕された時には反中国系の大富豪の豪華ヨットに長期滞在。金が先か、反中国が先か、判断はちょっとしかねるが、バノン氏はクシュナー氏からホワイトハウスを追い出されて以来、資金難に陥っていた、という噂もある。この反中国系の大富豪は元は中国のお役人。フォーブスでは世界大富豪の一人だが汚職で中国から逃亡。中国は人口14億の巨大国だが、一介の政府役人が世界の富豪番付けにのれるなど、私達には想像もつかない不思議な国だ。

 

バノンは、これは政治的に仕組まれた事件だ、皆さんは私は闘うのが大好きな事を知っているだろう!とTVで宣戦布告。

この事件、一体どの程度深く掘り下げられるのか、ちょっと見当がつかない。