chuka's diary

万国の本の虫よ、団結せよ!

何がフリンをそうさせたか!?

この記事の題名は1930年(昭和6年)に大ヒットした社会派映画『何が彼女をさうさせたか』をもじったものです。この映画はYouTubeで視聴できます。

 

今、米では大物によるトランプ暴露本が続々と発売され、正直言ってもう目が回りっぱなし。しかしその中には問題の核心に触れる内容のがかなりあるようで嬉しい限りです。言うまでもなく、フェイクニュースはこれらの本の抜粋紹介と著者のインタビューで大忙し。トランプも反論や言い訳にてんてこまい。

 

私はマイケル・フリンについて過去数回記事にしてきたので、

chuka123.hatenablog.com

特に今回の"Compromised" を書いたストラック氏の意見は新発見で非常に参考になった。

"Compromised"はここでは"(外国に)通じている"という意で他国の利益に沿って行動し自国に害を与える外国のアセットとなった自国人の形容詞で、もちろんスパイも含まれている。実は著者のストラック氏こそフリンをひっかけた質問をしたFBI捜査官だった。そのせいで、トランプから酷い報復を受け、これまで沈黙を続けてきた。

 

ストラック氏は当時FBIの国内スパイ活動捜査の第一人者。しかし、FBI内部のe-mailで頻繁にトランプをバカ扱いし、しかもその時の部下で職場恋愛の相手だった女性弁護士にも同様の悪口をe-maillしていた。それらがトランプ側にバイアスだと告発され、モラー捜査から外された。共和党多数の下院公聴会でストラック氏はかの女性弁護士とのゴシップe-mailの内容を証言させられたが、司法省監査官は仕事内容には影響していない、と判断された。しかしその後、風紀を理由にFBIはクビ。現在ストラック氏は不正解雇を理由に米政府を起訴中である。

 

ところがやはり最近発売されたNYタイムス記者による、"トランプvsアメリカ"によれば、ストラック氏がモラー捜査から外されると、モラー氏はトランプのロシア共謀及び協力関係捜査を捜査枠外という理由でピッタリ止めた、ということになっている。だからモラーがトランプのロシア共謀・協力に関してその時点では充分な証拠は見つかっていない、と結論ずけているのは正確ということになる。モラーは決して証拠が一切なく無罪、とは述べていない。

 

モラー捜査ではトランプはフリン事件について証言拒否をした。これは"第五"(The 5th )に沿ったものだ。メディア向けにはトランプは最初、ペンスやFBIに嘘をついたのでフリンをクビにした、と言っていたが、今年の5月にオバマゲートを立ち上げた時には、フリンが個人的にロシア大使と話してどこがおかしい、フリンの嘘は大した事じゃないのに、それを大袈裟にしたのは、当時のFBIとオバマの私を陥れる陰謀だと主張している。

 

下の動画はストラック氏のインタビュー。

要約すると、フリンの嘘には彼も驚いた、理由がわからない、フリンは元国防情報局長官であったので、ロシア大使との電話を盗聴される事は当然予想していたはず、これをあえて実行したのは、トランプからの命令だろうと思われる、FBIとペンスにオバマのロシア制裁について全く触れなかった、と嘘をついたのも、トランプが、"Kill the story ! "(=もみ消せ!)とフリンに命令したのが原因ではないかと思う。

ストラック氏はさらに推察を進め、ここまでフリンを追い詰めた原因は一体何のか?と疑問を投げかけている。つまり、背後のトランプの存在を指しているのだ。なぜ、そこまでしてトランプはロシアと彼との直接なつながりを隠そうとするのか?

 

 

www.youtube.com

https://www.youtube.com/watch?v=lVe0YUoKCJo&pp=wgIECgIIAQ%3D%3D

 

フリン起訴取り下げ差戻しで公聴会が開かれる予定だ。そこでフリンはまた、彼の嘘は本当かどうか、について釈明をせまられる。フリンはバーによる起訴取り下げ請求前に、却下された宣誓取り下げ要請をサリバン判事に出している。理由はFBIに強制的に嘘をつかされたからだ。しかし任意の法廷宣誓の取り下げは法的に認められないのでサリバン判事は却下。その際にフリンが提出した上申書がネットで公開されているので私はそれを読んだ。

 

FBIにあのように対処したのは正当だった、そして私は嘘(=FBIへ)をついていない。

と彼は最後に結論ずけているが、読んでいる方は全く理解に苦しむ。文書で公開された盗聴内容によると、フリンはロシア大使と交渉し、来るトランプ政権のロシアとの関係改良を条件にロシアの制裁報復を止めさせているのだから。

 

この矛盾する結論については公聴会でフリン氏自身の口から聞きたいものです。フリン氏は裁判で一切口を閉じたままでした。