chuka's diary

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フロイド殺人の元警官が有罪!?

ジョージフロイド殺人事件の主犯である元ミネアポリス警察官デレック・ショーバン 被告への判決が4月20日に裁判官によって読み上げられた。ショーバン被告の、" Knee on Neck " 動画はSNSでバイラルし全米だけでなく世界をも戦慄させた。

 

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この裁判がスタートする直前にミネアポリス市は被害者ジョージ・フロイドの遺族と約27億円という破格の損害賠償を払うことで和解している。

 

今回、裁判員(=jury)12人の内訳は男性5、女性7の割合。白人6、黒人4、その他2だが、私の注意を惹いたのは、黒人4の中に移民が2人いたことだ。特にアフリカからの移民は教育程度が高く母国では大卒以上で米では公務員やホワイトカラーとなっているという上昇トレンドが顕著なグループだ。

 

これは私の推察に過ぎないが、ハイ・サラリー(年収1000万以上)と思われている、IT関係、心臓・循環器専門ナース、化学者というのがメンバーとして挙げられていたところから収入の面ではスーパーリッチはいないようだが、貧困層の人もいない、という印象を受けた。

 

裁判員は検察及び被告側によりあらかじめ選ばれた市民の集団から慎重に選ばれる。メディアによると、容疑者に対して最初からネガティブな印象を抱いているのがほとんどだったが裁判次第、と皆が述べていた。この裁判は殺人罪3点について裁判員の判決を求めるもので、刑の重さから並べると、それらは、

2級犯罪殺人=最大限45年、3級職務上過失殺人=最大限25年、2級 manslaughter、違法行為による発生殺人、最大限10年と罰金、となっているが、裁判員にも一般人にもこの区別は分かりにくい。

 

最初の起訴では、3級、つまりショーバン被告が警察規則を意図的に無視したのが殺人に至った、というのだったが、軽すぎると外部から非難され、2級の犯罪殺人を加えた、といういきさつがあった。今回裁判員は上の3点に対してすべて有罪という判断を下した。しかしまず殺人事件であるから、ショーバン被告が殺人をした、という事が100%裁判員の前で立証されなければならない。そのせいか裁判中にそれまで9分以内であった"Knee on Neck"のタイムラインが9分30秒に延長となっている。

 

死後被害者の体内から、多量のメタアンフェタミン(覚せい剤)と麻薬認定の鎮痛剤フェンタニルが発見されたことで、死因はこの薬による急性心臓障害の疑いが主要な反論となった。被害者の慢性心臓不機能と薬使用が重なって心停止に陥ったという疑いの種を被告側が撒いたわけだ。

 

しかし検察側のエキスパートは、被害者は片膝でクビを圧迫されて約7分で意識不明となりその直後8秒以内に絶命した、被害者の表情、助けを求めている時の超拡大した瞳孔から目を閉じ失神、の急変化は外側からそれを指摘していると反論。しかもその時点で他の警官が脈拍がないことを報告、それでも被告は殺人行為を続けた。約2分間後には救急隊員も脈が無い事を報告、その時点で被害者の手足がぐったりとして力がなかったのは被害者が運送される映像でも明らかだ。

 

これではたとえドラッグによる影響が心臓に起こったとしても、ショーバン被告は、被害者の意識不明、脈拍なし、という警告も一切無視し、意識不明後の2分間あまり人命救助の心臓コンプレッションをしなかった、これでは被害者が生き残る機会が全くない、というので、殺人が立証された。

 

職務上過失についても、ミネアポリス市警は " knee on neck" は市警の行動規則に入っていない、とまで証言。ここらへんはかなりあやしい、は拙印象。

 

有罪となったショーバン被告の実際の刑期はヒヤリングの後、裁判長によって決定される予定だが、ミネソタ州の刑期ガイドラインではショーバン被告は初犯であることなどから12.5年前後となりそうだ、と報道されている。ショーバン被告が刑務所で模範囚にでもなれば刑期短縮で10年以下となるかも知れない。それに対して、被害者側は、もっと重刑を、と運動している。

 

下の動画には2019年にショーバン被告の夫人ケリーメイがミセス・アメリカ・ミネソタ州代表に選ばれたシーンが含まれている。夫妻のハッピーな日々が’伝わってくるようだ。彼女は米軍に協力したラオスの山岳民族の避難民として幼い頃米国に移民した。親による見合い結婚の後バツイチとなり、ショーバン被告の一目ぼれが結婚に繋がった。しかしこの事件が起きた数日後に夫人の方が離婚を発表。夫人は7040万、ショーバンは4210万という財産分割となっている。2人の間に子供はいない。

 

その他に非常に短いシーンだがフロイド被害者が救急車の中に運ばれた際、ショーバン被告の全く無表情な顔も動画に入っている。私は彼の無表情は現実隔離症状のようで普通の精神状態ではない、という印象を受けたが、裁判中もこの調子だから彼は普段もこういう人だったのかも知れない。

 

しかしこの事件は本当に黒人差別なのか、警察官の現場のレイジ(=rage、怒り爆発)なのか決めかねる、というのが私の率直な印象です。

 

この動画には全く言及されていないが、国税局は事件の数日後から夫妻に対する脱税捜査に着手、2か月後には夫妻を総額380万円の脱税容疑で犯罪として起訴している。おそらく誰かが連邦税務局にチクったようだ。 

 

 

www.youtube.com

 

https://www.youtube.com/watch?v=eaml9K08OyY&t=1s