chuka's diary

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トランプの狂気と参謀総長の反逆罪!?

今週しょっぱなの大きなニュースは来週発売予定のボブ・ウッドワードとWaPost のコスタ記者の共著による"Peril " からのいくつかの抜粋です。

 

Peril

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著者ウッドワードについては日本でも非常によく知られている。トランプ関係では前作に、”Fear"2018 , "Rage"2021, があります。両方の日本語訳も出ている。

私は"Fear"を読みましたが非常に読みやすく、すーと内容に入っていけました。やはりベストセラーは違う。

 

前の2作とは違い、今回の第3作目は怒ったトランプから直接取材を全く拒否されている。ニュースになったのはそれらの抜粋の一つで、マーク・ミリー米軍統合参謀総長の2回に渡る李中国軍参謀長への電話内容だ。一回は大統領選挙の4日前の10月30日。こちらの内容は中国側がトランプの反中国的レトリック及び南シナ海での軍事大演習で神経ピリピリになっている、というインテリ情報が理由だそうだ。中国側の緊張をほぐす目的で中国側もこれで納得した、となっている。

 

2番目は、今年1月8日で、ペロシ下院議長やCIA長官とのコラボとなっている。中国側はこの時、トランプによる政権転覆の可能性を信じており、中国奇襲攻撃が政権維持という彼の目的に利用されるのはないかという疑惑を深めていた。抜粋の一つには退任前にアフガニスタン撤退を計画していたというのもあるのだ。前日1月6日に危うく難を逃れたペロシ下院議長は早くからトランプの精神異常を確信しているが、抜粋ではミリーもその一人となっている。ミリー参謀長は電話で通訳を通してとはいえ一時間半も掛かって中国側を納得させた。

しかしそれだけではなかった。ミリーは配下の軍上層部を招集し、大統領の直接核攻撃命令は軍トップのミリーが知らなければならないという事を参加者に確認させた、となっている。

 

これを知ったトランプは、ミリーは"国家反逆罪"を犯した、と素早くやり返し、追従者達が後に続いた。反逆罪(=treason)に該当はしないが、大統領の決定に軍人が介入したというので少なくとも辞任するべき、という意見も出ている。

 

反逆罪は米憲法3条に規定されている。

2種類あり、一つは戦争中の敵国に違法に便宜を図る、であるが、米と中国は交戦中ではないので、これは該当しない。

もう一つは、国内である集団が憲法の実施を阻む目的で行動する事とある。行動の種類は必ずしも暴力行為のみに限られてはいない。単なる反対表現でも該当。

そうなると後者はミリーよりもむしろ1月6日のトランプのクーデターに該当しそうだ。トランプのような米国憲法破壊=選挙による政府の平和的移行、を目的とする独裁者は司法省に一刻も早くクーデター容疑で逮捕して貰いたい、というのが今や市民多数の本音である。

 

来る土曜日にトランプは首都ワシントンDCで一月6日の暴徒逮捕に抗議する大集会を計画。それと、ワシントンに来れない彼の支持者達に現地抗議集会をするよう呼び掛けている。

 

トランプは来年の中間選挙に向け、自分の息のかかった候補のみ共和党のプライマリーで勝たせるというフィルター作戦を進行中。だからトランプに100%賛成しない候補はプライマリーで反対候補を立てられ、共和党内では承認されないという、これが米国とは全く信じられない状況となっている。今、米国は1861年の内戦以来の民主主義崩壊の危機にある、と言っても決して大袈裟ではない。