今週のトランプニュースにはトランプが、姪のメリー・トランプ、2018年にトランプ父子の遺産相続特集を出したNYT (=New York Times)、とこの記事で見事2019年ピュリッツァー賞に輝いた当時の記者三人を名指しで訴えた、というのがあります。
しかしまだ今週は終わっていないのです。
さて、今週の火曜日の9月21日に裁判所に提出された訴状は26ページ。すでにネットで公開中。その訴状によると、この訴訟の理由は、早世したトランプの長兄の遺児として姪のメリーと弟が1999年に亡くなったトランプの父の相続に異議を唱えた遺産相続騒動で最終的に皆が合意した秘密保全事項(non-disclosure agreement)を破ってしまったことにつきる。
姪のメリー・トランプは2020年の大統領選の4か月前に"Too Much and Never Enough" (=邦訳"世界でもっとも危険な男"?)という反トランプ伝記を発刊しようとした。この本には注文が殺到し発行前からベストセラーになっていた。
それだけではなく、このトランプの姪は2001年の相続合意に関連する法的書類を2017年にNYタイムスにそっくり手渡していた。NYタイムズは18か月かけてこの膨大な遺産書類を解読しそれをネタにトランプの遺産相続と税金を払わないやり方についての特集を組み、トランプの評判に損害を与え、一方のNYTは株が上昇するほどトランプをだしにして儲けた、と訴状で非難。
しかもNYタイムズのネタバレは、姪のメリートランプが本で暴露。トランプの口惜しさはいかほどのものであったか!この姪の辣腕ぶりも凄い。
訴状では、トランプは秘密保全事項を悪意で破ったとメリーを非難。損害賠償というよりむしろ約束を破った罰として、ポッキリ100万ドル(=109億円相当)と訴訟費用全額弁償及び利子を請求している。
ところがこの訴訟は、去年2020年のメリー・トランプの本の出版直前に出された出版阻止訴訟の全くの繰り返し。訴訟手続きをしたのは、同じNY州ダッチェス郡の州高裁。
ただ違うのは、この時の訴え人はトランプ本人ではなく、トランプの弟でメリーの叔父のロバート・トランプであった。彼はその後亡くなっている。その時訴えられたのは、メリーと彼女の本の出版社のサイモン&シュースター。
この時、トランプが現職大統領であり、数か月後に選挙を控えていたところから、米憲法修正第一条の報道の自由が判決に持ち出された。これははじめから予想された動きだった。判決状では、大統領に関する情報公開を抑制する力は政府(つまり法)にはない、というわけで出版社には本の出版の自由が認められた。著者に関しても政治的公人の情報公開の自由が個人契約より優先する事が認められ、それまでの仮の出版禁止命令が解かれた。
ただし今回のトランプの訴状には去年の敗訴に関しては一切触れられていない。
だから今回のもトランプの嫌がらせ訴訟で、勝つみこみなし、と法曹界は笑っている。
彼の異常性格から来るドをこした復讐心がこの訴訟の動機だ、とまで言われている。
下の動画はトランプの訴訟のニュース。
ここでの、"トランプは"ルーザー"!今や、やけくそになって壁にものを投げつけ何がひっつくか探している!"というトランプの姪の反撃コメントが大拡散。
"ルーザー"とはズバリ敗者の意。
https://www.youtube.com/watch?v=oH--7aR_GAw
https://www.youtube.com/watch?v=6eDo63DG5-0