chuka's diary

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トランプ、1.6下院調査委員会と国立公文書館を訴える!?

昨日10月25日の" Rolling Stone" (=ローリングストーン)の特ダネ記事でトランプのクーデターに直接加担したとみられる共和党下院議員の名が公開!

その数日前にはWaPostが1/6クーデターの指令部であったウィラード・ホテルでの活動を暴露。ここの賃貸料=約560万円はトランプ選挙資金から調達されていた。

 

バイデン政権はトランプのクーデター疑惑を認め国立公文書館に送られたトランプ政権末期の関係書類を調査委員会へ公開する事を決定。これには1/6クーデター前後のトランプのコミュニケーション・ログが含まれている。これはトランプがクーデター司令部と連絡を取りあっていたという証拠となるはずだ、と憶測されている。

 

トランプが追いつめられている。

 

下院調査委員会はつい先週、トランプ側近のスティーブ・バノンを召喚拒否で司法省に起訴を要請したばかりだ。バノンは召喚直後にトランプが出した"executive order"(=大統領特権)を理由に拒否。

 

しかしこの大統領特権は現行の大統領にのみ属するもので前大統領には無し、というのが今の法解釈となっている。しかもバノンは2017年の始めにトランプと衝突し政府から辞職しているので大統領特権はバノンをカバーしない。この件でもトランプは米の法曹界から失笑を買っている。

 

トランプはこの下院調査会を妨害しようと躍起となっているようだ。

先週の月曜日10月18日、首都ワシントンの連邦裁判所で、文書公開要請をした下院調査委員会の代表トンプソン議員と調査委員会そのもの、そしてこの要請を公式に受けた国立公文書館代表と国立公文書館を一挙に訴えるという怪挙に出た。

 

原告は言うまでもなくフロリダ、マーラーゴ在住のドラルド・トランプ。この26頁の訴状はネットで全文公開。だが原告は米市民に戻った前大統領というのではない。

訴状には"45代米大統領の職権を有するトランプ" と特別な但し書きが付いている。私には意味不明。最初からトランプがいかにも大統領特権を持っているかように混乱させるいわば見せかけ詐欺だ。

"Here goes again !" (=またかいな!)と言って笑いたいところだが、笑えないのが現状だ。

 

訴状では、冒頭で下院の文書公開要請の目的は彼自身へのハラスメントとズバリ一言。その上、下院の職務は立法でこの調査自体は下院の職域をはるかに超えた違憲行為だと告発。トランプ政権の文書は12年間非公開が原則となっている。今回の下院の要求はそれを反古にする理由には至らない、と主張。

 

その証拠として1/6の暴徒による議事堂乱入は警備側の不手際が原因だと指摘。FBIは謀議の証拠はないと報告しているというのだ。

トランプが彼の訴状で要求しているのは、文書公開の即停止とトランプ側の裁判費用の全額払い戻しである。

 

しかし、このトランプ訴訟には大きな落とし穴がある。

それは1974年のウォーターゲート事件での裁判所によるニクソン・テープの公開命令である。弁護士出身のニクソンはこれで観念して大統領を辞任した。当時のニクソンが主張した現職大統領の特権が法により否定された。大統領特権は大統領の犯罪隠しではない。この落とし穴を飛び越えるのはほぼ不可能、というのが法曹界の一般的意見である。