去年の11月にNetflixで配信された"The Crown"のシリーズ4は世界中で大ヒット。下の動画はダイアナの生前のニュース報道とネトフリのシーンをうまく抱き合わせている。ダイアナ役と本物が恐ろしいほど似ているので皆驚いた。
この王室ドラマは女王の要請でフィクションだと最初に断りを入れているのだが、視聴者はそんなことにはお構いなし。それに制作にかなりの金をかけたせいで女王一家が集まるスコットランドのバルモラル城のシーンを始め海外ロケもふんだん。ベテラン俳優に混じって若手も熱演で皮肉めいたセリフがたまらない。特に鉄の女サッチャーが横から人気をかっさらった。
チャールズは甘やかされバックボーンに欠けたとっちゃん坊屋、ダイアナは未成熟だが妙に老練な情緒不安定な妻として描写されている。これにはさすがにウィリアムとハリー両王子も抗議したといういわくつきのドラマだ。
この二人にして見れば両親がコケにされた格好。その点は心から同情に耐えない。
今月はCNNで"Diana"というドキュシリーズがスタート。こちらはニュース記録とダイアナ自身の録音、関係者のインタビューがもとになっているのでかなり詳細を極めている。
英王室はニュースの元。しかし女王側の口の守りは固い。これを " stiff upper lip" (=凍りついた上唇)と言う。女王側近の関係者は王室のゴシップを一切漏らさないのが鉄則である。女王側はこれを利用しこれまでメディアを厳しくコントロールしてきた。フェアリーテイルのような王室一家のイメージは女王側が創り出したものだった。
しかし、これに真っ向から歯向かった王族が現れた。故ダイアナ妃は極秘に自分の心境を録音し、女王の手が届かないうちに独自に暴露本 "Diana-her true story" を発行。この本にはカミラとの3角関係が焦点となっていてダイアナ側の情事は全く触れられていなかった。しかし本の発売後にダイアナの男関係が暴かれ始めた。
今回の" Diana"によるとダイアナの反逆の動機は、2人の王子(ウィリアムとハリー)親権を取りあげられるのではないか、という恐れだと憶測している。何しろ彼女の将来は女王の決定にかかっているのだ。
ダイアナ妃は1997年8月31日(37歳)、パパラッチの執拗な追跡が原因でパリ市内の高速トンネルで自動車事故に巻き込まれた。肺動脈損傷個所発見が遅れた為、出血多量等で意識不明に陥り心肺蘇生の効果なく約2時間後に心停止となった。(フランス人救急医師のインタビューより)
下の動画の後半では、ダイアナの最初の愛人と見なされている当時の彼女の護衛武官の存在がトピックにされている。
ダイアナは1981年に20歳になったのを待ちかねたように13歳年上のチャールズ皇太子と結婚。しかし結婚前からカミラが浮上しダイアナは結婚をためらった、と自らの録音で述べている。
やがて二人の王子が誕生したが、夫婦仲が非常に気まずくなった1985年にお付きの護衛官と親密になった。この男性はチャールズとほぼ同じ年齢で二人の子持ち。動画からしてイケメンでもないようだ。だが、チャールズとは違い、ダイアナを常に慰め励ましてくれたとかで、本気だった、とまで彼女は告白している。
しかしすぐに二人の関係を知った上官がこの男性を急遽配置転換。ダイアナは深く落ち込んだ。事情を知らないチャールズはこの男を呼び戻すよう要請したのだが、上官に理由を示唆され二人の関係はそこで何かが変わった、とドキュシリーズでは解説されている。
チャールズはカミラの元へ戻った。二人の交際は側近の目を引くようになった。
この護衛武官は一年後に交通事故で亡くなっている。しかし、ダイアナはこの男性が去ったあと、すぐ次の相手との関係をスタート。相手はチャールズのポロチームのメンバーだった陸軍大尉ジェームズ・ヒューイットだった。
彼とは4年間も続き、ポイした後ダイアナは次々と相手を変えた。
チャールズとの険悪さがメディアにも見え見えになり、1992年に女王により別居させられ1996年に双方が離婚に合意。
チャールズとダイアナは10年以上も針の筵に座らされたまま結婚という罠から抜け出せなかった。
この二人の離婚で英王室は危機を迎えた。女王側の🤥嘘が人々の批判の的となった。
英王室の税金負担は一人$1.6=約200円に満たないが、欧州の王室維持費としてはダントツに高額。王室は成人15人と子供3人の公務で政府から収入を得ている。しかし王室維持費は近年特にウナギのぼりだ。英国では王室維持費を負担する財政的余裕が無い、という見方が拡大していると言われている。欧州ではスペインに次いで国王の存続が危ぶまれている国なのだそうだ。
来週CNNドキュシリーズは第5話、The Price of Freedom、を配信予定。Netflixは"The Crown"シリーズ5の撮影に入っている。