先週の11月2日に行われたバージニア州知事選で共和党のグレン・ヤンキン氏52歳が少差で当選。この調子では来年の中間選挙が危ない、と反トランプ側に危機感が高まっている。
しかしこのヤンキン氏はいわば従来の共和党若手新人候補者のモデルを踏襲し、別に珍しくもない。日本でも一時流行語となったM&A分野で成功した金融会社のCEOにのし上がった人として紹介されている。しかもハーバード大MBAが売り物の。
しかし彼はブッシュやトランプと違い、ビジネス手腕やインテリジェンスに疑問が付きまとう人ではないようだ。
ヤンキン氏は生粋のバージニアン、つまりバージニア生まれのバージニア育ち。バージニアはイギリス人が最初に入植した地であり米国内で歴史を感じさせる数少ない州の一つだ。ヤンキン氏はジェントルマンのもの腰で都市郊外浮動票、特に女性票を反トランプから奪い返したようにも見える。
それよりも今回の共和党勝利はバージニアには"新大統領の後の知事選では反対党が勝利"というジンクスに大きく影響されたと見ていい。2016年には私達はオバマの次は共和党と思っていたくらいです。しかしトランプのは惨すぎた。
むしろ2024の民主党大統領候補は一体誰になる?を真剣に考えた方がいい。
しかしこの知事選直後に勝利者ヤンキンに大きなケチがついた。これも現民主党知事が就任直後に起こったブラックフェイス騒動によく似ている。
ヤンキン氏息子の事件が起こったのは投票日の11月2日の朝。一人の若者がひょっこり地元図書館の投票場に現れた。規定通りドライバーライセンスを提示して貰うとこの若者は17歳。
米国では18歳で選挙権を得る。そこの選挙管理員は名前からしてヤンキンの息子の一人らしいと直感したのだが、その時選挙管理員は、彼には選挙権がない、と説明した上、ヤンキン少年は選挙登録をしていないのでその場で登録することを申し出たそうだが少年は好意を断りその場を去った。しかし、約20分後にこの少年、投票所に舞い戻った。同年の人が投票したので自分も投票できる、と主張。再び選挙管理員に拒否され、去った。
この出来事は選挙管理員のインシデントレポート(事故報告)に記録された。
この選挙区を管轄する郡では、このヤンキン少年はただ投票所に行っただけで違法行為は何一つしていない、だから起訴はおろか捜査もしない、と発表。主要メディアもこれを報道した。
その後は、17歳だというのでメディアによる名前と写真報道もなく、ヤンキン側も貝のごとく口を閉ざしている。
だが、メディアへのコメントには、明らかに手加減だ、もしこれがヤンキンの息子でなく黒人だったら厳しく捜査され起訴になっていたはず、というのがかなりあった。
またヤンキン少年は一体どちらに投票するつもりだったのか知りたい、というのも多かった。
しかし、ヤンキン氏は選挙中家族の結びつきの大切さを強調していただけに、
一体家庭でどういうコミュニケーションをしていたのか?
甘やかされたバカ息子!
(事件後の)親の顔が見たい! というヤンキン批判コメントがゾロゾロ出ていた。
下のソングはつい最近大流行しているとか。元歌はすっかり大ヒットだそうですが、英語の歌詞が凄い。十代の頃のうちのガキ共が狂った時の言い返しにそっくり。米では十代の子を持つ親の苦労は大変です。まず警察のお世話にならない事が第一。それでヤンキン氏への同情の声も結構出ています。
この時期に親からの独立がいよいよ行動化するのだが、その反面、彼らの内面の抵抗は凄まじい。Separation anxiety(別れに対する不安症状)でしょうかね。