chuka's diary

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リッテンハウス判決と服部君殺害事件

 

chuka123.hatenablog.com

 

3日かかって陪審員がついに判決を出しました。全員一致です。リッテンハウス少年(当時17歳)は5項目ほど起訴されたのだが、全部無罪になった。もちろん理由は正当防衛です。彼の無罪はリベラル派からも予想されていた。

 

なぜこの裁判がスタートから政治的になってしまったからかというと、この少年はトランプ支持の自称民兵"プラウドボーイズ"の一員としてライフルで武装した民兵姿でBLM支持の群衆が集結した夜のケノーシャ市に現れたからです。

 

そして、彼の最初の弁護士は1/6クーデター未遂事件に加担したリン・ウッド弁護士だった。この弁護士は加害者少年の訴訟費用寄付をSNSで呼びかけたちまち約2億円をかき集めたので一躍名声を馳せた。

当然親分のトランプもリッテンハウスを愛国者と事あるごとに褒めちぎったのだが、寄付金の用途をめぐって争いが起き、リッテンハウス側はリン・ウッド弁護士をクビにした。今でもリッテンハウスの弁護士は、リン・ウッドを、寄付金目当てのコソ泥、と呼んではばからない。

 

下の動画はリッテンハウス判決、11月19日、とその直後に起こった抗議デモの様子。これに備えて地元ケノーシャでは500人の州兵を呼んでいた。

 

去年の事件当日に州兵を呼んでいれば、リッテンハウスの連続射撃殺人事件は起こらなかったはず。全く皮肉としか言い様がない。

 

無罪の判決が読み上げられるとリッテンハウス氏は大声で泣き崩れた。凄いシーンです。またその夜は地元ケノーシャだけでなく、NYやあのポートランド(オレゴン)でも抗議集会が起こった。

 

動画の一コマではこの少年の二番目の被害者、🛹スケートボード・マン(スケートボードで少年を打った男)の婚約者、が今こそガン所持規制の法を変える(=強化する)べきだと涙ながらに訴えている。

 

またこの裁判ではリッテンハウス氏の法廷証言が大きな話題を呼んだのだが、下の動画でも彼の弁護士は、リッテンハウス側は、モック・トライアル(模擬裁判)で被告の証言付き・無しの2つのケースを試み、証言付きの方がよい結果を得た、述べている。

 

リッテンハウス側はOJシンプソン裁判の"審判員コンサルタント"を雇っていたことからも金銭的に余裕があったようだ。OJシンプソン裁判ではシンプソン自身は全く証言しなかったが、それでも無罪を勝ち取った。

 

このような事からも被告側は裁判に相当の金をかけたことがわかる。米では法廷での勝ち負けはどれだけ金を使って有能弁護士を雇えるか、にかかっている、と言われている。

州側もこのような大裁判にはモック・トライアルをしているはずだ。が、こちらは税金払い。OJシンプソン裁判ではこのモック・トライアルでも州側は負けた、と当時報道された。

動画の最後にキャスターが、もし被告の少年が黒人だったら彼の証言には白人のリッテンハウスのように同情が寄せられただろうか?という疑問を投げかけている。

 

このリッテンハウス裁判と酷似しているのが、1992年ルイジアナ州バットンルージュで起こったAFS交換留学生服部剛丈(よしひろ、当時16歳)殺人裁判である。

加害者は、突然住宅の後ろの駐車場の車の影から飛び出した被害者に驚きパニック状態に陥った。銃を構え、動くな(=両手を上げろ)と叫んだが、被害者はそのまま加害者の方に進んだので至近距離で発砲した。銃弾は左胸を貫通。おそらく即死に近いものだったようだ。

州側は違法侵入に対応した正当防衛と判断し加害者を起訴しなかった。だが、日本政府側や銃取り締まり派からの圧力のもと、民主党州知事が起訴に賛成し、加害者起訴に至った。しかし一級殺人ではなく傷害致死罪でだ。

 

これで有罪となればほんの数年の刑務所務め。だが、この事件以外は法とは何も問題を起こさず、働き手として父親として一家を支えてきた加害者の方が地元ではかえって同情を誘ったようだ。わずか数年の刑務所行きでも一家の柱を失えば家族崩壊である。

 

この裁判の判決はわずか3時間で加害者の無罪に終わった。

しかし後の1995年の損害賠償の訴訟では服部側の勝訴。これは判事による直接判決で約2億円を払うよう加害者に命令。だが加害者側からは家屋保険会社からの損害補償金が一部として払われたきり。その後加害者夫妻が破産宣告をしたので残りは受け取っていないそうだ。

 

 

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