chuka's diary

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中絶禁止は米フェミニズムの大敗か!?

先週6月24日(金)米最高裁(SCOTUS)はついに中絶は憲法に基づいた女性の自由の行使ではない、という判断を公表。つまりこれで事実上、中絶禁止かどうかは州次第ということになり、事態は49年前に逆戻り。中絶の自由は死んだ。それで国全体が喪に服している状態となっている。特に女性側の受けた衝撃は非常に大きなものがる。しかし手放しで喜んでいるのはトランプ共和党と超保守のペンス。

 

下はそのニュース動画。この動画の最初のシーンは最高裁の前で歓声をあげ大喜びするプロ・ライフ側の群衆達。プロライフとは胎児の生命をまず第一に考えこれを守ろうというグループ。何しろ旧約のモーゼの十戒の一つは"殺すな"です。

今回の判断は9人の判事の内5人のプロ・ライフの判事達に数で押し切られた形となっている。

 

2020年9月、米大統領選の一か月半前に突然ギンズバーグ判事が亡くなってしまい、トランプはその後釜にバレット判事を押し込んだ。この若い女性判事はカトリックのカルトに属していた人で絶対に最高裁判事になるべきではなかった、というのが私の印象だ。しかしこれでこれまで4人だったプロ・ライフ判事が5人となり5対4で最高裁は中絶禁止判事に乗っ取られてしまった。

 

下の動画が説明しているように、1973年"ロー対ウエイド"という訴訟の最高裁判断により、妊娠出産という人生のプロセスが存在する女性については憲法の自由の適用として中絶の権利が認められた。しかし1992年の"ケイシー"の判断ではペンシルバニア州の妊娠15週以降の中絶禁止を認めた。よってそれ以降は各州による胎児保護の中絶規制が認められてきた。それが今回の判断で一挙に覆された。

49年前は中絶禁止は30州。今回でも規制州がほぼ同数に達する予定。

 

今日男女平等社会に生まれ育った米女性達は1964年の公民権成立後の女性達の苦労を知らない。1980年前後まで独立を目指した女性達の多くは貧困母子家庭の罠にはまったものの、アファーマティブアクションで教師や公務員、民間分野の中間管理職につき子育てをした。

今日の #MeToo 世代がどのように反応するか、は全く新しい分野であるというのが私の印象です。というのは、トランプ共和党の次のターゲットはアファーマティブ・アクションになるのではないかと予想されるからです。特権をはく奪されたと信じ込む白人男性の怒りは深い。

 

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