chuka's diary

万国の本の虫よ、団結せよ!

トランプのアメリカ:バイデン汚職の真実性!?

トランプ側の強硬な非難にさらされたバイデン大統領候補と息子ハンターの汚職疑惑のもとネタとなっているのが、ピーター・シュバイツァーによる"Secret  Empires" 2018だといっても間違いないだろう。著者は2015年に"クリントン・キャッシュ"を出版、これは超ベストセラーになった。この波に乗じてドキュ映画も作られ、"  Money Grubbing Hilary" =金掴みヒラリー、というヒラリーを嘲笑するトランプの呼び名はこれに由来。FBIはクリントン財団の調査に乗り出し、この本とドキュは クリントン敗北の原因の一つとみなされている。日本語訳あり。ドキュメンタリーの方はYouTube英字幕でフリーでご覧できます。

私は拙ブログで取り上げた事もあり、"Secret Empires "をさっと一読してみました。この本の日本語訳はないよう?です。 

下の動画ではトランプ派のフォックスTVキャスターであるハニティ氏が著者と本を紹介しています。この" Secret empires"も2018年のベストセラーだった。

 https://www.youtube.com/watch?v=mo3LpGOFIAY&t=238s

 


Peter Schweizer on exposing Obama-era corruption in new book

著者シュバイツァー氏は汚職は人間心理の問題であり、民主・共和を問わない。かっては金を受け取るのは本人だったが、法規制が厳しくなった今日、太子党絡みの代理汚職(=corruption by proxy)が横行するようになった。バイデン汚職はその典型とまで彼は言い切っている。そこがトランプの心をがっちり掴んだ。 

 

この本にはオバマ時代からトランプまでの大統領及び政府高官トップの外国政府関連汚職疑惑またはニアミスが列挙されている。

バイデンの部分は全体の約1/5を占めるのみ。しかしこの本の内容自体が専門語で凝縮されているので一般読者にはかなり難解ではないかと思われる。著書は特にバイデン親子を犯罪者扱いしている。理由は中国から流れ込んだ金額の違いだそうだ。内容からして、トランプの太子党、クシュナーの方が同等かそれ以上に犯罪人候補にふさわしい。そのあたりが政治的バイアスだと見なされても仕方がない。

以下は彼のスタンスに立った拙スーパー要約。

この本の目的は近年目立つようになった大統領を含む米政府高官の太子党(=princelings)を使った外国政府の汚職阻止目的の立法化を実現することだ。

従来の外国政府汚職阻止法では外国政府の高官子弟を現地で雇用し優遇することを禁じている。しかし米国内法では米政府高官の成人子弟が外国政府からの金銭享受と関連するような親に便宜をはかってもらう事に関して公開しなければならないという規定がない。それが法の抜け口となり、バイデン、ケリーの太子党を巻き込んだ汚職が起こった。

オバマ政権の国務長官ケリーの義理息子、クリス・ハインツはハインツ財閥の運営管理をしている。イェール時代の友人デボン・アーチャーはケリーの選挙参謀でもあったことからケリーに近かった。ハンター・バイデンはイェール大出の弁護士でビジネス界でのキャリアを追求。三人共にハインツホールディングスを運営していたが、オバマ政権の成立とほぼ同時に彼らはハインツの外郭団体としてローズモント・セネカという投資コンサルティング会社を設立した。彼ら3人はオバマ政権の外交政策を後追いする形で外国向け投資ビジネスを拡張していった。彼らの大きなブレイクは2013年にハンターがエアフォース2で父バイデンと共に中国を訪問、帰国後10日目に中国政府から中国内に中国系との合同投資会社設立を許可され、中国銀行から15憶ドルという巨額な投資金を得たことだった。

中国は共産資本主義国、すべてのビジネス組織は共産党の指導化にある。だから彼らの中国系会社は成功を保証されたようなもの。予想通り彼らのビジネスは拡大を続けた。

だが中国側の見返りは何だったのか?中国の覇権政策はオバマ政権と真っ向から対立。それにも関わらす。彼らの設立した合同投資会社は中国政府の国益に連結する会社を直接、間接的に買収、その中にはコンゴの鉱山権取得目的のものや、米国内での不動産取得目的のもの、それから米国の軍事機密を盗み取る会社があった。高官の子弟が直接間接に関わっていれば、捜査も規制もしにくくなるのは当然だ。

 

2014年、ウクライナ財政再建のポイントマンがバイデンになると、ローズモント・セネカの目はウクライナに向けられた。

ウクライナガスという親ロシアのオリガルヒ(財閥)と元親ロシア政府環境大臣が創設したナチュラルガス製造会社に役員として就任したのは、デボン・アーチャー。次にハンター・バイデンが続いて就任。クリス・ハインツは加わらなかった。

ロシアから独立以来ウクライナ経済はオリガルヒに牛耳られ、汚職が蔓延し、それが政変後も全く変わらない。

例えば、ウクライナガスはウクライナ最大のガス製造会社だが、欧米のようなアセットを確認明記したバランスシートや収入報告書もない、もちろん法的会計監査もない。そこの経営者オリガルヒはウクライナの主要銀行まで握っていて、そこでは一般の預金が架空のローンとなって出ていくという出鱈目ぶりだったそうだ。同様に欧米の資金援助金は架空の材料購入費としてこの銀行をスルー。当然金の行方は分からない。

ハンターのコンサルティング会社はいわば汚職の根源であるウクライナガスを透明化し欧米から資本を集めるのが名目だったのだが、事実はケリー、バイデンという名を盾に政変後の汚職捜査をかわすのが真の目的だった。だからバイデンはオバマ任期終焉の前、2016年にウクライナを訪問、検事総長を辞めさせ、事実上彼ら親子の汚職捜査を辞めさせた。(これについては異論あり。)

しかし著者はハンターの報酬金額については公表されていないので分からない、と書いている。成人した太子党には問題ありの報酬を公表する義務は法的にないからだそうだ。

 

以上がバイデンに金が渡った、汚職だ、"バイデンINC"だと著者が主張する根拠だが、読んでお分かりのように息子から親への金の流れが見えないのだ。金がバイデンに渡った経路は全く不明。バイデンは個人収入を公開し連邦税を払っている。 

しかもこれはバイデンというよりケリーも同等かまたはそれ以上の責任があるのではないか、という疑問が出て来るのも当然。ケリーの妻の実家ハインツ財閥の後援無しには事態はここまで進まなかったはずだ。

ところでローズモント・セネカのパートナー兼友人だったデボン・アーチャーは2016年にウクライナガスの役員を辞任。理由は彼自身がコマンチ・インディアン居留地の債権発行詐欺一味として検察に起訴されたからだった。しかし彼は去年2018年に一旦有罪から無罪となった、彼の他は有罪で刑務所送りになったにも関わらず。

アーチャー氏やハンターの散財ぶりはメディアでいろいろとおもしろおかしく書かれているが、それがどこまで真実なのかどうかは疑問。

 

拙印象:著者の広大なリサーチには脱帽するが、内容はかなり雑。金の流れが途中で途絶え、後は想像力で汚職犯罪者とバイデン親子を決め付けることはこの内容では説得力に欠ける。しかしトランプはこれをまともに信じ込み、バイデン汚職捜査に乗り出す姿勢を世界に公表するようウクライナに脅迫だ。本の力、\(^o^)/!

 

しかし私は著者の主張する太子党汚職阻止の立法化には200%賛成だ。バイデン汚職についてはバイデンが大統領になれば必ず浮上し議論が蒸し返されると予想している。汚職が本当ならばどこからかリークが出てくるはずだ。