前回の続きです。
あの全米黒人ジァーナリスト協会のイベントですが、大統領候補を招待するのが恒例となっている。今回カマラ・ハリスはスケジュールの都合で招待を断っている。ズームでスピーチすると複数メディアで報道されたが、それも調整できなかったようだ。
あるコメンテーターは、組織内のコミュニケーションが不機能と批判していた。
ところで、トランプは会場でファクトチェックを主催者側がしない、という要求を出し、折り合いがつがずに討論会開催が約45分遅れた。
ファクトチェックというのはもちろんトランプのウソのその場チェックです。
トランプは過去の政策と結果について自分の都合のよいように大幅に作り替えたり、まったくのウソをつくことで知られており、相手のキャスターもうっかりすると彼の片棒を担いでしまう。それを防ぐ目的だった。
デモグラフィック的には米の黒人層というのは低所得層を占めている。
トランプ政権下では各種の政府補助が徹底的に縮小されたり廃止され、低税率も低所得層には何の得にもならなかった。もともと税金免除の所得範囲ですから。
トランプは国民健康保険も全面廃止する予定です。だからトランプ政権下で一番被害を被ったのは低所得層だった。
彼が再選されれば反トランプとみなされた約100万人の連邦職員が解雇される。アファーマティブアクションで雇用された女性と黒人層が集中的に解雇されるのは当然予想されるべきことです。
だがトランプは、彼は歴史上リンカーンに次いで黒人を助けた大統領と豪語してやまないのだ。だからパネルの黒人ジャーナリストもその点を突きたかった。
この討論でトランプはカマラ・ハリスが黒人を称しているのは選挙に有利だからだが、本当はインド人のくせに、というヘイト発言をして非難をあびた。
同じ討論会でやはり大きく取り上げられ非難されたのに、押し寄せる数万人の『移民』はやってきた途端に、ブラック・ジョブ(=黒人の仕事)を奪うぞ、という警告があった。
『ブラック・ジョブ』発言はこれまで対バイデン討論でもしていた。彼のラリーではもう常套句で誰も驚かないが、さすがに黒人都市と呼ばれるシカゴの聴衆にはこたえた。
あの、トランプから『無礼者』と面と向かってやっつけられたABC放送の黒人女性記者が間髪をいれずに、『ブラック・ジョブ』とは何ですか?』とマイクを通して大声で聞き返した。
その場は一瞬緊張です。
そこでトランプは、『誰もがつける仕事だよ』と定義した ❕
もちろん、会場は唖然。すぐに怒りの声がとってかわった。
このトランプのおかげで、『ブラック・ジョブ』はSNSのミームになっています。
それが下のシモーヌ・バイルスさんの毒ツィートのつながった。
金メダルの米体操選手、トランプ氏の「黒人の仕事」発言に反発(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
上の記事でも言及されているように、シモーヌさんには4年前にトランプの副大統領候補JDバンスが暴言を吐いていた。
彼の余計な英語レトリックを取り除くと、つまりシモーヌさんが東京オリンピックで精神的ストレスを理由に出場ドタキャンしたのはアスリートとしての弱さのしるしだ、一人の人間としての勇気として褒め称えるべきではない、というきつーい批判です。
バンスによる『子無しキャットレディ』発言が民主党側の時事解説動画スタッフによって発掘されて以来、このフォックスでのシモーヌさん批判発言もSNSでバンスのウィアード(変人)発言としてしきりに拡散されていたところ、今回のパリでシモーヌ・バイルスは金メダルを取った。
Congrats, Simone ❤❤❤❤ for your "black job" !