先週のDNC(=米民主党全国大会)で民主党大統領候補に指名されたカマラ・ハリス。
最終日の8/22に受諾のスピーチをしました。
無理がなく上出来という印象です。
下の動画は全スピーチです。
特に最初の部分で亡くなった母親の思い出を語ったのがとても印象に残った。これは私だけではなかった。多くが感慨無量でした。
米は移民の国です。トランプの父はドイツ移民の息子。トランプの母はスコットランドの貧しい家族の出でNYで金持ちのメイドになった人でした。トランプの2人の妻は共産圏だった東欧からの移民です。JDヴァンスの弁護士夫人もインド移民の娘です。
インド系はここ数十年来米国社会に大きく進出した移民グループです。
カマラのお母さんは19歳の時にたった一人で米国に留学した。しかもインド女性には珍しく、カマラさんの父親とは学生結婚だった。これは妹マヤさんが彼女のスピーチで言ってました。
卒業後インドに帰り、インド社会の慣習に従い見合い結婚をすることになっていたのに、ジャマイカ出身の学生と結婚して米に残ったのです。
それ以後二人はよりよい学究の場を求めて転々とすることになった。7年後に二人は離婚したが、その頃母親は博士号を取得、二人を育てながら研究職に没頭した。
最後は念願だった乳がん治療の研究をし素晴らしい業績をあげたと評価されている。しかし、彼女自身もその癌で急折してしまった。
下はスピーチ動画の09.00からの拙要約です。
カマラ・ハリスはスピーチの中でこの母親を、身長わずか150cm, 茶色の顔に強いアクセントの英語を話した、と紹介した。そのせいで母親が世間からひどい扱いを受けていたのを長女として十分に知ることになった。
だが、私の母は常に冷静で決してうろたえなかった。母は、強く(=tough) 勇敢(courageous) 、女性の健康の為に闘った人達の草分け的存在(=trail blazer)でした。
しかも、母が私達姉妹に教えたことは、たとえ世間から不公平な扱いを受けても、絶対に泣き言は漏らすな(=Never complain about injustice)、だが、解決に向かって何かをしなさい、(=Do something about it! )。
これが私の母だったのです。
それと、これは母が実際に言った言葉に、手抜きなんかしちゃ絶対にダメ!(=Never do anything half- assed! )があります。
本当に素晴らしい闘うお母さんだったことが聞いている私達にもよく伝わってきます。米国は良くも悪くも競争の国です。移民に対する人種差別も競争につきものと考え、ささいな事に落ち込んでしまう余裕はない、というのが移民の私の印象です。
黒人であるミシェル・オバマも同様な事をスピーチで言っていました。
最後のカマラの母の half-assed は大統領候補としてはいささか下品な表現ですが、カマラはカマラです、ズバリと言ってのけた。そのへんがトランプが彼女との討論を恐れる理由でしょう。
彼女は天然です。バイデンも大統領候補討論会で虚を突かれて内輪もめ騒動になった。カバノー最高裁判事任命の公聴会で彼に泣きべそかかせたのはたしかカマラではなかったですか?
一番下の同時通訳の動画ではこのhalf-assed 箇所は通訳しそびれている。無理ないです。同時通訳は神業です。私にはとても出来ません。
カマラの父は著名な経済学者で、名門スタンフォード大学の教授を務めた。トランプはカマラをマルクス経済学者の娘だとデマを流した。が、スタンフォード大は保守の牙城です。それほどトランプは無知で有害な人間だ。
彼女の話の内容からしても、トランプがしきりに言いふらしているように、低IQだとはとても思えない。むしろ、話に教養が感じられないのは、トランプの方です。小学校高学年の悪ガキがそのまま大統領候補になっている、というのが大方の印象です。しかも発想が気持ち悪い。まぎれもなく精神疾患の影響です。
そのトランプに経済等の専門的な話をしろ、と言っても無理というもの。特に最近の急速な高齢化で話の筋すら全くつながってない。
下のハリスの全スピーチ動画は比較的分かり易い英語で語られている。英語の勉強のいい教材になります。大体の意味が取れれば米国の大学でもやっていけるはず。
下は同時通訳