chuka's diary

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トランプのアメリカ:イラク撤退はミステイク!?

米時間の1月7日、ちょうどこのブログを書いている途中イラン政府は短距離ミサイルをイラン国内からイラク北部の二つの米軍駐屯地をターゲットにし二回に渡り発射と発表。この発射は米側からは最初から察知されていた。米軍駐屯地はイラク防衛隊の基地を借りている。夜遅くになり、すべては旨く行ったというトランプによるツィート。米軍には死者は出なかったもよう。イランはこの弔い攻撃に反撃するとあのドバイ、イスラエルのハイファを復讐攻撃する、と世界に宣言。一体イランという国は何のだ?と思ってしまう。とても21世紀に存在するとは思えない。こういう体制下で生活しなければならない人々の苦労とストレスは並み大抵のものではない筈だ。

 

ところで米国内ではイランのソレイマニ司令官暗殺に関するトランプの嘘が一枚一枚剥げ落ちてきた。

まず暗殺の主要な理由、ソレイマニはイランの米軍に大攻撃をしかけるところだったというが、具体的な情報を掴んだのか、とCNNの著名なアマンプール記者に面と向かって尋ねられても、エスピー防衛長官は話をそらすばかり。つまりそれはウソだったからだ。

この暗殺の日が上院での弾劾裁判開始直前であることから追い詰められたトランプの謀略に見えてくる。つまりイランと戦争ごっこで弾劾裁判を全くの骨抜きにするつもりなのだ。トランプはツィートで、頻繁に自分の天才ぶりを賞賛、民主党は無策の能無しとこき下ろしている。

ソレイマニは過去20年間米兵やイラク市民を殺害し続けてきたモンスターだから死んで当然、とトランプはツィート。実は99%の米市民はソレイマニの名前をこの暗殺事件で初めて耳にしているのだ。ニュース番組の軍事オタクによれば、ソレイマニはブッシュ、オバマ、イスラエルが暗殺する機会を狙っていた、という言い訳が暗殺翌日には広く米国内で報道された。

しかし1月5日、CBSの" Face The Nation" という日曜朝の時事解説番組に出演した2008年からイラク米軍総司令官を務めたペトレイアス氏は自分がイラクにいた時期にはソレイマニ司令官はイラクを訪れた事もなく、逆にシーア派民兵はその後米軍と協力してイラクのISISを攻略した、と単刀直入に話していた。このCBSはトランプでさえ、フェイクニュースの中でもっとも中立であると見なされている

経済制裁でイランが逼迫し、反政府運動が盛り上がりを見せている最中にソレイマニを暗殺した事でイラン、イラク、レバノンのイラン系民兵が跋扈している国での反政府運動を殺してしまったのがトランプなのだ。

イラクでは暗殺後、スンニ派とクルド系議員は欠席、シーア派の議員だけの議会で米軍撤退要求が可決され、イラク首相により公式に米側に撤退要求が通告された。ある情報によればこの決定には法的拘束力はない、ということだが戦時下のイラクに法などといっても無理な話。

その後、イランのソレイマニの後釜になった将軍がテヘランからトランプにイラクから撤退するように要求し、二時間後に下の米軍撤退の通告がイラク国防省に送られた。

下の動画はMSNBCの時事解説者レイチェル・メドウのニュース番組でバグダットの米軍司令官が米軍撤退する旨をイラク防衛長官に通知する手紙の解説の一コマ。

レイチェル・メドウはLBGT。彼女の番組は反トランプにリベラルであるが、トランプに関連する法についての解説が非常に人気を呼んでいる。

この手紙はイラク首相側から公開された。だからイラク撤退はもう既成の事実だと見なされていた。

  


Iraq Withdrawal Letter Screw-Up Shows Pentagon Tainted By Trump | Rachel Maddow | MSNBC

この手紙の中には撤退理由としてイラク議会の決定が挙げられている。

撤退にあたり、米軍のヘリが頻繁に飛び交うことや基地の交通量が増すことなどを挙げ、米軍としては可能な限り住民に迷惑をかけないことを約束しイラク側の協力を要請している。最後に米軍の感謝の意、そして米軍はイラクの主権を尊重するので撤退すると書かれている。

ところが、トランプ側は突然の心変わり。この手紙は下書きがミステイクで送られ、撤退はあり得ないと全くの否定に回った。

しかし、イラク政府はアラブ語訳に問題があったので2回も同じ通知が送られてきた、と説明、米軍撤退は公式だとみなしている返答している。

この通告はミステイクではなく今やミステリー。

明日にはトランプがイランの報復攻撃をTVで説明する予定だそうだ。