随分昔のことを持ち出して申し訳ない。
今は昔、都内の新左翼系の大集会であるビラを手渡された。見出しは、
❝便所からの解放❞
何でも ‟グループ闘う女” という名のウーマンリブの方々から。
『女は慰安婦、男の公衆便所、セックスのはけぐちか飯炊き洗濯女』
私が慰安婦という文字を目にしたのはこの時が初めてでした。しかし、巷では慰安婦とは日本軍につきまとった商売熱心な水商売のお姐さん方だとウワサされてたので、ビラを読んでつい笑ってしまいました。もちろん慰安婦は日本人のみと思いこんでいました。だから当時の私のオツムはネトウヨ並ということに。
ところで、『慰安所は共同便所』、という似たようなキャッチフレーズと自ら改良した慰安婦検黴台で世界中で悪名を馳せたのは、元陸軍軍医の麻生徹男氏。
世界中で、というのは嘘ではない。千田夏光に受けた汚名を返上、とばかりにネトウヨと彼の娘さん達が当時の陸軍に提出した彼の意見書を英訳してしまった。 しかし、共同便所は、shared toilets と訳され、返って逆効果になっている。
1973年に出版された千田夏光氏の従軍慰安婦には、麻生氏の 『花柳病ノ積極的予防法』という1939年に帝国陸軍に提出した意見書が全文収録されています。
これがなければ、夏光氏のルポ本の信用度はかなり低下したはず。
軍用特殊慰安所ハ享楽ノ場所ニ非ズシテ、衛生的ナル共同便所ナル故、軍ニ於イテモ慰安所内ニテ酒類ノ禁止サレアルノハ寧ロ当然ノ事ナリ。
上の引用は、陸軍への意見書の第四項、アルコール飲料禁止について、からです。
軍用特殊慰安所というのは陸軍が直接運営監督する慰安所のことです。
千田氏によれば麻生氏は性病感染防止という立場から、この軍用特殊慰安所の推進者だったとされています。
所要時間は30分、各兵は指定されたルームでまず陰部を洗浄、コンドームを着装、行為終了後、再び陰部を消毒液で洗浄し、殺菌クリームを尿道に挿入、となるのでかなり忙しい。
しかし私は当時の米陸軍の新兵向けの性病防止の為の教育映画を見ましたが、米側のはもっと厳格、インターコース(=セックス)終了後、近くの予防ステーションで局部完全洗浄から防止薬を尿道に注射器で挿入し、時間をおいて再洗浄と、少なくとも30分以上はかかる。そのステーションンには衛生兵が24時間待機し兵士を監督していました。
アルコール(酒)摂取は一時的な脳の機能障害おこす。外見からは正気を失った状態=delirium、に見える。症状として性欲の解禁がよく知られている。だから酒の勢いで女を買いに行く男や、人前でストリップを始める女が出てきたりするわけです。同時に手足の動きが鈍くなるので、インターコースも当然長くかかり、分刻みの慰安所には全く不適切。正気ではないから、奇声を発したり、暴力モードに突然早変わりするので、迷惑千万。当然ながら、麻生軍医は慰安所での酒禁止を主張しておられます。
史上初の日本帝国陸軍直営の慰安所がオープンしたのは、1938年、あの世界中を震撼させた南京大殺戮の直後ということになります。
しかし、この軍直属の慰安所は失敗に終わったのです。価格は2倍、時間は短い、気に入った娘が選べない、兵士達は、どうせ死ぬんだ、と梅毒蔓延の地元の娼家に流れて、結果的には性病防止効果は上がらず、慰安所には閑古鳥が。麻生軍医が力を入れた陸軍初の軍用特殊慰安所は一年足らずで閉鎖され、半官半民、つまり陸軍の規則には従うが、日本人や朝鮮人が経営する民間経営の慰安所が一般的となっていったわけです。 というわけで、変なところで自由
競争のキャピタリズムが勝利しています。
慰安所が共同便所なら、慰安婦は便器か。
事実、戦後の進駐軍は日本の敗戦処理政府が設置した慰安所の慰安婦を、YELLOW STOOL(=黄色の腰掛便器)と呼んでいた。
しかし私は思うのだ、。麻生軍医のメタフォール、慰安所=共同便所、は医者として全く不適切な表現だ、と。インターコースは排泄ではない。オルガスムス(=orgasm)を伴う生殖行為である。 しかし、インターコースの目的はオルガスムスを得ることである。
しかし、排尿、排便ができなくなると、人間は死に至る。
だが、インターコースをしないということが人間を死に至らせるだろうか?その医学的証拠は今日に至るまで皆無である。
残留日本兵として有名な、小野田寛郎さん、横井正一さんは、少なくとも25年はインターコース無しで生きている。
小野田寛郎は、ルパング島で略奪、殺人、放火と、あの三光作戦もどきを元部下と二人組で実行してサバイバルしたのだが、レイプだけは報告されていないのだ。
また、日本人は一般的に西洋人は性欲が旺盛だ、と信じているようだが、中世には多くの男性は僧院をめざした。修道僧は一生不犯。ヨーロッパ中世が暗黒時代と評価されるのは、多くの優秀な男性が僧院で聖書をコピーしながら一生を終えてしまったからだ、という歴史家もいるくらいだ。
十字軍で活躍したテンプル騎士団は一生不犯を神に誓った僧侶の軍団だった。
一生インターコースをしない事はむしろ神に気に入られる事だった。
ところで麻生軍医自身も人間はインターコースしなくても生きていけると考えていた。
禁欲ハ有害ナリト言う者アリ。彼ラハ性欲禁止現象マデ羅列シ、ソノ有害ヲ説ク。
日本人には上の説の信者が非常に多い。
禁欲ガ有害ニシテソノ結果、生殖衰弱神経症ヲ起コシ摂護腺腫大ヤ所轄,色情性副睾丸炎等ヲ惹起セシ実例ガ果タシテ幾何アリヤ。
そういう人達が列挙する3つの症状とは
生殖衰弱神経症とはインポテンツ、多くは年齢に関係している。
摂護腺腫大は、前立腺肥大のことで、今日、年長者男性の多くに見られる。
生殖衰弱神経症とはインポテンツ、多くは年齢に関係している。
摂護腺腫大は、前立腺肥大のことで、今日、年長者男性の多くに見られる。
色情性副睾丸炎は、睾丸上部の炎症で、原因は黴菌侵入であるから、むしろインターコースが介在している可能性がある。
慰安所を共同便所とする彼のメタフォールは、賤業と呼ばれた公娼を見下しバカにするのが目的で、医学的メリットが全くない。それどころか一般人の誤解を招いている。