過去の事例から、"スペシャルマスター"はマイケル・コーエン、ジュリアー二元NY市長及の家宅捜索で押収された書類に採用された。書類にはe-mail、携帯メッセージや記録デバイスも含まれる。
上の2人は当時トランプの顧問弁護士で、弁護士-顧客特権が存在した。つまりトランプとの交信内容は検察に公開されない、証拠として使えない。コーエンもジュリアーニも捜索直後に申請し、指定の弁護士が中立の立場で判断を下した。コーエンは逮捕され拘留中に検察側に寝返り、選挙法違反はトランプの命令と主張したが、有罪。トランプは不起訴となっている。どうやらトランプを庇ったことが裏目に出た。ジュリアーニのケースは捜査中。彼の家宅捜索2021年はハンターバイデンに関連したもの。
大騒動の発端は、先々週の金曜日、MSMBCの時事解説番組でゲストの弁護士が、もし私がトランプの弁護士だったら真っ先にすることは"スペシャルマスター"の要請だ、と述べたことだとキャスターのアリ・メルバー氏。彼自身も弁護士である。
このゲストは実際トランプから家宅捜索事件の弁護の打診を受けたが断ったと告白。他の著名弁護士も断っていて引き受け手がないらしい、とメルバー氏。理由として、事件に勝ち目がない、トランプは助言に反する事をして弁護チームの足をひっ張る、料金を払わない、を挙げてメルバー氏は質問攻勢。この事件の弁護費用の代替えを共和党は断った。
その熱したトークの最中に、この話がポロリ。その時ゲストは弁護士・顧客特権と大統領特権の2点を根拠として挙げた。大統領の職務上必要性として全極秘情報の閲覧特権が与えられている。しかし前大統領の特権はすでに消滅。それを決して認めようとしないのはトランプ。彼の弁護士も法より忖度だ。
翌週月曜日の朝一番にトランプ弁護士チームはスペシャルマスターを判事に要請。今度のは家宅捜索を許可した判事ではなくトランプ指名で任命させた判事でこれも2020のデジャヴュのようだ。
しかし捜索から2週間経っているのでもう遅すぎるという声が上がった。FBIはすでに極秘文書の内容を分類し終わり、これからは個々の危険度評価調査に着手したと発表。
トランプ側の動議書は内容に法的意図が読み取れないとして書き直しされて受け入れられた。判事の命令通り、今週8/30(火)の期限時間24時ギリギリ直前にFBIが32ページの反論を提出し、昨日8/31(水)に再びトランプ側弁護士によるFBI反論に対する反論19ページが期限時刻午後8時前に提出。
相方の書類はネットで即公開。トランプニュース・ファンにとっても解説コメンテーターにとっても本当に超忙しい日になった。
特に昨日はトランプにとっても大忙し。自身のSNS、TruthSocial で60回ツィートしていた。その中には再選挙を今すぐしろ、自分を大統領に復位させろ、極秘書類はすべて私が極秘解除した、今や忘れられつつあるQアノンプロパガンダ再ツィート等々。正気のほどが疑われている。
もともとこの家宅捜索はトランプの留守中にひっそりと行われ、トランプが騒ぎ出すまでメディアには全く知られていなかった。トランプは税制上の便宜と他の理由でマーラーゴには6か月しか居住できず、今は他州の別のトランプ・オーガニゼーション所有のゴルフ俱楽部・リゾートホテルに居住中。マーラーゴは夏季閉業中です。
これまで表立って何もしてこなかったガーランド司法長官を弱虫と見くびったのが裏目に出た、とメディアで指摘する人も数少なくない。このガーランド司法長官は実はヴァイパー(マムシ、ハブの毒蛇の類)だったと。
特にトランプの友人と称する有名人達は、トランプに口を閉じるようメディアで忠告している。
しかし、このトランプ、他人の忠告なぞおとなしく聞くような人ですか?
北の将軍様からのラブレターを訪問客に見せびらかし、ワシはマクロン仏大統領の性生活の秘密を政府情報から知っとるぞ、と周囲に豪語。このような例からも米政府の超極秘文書がどのように取り扱われていたのか、徹底的に調査されなければならない。
スペシャルマスターについては今日9/1にFBIとトランプ側の弁護士が裁判所で議論し判事が決定となっている。