スペシャルマスター廃止判決はトランプにとっては手痛い打撃となるはず。というのは昨日の11区連邦高裁判決はトランプが執拗に言い張ってきた"前大統領特権"を全く否定の上に立っているからだ。
だが手負いの獣には通じない。
米高裁 トランプ氏宅から押収文書の捜査再開認める(テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/098ae1e1332cfc134f99f27655c1afbe67b30832
トランプ側が果たして最高裁へ再びの上告を出すのかどうか?が注目されている。
しかしこれはすでに今年の1月に国立公文書館からの1/6下院調査委員会へのトランプの記録公開を阻止しようとした緊急要請で却下されている。
だがこの為1/6下院委員会の調査は数か月の遅れを取った。今回では司法省捜査は約3か月の遅延をもたらした。これらのトランプ訴訟はトンデモ訴訟(=frivoulous lawsuit)と呼ばれるものでトランプの十八番。トランプは悪徳弁護士ロイ・コーンの教えを忠実に実行しているのです。
この事件は今年8月8日(月)の早朝にFBIがフロリダのマーラーゴ・ゴルフクラブ&リゾートホテルのトランプ居住区を家宅捜索したことからスタート。マーラーゴは事実上トランプ氏所有ですが、彼は法的には半年間しか居住していない。事件当時彼は他の場所に居住していた。
下は家宅捜索からスペシャルマスター据え付けまでの拙記事です。
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スペシャルマスター設置判決はフロリダ連邦地裁のアイリーン・キャノン判事によるものだが、この判事はトランプにより任命された。しかしこれほどまでにアタマが " トランピアン" だとは。これは通常の予想をはるかに超えていた。
トランピアン(=trumpian)はここ2年流行しているトランプ支持者達を指す政治的用語ですが諧謔がこもっている。トランプは彼の熱烈支持者達をトランパー(=trumper)と呼んでいる。このトランパーはトルーパー(=trooper)をもじったもので言い出しっぺはトランプさんらしい。トルーパーの意味は闘士なので、トランパーはトランプの闘士です。ところがつい先だってのサンクスギビング前に新しい流行語が登場。それは
Never Again Trumper !
これは引退したはずの共和党元下院議長ポール・ライアン氏による造語です。意味わかりますよね。ノーモア・トランプです。それも共和党内で。
司法省は、スぺシャルマスター設置と同時にFBI捜査による事件捜査一時停止を命令されたことで、機密文書のみの捜査許可を連邦高裁に控訴。
高裁で許可が出た上に高裁の判事はその理由として、キャノン地裁判事にはスペシャルマスター設置をする法的権利がない!ということを挙げた。つまり、家宅捜索の押収物は国立公文書館の所有物であることを認め、具体的にはトランプの物かどうかを区分けするスペシャルマスターには入る余地がない、ということです。
それを合図に司法省は高裁にスペシャルマスター廃止の請願を控訴。対するトランプ側の反論と、さらに司法省のトランプ側反論への反論を経て、判決を待っていた。
国立公文書館所有の書類窃盗に関してこれまでスペシャルマスターが要請された前例はない。違反者は一人残らず厳罰です。
拙句:
大統領 辞めてしまえば ただの人
トランプの口惜しさ😢はいかばかりのものか!👀に見えるようです。
この判決を出した連邦高裁判事3人のうち、2人はトランプによって任命、他の一人はブッシュ(子)によって任命された保守系判事です。
保守系というのは、法的慣習に従った条文解釈と過去の判例の尊重というスタンスの判事の事です。法の一貫性維持の基本原則として重要だと考えられている。対してリベラル派判事というのは現実を重視して法の解釈をするのでこれまでの法慣習と違ってくるわけです。代表例として Brown vs Board of Education 1954 、 Roe V Wade 1973、があります。前者の判決で米の人種別学校制度は意図的黒人差別、後者では妊娠を強要される女性の自由は男性と同等ではない、という違憲判決を最高裁は下した。
しかしトランプの見方は、彼が任命した判事達は恩返しに彼に好意的判決を下すというもの。たが、だが期待はこれまで見事にはずれました、ただ一人を除いて。このただ一人が今回のアイリーン・キャノン判事です。この後、2人目が出てくる可能性もなきにしもあらず。
独裁者トランプの恐怖はまだ終わっていない。