chuka's diary

万国の本の虫よ、団結せよ!

R.I.P. 『朝の雨』のゴードン・ライトフット

カナダの国民歌手と呼ばれたゴードン・ライトフット(=Gordon Lightfoot) が5月1日にカナダのトロントで亡くなりました。84歳。公表された死因は老衰。

R.I.P. (Rest In Peace)

 

ライトフットは日本でも『朝の雨』(=Early Morning Rain) の作詞作曲家として有名でした。下がPPM(=Peter,Paul and Mary, 略してピーピーエム)1966年、の動画です。後半のおまけは日本のフォークの草分け、高石友やさん、のバンドとして有名なナターシャセブンの日本語によるカバー。ここの訳もなかなかいい。当時日本の若者は米のフォークを輸入することに懸命だった。例えば、高田渡の歌い方はボブ・ディランのそっくりさんそのものでした。

 

懐かしいです。私も昭和の高度経済成長の落とし子の一人ですが、ブーマーズ(団塊世代)の去った後の青春時代にはPPMや米フォークはすでに過去になっていた。ベトナム戦争が終結してしまったからです。若者の憎悪と恐怖の対象だった徴兵制は廃止され、米軍の自衛隊化、つまり海外ツアーを売り物にしたサラリーマン軍隊、が人気をさらった。それに人員不足で女性兵士も大歓迎。米の若者は新しい時代に突入したのでした。

 

日本の国民歌謡は演歌ですが、米にも演歌に相当するカントリーやフォークがある。演歌が怨歌と呼ばれるように、米の演歌は、ルーザー(loser=落ちこぼれ、負け犬)の心境を歌ったものが圧倒的に多い。ルーザーとは具体的には放浪者やアル中を指している。これは大恐慌時代からの伝統なのです。『朝の雨』もこの典型で、好きな女に置き去りにされたアル中男のぼやきです。ボブ・ディランもこの手の歌で米の国民歌手になった。『朝の雨』はボブ・ディランのカバー曲としても有名だった。

 

聴いていると、しっかりせんか!と言いたくなる。しかし、日本にも『昭和枯れすすき』が好きな人は圧倒的です。米も同じ。ルーザーの唄はなぜか一般庶民の心を惹きつけるのです。

 

 

www.youtube.com

https://www.youtube.com/watch?v=pgEbCk6ztmw

 

下はゴードン・ライトフット本人のミュージック動画です。彼は他にも、Sundown, If You Could Read My Mind等の 数々の素晴らしい曲を私達に残してくれています。

ライトフット(=Light foot)という苗字から、アメリカインディアンのDNAを連想してしまうのですが、本人はカナダ生まれのカナダ人、スコットランド系、だと主張。生まれ育ったところにはライトフットの苗字が複数あったが、私の家族だけはインディアン系ではない、と言っています。正真正銘の「カナダ人」ということでカナダ人も納得だそうだ。

 

www.youtube.com

https://www.youtube.com/watch?v=B34qwRrkSvQ