chuka's diary

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虚構の竹島

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http://www.tbsradio.jp/ss954/2016/02/20160223-1html

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中公新書『竹島』を出した池内敏名大教授が2月23日にラジオで竹島を語った。

拙ブログでも紹介したのだが、竹島とは距離的には韓国と日本のほぼ中間、しかしながら韓国の鬱陵島からは比較的近距離に位置する無人岩礁群であった。

あった、という過去形なのは、今日では韓国の行政下に置かれ、灯台をはじめ住民も存在し、観光船が定期的に発着している。かってこの無人岩礁群はアシカの天然生殖地であり、人間を怖がらないことでも知られていたことからも、この岩礁が韓国からも日本からも長い間孤立していたことには間違いない。

 

しかし1905年明治政府は国際法の先占原則(=Terra  Nullius)を理由に当時リャンコ島と呼ばれていたこの岩礁群を日本の領土とし、島根県に編入した。つまり、このリャンコ島は韓国にも日本にも属していない島、というのが明治政府の公式見解だった。この事に関連しては歴史的に複雑な背景があるのだが、それはここでは省略したい。

だから1905年から1945年の敗戦で独立を失うまでの期間、竹島は日本の行政下にあり日本領であった。

 

池内教授は、自分は本来は竹島の研究家ではなく、日本人漂流事件を研究しているうちに、竹島に至った、と語っていた。彼の研究は実証主義の手本だ。1900年以前の日韓両国の歴史的領有クレームについて、歴史研究者として実証できない、とのこと。

日本、韓国に国際法が適用できるのは1900年以降と見なされているので、彼の結論は非常に興味深い。それで1905年の竹島の日本領有に関して何をいうのかと期待したのだが、驚いたことに彼は『先占』という言葉を全く避けたのだ。これは意図的だ。

この番組の相手を務めた人はホームワークを実にしっかりしていた。明治政府は江戸時代の歴史的な領有権を理由にしたのか、という彼の質問に対して教授は、明治政府は全く違った理由から領有した、と答えていた。これが公文書に現れた日本による竹島領有の記録であり、韓国政府には竹島領有についてのないので、竹島は日本領となった、と結論ずけている。相手が、明治政府がここで領有権を再認識したのか、という問いには答えていない。これ以後のサンフランシスコ条約も含めて、彼の発言は曖昧模糊。

理由は、ネトウヨのバッシングを受けたくない、と言いうことだろう。

 

日本外務省の竹島サイトでは、日本は江戸時代から竹島の領有権を確立し、1905年の明治政府による竹島領有は、すでに領有していた竹島を日本国土として再認識した、と法的ルールを全く無視したBS(=屁理屈)を並べている。法的後進国の面目躍如。

この人達の思考回路と私達ののギャップの大きさに注目させられざるを得ない。

 

最後にこの教授は、日本側、韓国側の研究者は感情が研究成果に影響している、それから、竹島問題を論じた海外研究は少ない、と発言したが、これは誤解だ。法的分析に優れた英文論文がネットに出回っている。むしろ、英語論文に対等に太刀打ちできる程度の日本語論文がない、という点が問題だ。