chuka's diary

万国の本の虫よ、団結せよ!

米原子力空母で新型コロナ大騒動

この事件、日本でも大きく報道されてるので、皆さんよくご存知でしょう。

 

昨日4月7日(火)の朝、前日にUSSセオドア・ルーズベルトの艦上に立ち、私は自分の言葉を翻さない、私の判断が正しい、とまで拡声器で乗組員の前で言い切った海軍長官代行のトーマス・モドリ―があっさりとエスピー国防長官に辞表を手渡し、エスピーもいともあっさり辞表を受け取り、これで問題は一件落着したかのように見えますが・・・?

 

今や米市民の非難の的となったモドリ―前海軍長官代理ですが、コロナ感染が問題となったこの原子力空母を訪れたおかげで現在自己隔離中!とかで、一切メディアとのコンタクトを絶っている。一方、モドリ―が直接解任!したとトランプ側が主張するクロージャ―前艦長は、4月4日に艦上に集合した乗組員から拍手喝采を浴びながら背中のナップサック一つという軽装で艦を去って以来、新コロナ感染で陽性となり同じく隔離中、こちらも全くメディアからは姿を隠している。

 

この事件は米の巨大な原子力空母USSセオドア・ルーズベルトが航海中の3月23日に3人の乗組員が新型コロナ感染の症状を見せたことから始まった。最後の停泊地は2週間前でベトナムのダナン。艦長ブレット・クロージャーは即上官に報告、上からの支持を仰いだ。

 

かっての旧日本軍をおぼえているだろうか?彼らにとっては”上官の命令は天皇の命令”で、兵士は絶対服従を強いられた。米軍も同様に上官の命令はトップから最下級に至るまでのチェインと見なされ、絶対服従となっている。このクロージャ―艦長の指令チェインは上に向かっては3人の海軍大将が続きトップの海軍長官、つまり辞任したモドリ―氏までつながっていた。

 

なにしろ乗り組み員4500人のマンモス空母で原子力プラントが設置されているという特殊な状況下での問題解決はいかにこの4500人の乗り組み員を隔離するのか、どうやって替りを即急に配置するのか、というのが焦点となるのは誰から見ても明らかだ。

 

とにかく一人は陸で、2人は艦内に隔離されたようだ。これは3月30日付けの艦長の公式報告書から。ここらあたりの詳細についてはどのメディアも内容が少しずつ違い、明確でない。艦長は上官に、CDC(=米疫病防止センター)と海軍規則に従った隔離をするべきだと書いている。しかし何もなされないまま約10日後、次の目的地グァムに到着した。

この間の説明として、エスピー国防長官とモドリー前海軍長官代理は、4500人もの乗り組み員対処には、時間がかかる、隔離場所などもアレンジしなければならないので艦長の望むように一挙には不可能、私達もいろいろ策を考えているところだった、それと、感染は広がっておらず充分コントロールされているので、大がかりな隔離は必要かどうか検討する必要もある、と説明した。これはまるですべてはコントロール下にある、と国民に呼びかけたトランプと全く同じ。

 

しかし3月30日付けのクロージャ―報告書がリークされ、その翌日の3月31日にはサンフランシスコ・クロニクルという著名な地方新聞に手紙ごと掲載されてしまった事で事件は急展開。この報告書は、前述の上官及び、クロージャ―艦長の同僚等40人に送られた。

下がそれです。 

https://assets.documentcloud.org/documents/6821571/TR-COVID-19-Assistance-Request.pdf

 

この報告書は、問題・分析・解決策、という一般形式に従って書かれている。冒頭から、戦時ではなく平和時であるから、CDC及び海軍規則に従い、兵士の生命を優先させるべき、と結論ずけている。理由は、4500人が共に寝起きし、食事をし、職務についているので、全員が濃厚接触をせざるを得ず、テストによるクラスター発見は無意味、狭い艦内では個人隔離は不可能で、グループ隔離も効果無し、という状況を指摘、緊急に最低要員10%を残して全員を艦外での個人隔離に置く必要性があることを主張している。

 

以下は私の感想だが、この艦長の結論は一理ある。コロナ感染の最初のハードルは呼吸困難であり、酸素補給から始まる。今日の病院は一般ベッドに酸素補給装置があるのがスタンダードだが、武漢の病院崩壊の動画では多くの人が大型酸素ボンベから酸素補給を受けていた。また、感染者が突然路上に倒れたのを目撃した話を憶えているだろうか?これは突然の酸素欠乏でよく起こる現象だ。チューブやマスクで酸素補給を受けていた患者がトイレに行く為にそれをはずし、その途中で亡くなった、という病院事故はかなり多い。

 

また補助酸素なくしての大量死者は1918年のスペイン風邪パンデミックの際、まず米カンザス州の陸軍基地で現れた。あの頃は補給酸素は無かったので若い新兵がどんどん死んだ。この空母艦内で同じ状況となる可能性もないとはいえない。

クロージャ―艦長はダイアモンド・プリンセス号の例も引き合いに出し、もしこの空母で積極的介入がなされないと、一か月後には75%が感染し、死者も出る、と警鐘を鳴らしている。

 

その記事の効果かどうかは分からないが、フェイクメディアに追求されたモドリ―前海軍長官は、海軍はすでに1000人を艦外に移動、残りで稼働していると公表、クロージャ―艦長と報告書の公開については只今捜査中で、解任などの処分は保留と答えている。

しかし4月2日に艦長は解任されたと突然発表、4月4日に艦長が乗組員歓呼の中で艦を去るシーンが個人のセルフォンからフェイクニュースにリーク、米市民の間で強い抗議が沸き起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

この艦長はこの事件がなければこの後海軍大将になるばかりのアナポリス出のエリート軍人だった人です。