chuka's diary

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続々:米空母で新型コロナ感染大騒動

今日は4月13日(月)。まずは前回のフォローアップ

 

前回の、続:原子力空母新コロナ感染大騒動、に書いた隔離先のグアム島で意識不明で発見され、CPR(心肺蘇生)を受けた乗組員が海軍病院のICUで亡くなった。

犠牲者はグアム島到着後に実施された検査で陽性と判明、他の陽性乗り組み員と共に隔離されていたそうだ。

 

一方乗組員の感染者の数は585人に達している。しかし詳細については公表されていない。

 

3月31日に”サンフランシスコクロニクル”という新聞で上官及び同僚に宛てたクロージャ―艦長の報告書が公表され、この事件は調査中だった。

しかし4月2日に、モドリ―海軍長官代理は艦長を突然解任した。

 

Navy Times によれば、

モドリ―は解任理由として艦長の指令チェインからの逸脱をあげ、米軍人として恥ずべきこと だと非難。

その上、艦長の事実認識に問題があることを指摘。海軍はグアム島ですでに問題処理に当たっている、今日2日の時点では約100人の陽性者のみで、誰も入院している者はいない。艦長には危機管理能力がないことがこれで証明された、とも言っていた。

しかし、解任発表の直前まで”軍の職務より人命を先行させた” 艦長の処分は今は控える、というトランプのコメントがニュースで流れていたので、解任には皆驚いた。

 

一方のバイデン民主党大統領候補は、乗り組み員の命を救う為に立ち上がった艦長の勇気を買うべきだ、と解任反対ツィート。

 

しかし4月4日に艦を去る艦長と彼を送る乗組員の称賛の連呼シーンがフェイクニュースで一日中繰り返され、視聴者の艦長に対する同情心が高まった。

 

4月5日、エスピー国防長官は日曜朝の時事解説番組に次々と顔を出し、解任の正当性を主張。一方のバイデンは自宅から、同じ番組に、

”艦長解任は犯罪行為だ、艦長のしたことはむしろ推されるべきだ”、と反対コメントを発信。

 

この事態にメディアも視聴者はもかなり混乱したようだ。

 

4月6日、モドリ―氏は空母艦上で演説。彼の声は拡声器で艦上のみならず内部にも流された。

 

内容からもっとも有名になったのは以下の部分。

この情報時代に、軍事機密に関する極秘情報(=艦長の報告書を指す)をE-mailすると必ずリークされる。それを知らないでやった艦長は、”ナイーブ”でバカタレ。そうでなかったら意図的リークで、これは海軍に対する裏切りだ。この男は艦長として失格、という一節。

 

ナイーブというのは米語では、空気が読めない、または物事に疎い、等々という非常にネガティブな意で使われている。つまりナイーブな人はアホバカの類ということになる。このように艦長を屈辱した上に、追っかけで、艦長自らがリークしたと言わんばかり。そしてリークされた先のメディアについては、議会の一方の党(=つまり民主党)の為に動き、国民を2分させ、海軍の威信を傷つけるのが目的、と決め付け、トランプと同じ政治的な視点に立っている。

だから乗り組み員も選挙権を持っているという事はすっかり忘れてしまっている。憲法違反の発言をしているのはこのモドリ―氏の方だ。

 

艦長はおそらく海軍のイントラネットを使ったのだろうが、ここのE-mail システムは内部専用で軍の監視下にある。おそらく内部の誰かが意図的に外部にリークしたと想定した方が当たっているだろう。海軍内からの外部への公用文書のリークは犯罪だ。むしろ海軍は艦長に一方的に責任を押し付けるのではなく、真犯人をつきとめるべきだ、と私は思う。

 

艦は目下戦闘状態にある、平和時ではない、敵は新コロナ感染を世界にまき散らした中国だ、軍人らしく強気で当たれ、などは風車に突撃するドン・キホーテを思い起させる。

艦長をとり立てて愛する必要はない、尊敬で充分、自分の職務を好きになる必要はない、ただ責任を果たすだけでいい、などは船で寝食を共にし、おそらく一緒に死んでいくことになるかも知れない乗り組み員の心情を逆なでしかねない。

 

これも批判の的となったのだが、トランプを真似た下卑た言い回しは海軍長官として決してふさわしいとは言えない。

 

最期に、乗り組み員全員にスピーチを書き取らないように、セルフォンの録音は消すように、と厳しいお達しが出されたが、わずか数時間後にはある新聞に、スピーチのコピー及び録音が次々掲載されてしまった。後はモドリ―非難の大合唱。

 

”ナイーブでバカタレ”なのは一体誰だ!?

 

その日のうちにモドリ―氏は文書で謝罪。理由は乗組員を混乱?させたから。

続いて翌日の朝、辞任が発表された。彼自身は感染された艦を訪れたという理由で2週間の感染隔離に入った。2500万円もかかったたった2日のグアム訪問は無駄骨。

しかし、トランプだけはモドリ―について、自分を犠牲にしてまで(わしを庇った)立派な人、と称賛を惜しまない。

 

 https://www.cnn.com/2020/04/06/politics/thomas-modly-transcript/index.html

 

 上はモドリ―スピーチのコピーが載っているCNN記事です。参考の為。