chuka's diary

万国の本の虫よ、団結せよ!

続・米空母で新型コロナ大騒動 

これは前回の続きです。書いているうちに長くなりそうなのでブレイクを取ってしまいました。

まず以下は今日4月11日のフォローアップです。

 

4月10日、夕方のCNNでグアム島に隔離されていたUSSセオドア・ルーズベルトの水兵が入院している、という最新ニュースが伝えられた。この兵士は隔離中に意識不明で発見され、CPR=心肺蘇生が行われ病院に収容。しかし、CPR後の状態については一切情報は公開されていない。しかもそれは約一週間前に起こったそうだ。という事は、事件はUSS艦長クロージャーの解任直後に起こったようだが、6日の海軍長官代理による艦上の悪名高いスピーチ時にはすでにモドリ―長官はこれを知っていた事になる。もちろんトランプにも報告されていないわけはない。

あのモドリ―氏のスピーチ後、同日6日の夜、定例のコロナ会見で質問の矢を浴びせられたトランプは、誰かが私の仕事机の上にクロージャーの経歴書を置いていった、それを読んだら彼はなかなか優れた艦長だし、たまたま運の悪い日に間違いをしたくらいで罰せられるのは気の毒、モドリ―海軍長官代理も自分を犠牲にするほどの人物だ、だから私が二人の間に入って何とかする、と筋が見えないのにもっともらしく話しているのだ。この老人の詭弁ぶりにはほとほと頭が下がる。

 

10日の現時点ではこの空母のコロナ陽性が415人。グアムに到着時の4月5日は検査後の陽性は155人だから、感染は拡大している。この空母は艦隊で、他の4艦にも感染が出ている、という情報を海軍はここに及んで公開せざるを得なくなった。

 

海軍はクロージャ―艦長解任時も含めて誰も重症はいない、と否定し続けてきた。CPR後海軍病院に送られ、今だに入院を続けている状態は重症ではないのか?と言いたくなる。

 

感染元のベトナムだが、3月4日に5日間の親善寄港を終え出航。トランプは1月30日に中国経由の入国を禁止している。これが大きな功をなしたと毎日の会見で自賛のヨイショを続けている。そのコロナ感染警報下でこの親善寄港を命じ、艦隊のメンバーを住民交流の親善行事に参加させた海軍トップのお偉方に対する批判が大きくなってきた。

これが本当のブーメラン。

今や、責任を問われる側に回った海軍お偉方は、艦長クロージャ―の解任処分を停止するかもなんてことをメディアに流し始めている。

 

話を戻すと、以下が前回の続き。

4月4日彼の名を連呼する乗組員の大合唱の中、艦を去るクロージャ―艦長の姿が全米メディアで大きく報道された。ここでのクロージャ―艦長は、乗り組み員の命を救った英雄だ。悪者はトランプになった。

 

翌4月5日の日曜日、主要メディアの朝の時事番組に次々と顔を出したエスピー国防長官は、解任はモドリー前長官の決断であって、彼とトランプは承認しただけ、と釈明した。その時点では、この解任はモドリ―がトランプに辞めさせろと言われたからというのがフェイクニュースからすでに流れていたからだ。

  

・コロナ感染者が出たことで艦長はパニックに陥った。

・約40名に送った文書が民間にリークされた。内部文書管理は艦長の責任。

・リークにより空母の弱点が敵側に暴露された、これは国家に対する裏切り行為。

・米軍最高司令トランプとその下の国防長官は共にこの艦長に対する信頼度を失った。

以上の理由からトランプとエスピーはモドリーによる解任命令を支持する、と述べた。

 

実際にはエスピーの釈明、特に”指令チェインから逸脱‟の部分に多くの支持者がでた。これに関してあちこちのコメントを読んでみると、軍経験者からの支持が圧倒的だ。前回に言及したように指令チェインをはずれて第3者に問題を持ち込むことは米軍では未だにタブーである。

 

しかし、数人の海軍高官達(リタイヤ組も含めて)は、まず調査結果を待つべきだ、と慎重コメントを出している。処分は調査後にという軍の慣習に従ったものだ。しかしモドリー海軍長官代理は調査などする必要もないほど明確、とTVではけんもほろろ。

 

一方のフェイクニュース=反トランプメディア はトランプが陰で指示していることを前提に、この解任は極めて政治的であることを信じて疑わない。

 

・トランプは今でも新コロナ感染はインフルエンザと同等と見ている。

・隔離や外出禁止をバカげた行き過ぎと思っている。

・USSセオドア・ルーズベルトの感染事件も、新コロナを利用し散々自分を批判してきたフェイクニュースが陰で煽っている、艦長はその手先、とトランプは見たが、前回のギャラガー海軍曹長赦免事件で海軍長官をクビにしたのと同じ事を繰り返すと選挙に影響すると見て表面に出るのを恐れた。この事件も賛否両論に分かれ、フェイクニュースから散々批判を受けた。

そこでトランプの代役をかって出たのが、モドリ―である、

と解説している。 

 

実はこのモドリ―氏もクロージャー氏も共に、アナポリスの海軍士官学校卒業である。ただし、上役のモドリ―氏の方が10年若いのだ。クロージャ―艦長は卒業以来海軍士官として30年、昇進の階段を上ってきた生え抜き軍人だが、モドリ―氏は海軍を7年で辞め、ハーバードビジネススクールを卒業、軍事産業のロビースト、米軍事大学の教師などを転任し、最後は公務員高官として国防省に勤務していた。そのあたりはエスピー国防長官の経歴とよく似ている。

 

エスピー氏は国防長官としてトランプに恩を売り、長官の地位を確立。下院にメキシコ国境の壁を作る資金を拒否された時のこと、憶えているだろうか?トランプは政府の閉鎖で対抗。結果として下院のペロシに負けた。が、エスピー氏はその時、米軍の予算から大統領に壁の資金を調達したのだ。その中には基地内の新しい学校建設の費用などが含まれていて、もちろんフェイクニュースに散々批判された。

モドリ―氏もこんどはわしの番、これで代理から本物の海軍長官じゃ、と張り切ったわけだろうが、米市民の笑いものになり無惨な結果に終わった。

 

そして問題の6日の月曜日。モドリ―はUSSセオドア・ルーズベルトの停泊地グァムに向かった。海軍長官専用機で往復36時間、約2,500万円もかけてだ。