昨日5/11午後、トランプがホワイトハウスのローズガーデンで二週間ぶりのブリーフィングと記者会見。米市民を慄然とさせたあの、コロナを漂白剤注射で殺そう、という反医学的珍発言以来、側近の厳しい忠告で、トランプは新コロナウィルスのブリーフィングをすっかり中止していた。
今回はコロナ・テストについて。側近ナンチャラを使ってテストマシーンの素晴らしさを賞賛。壇上の横にはそのマシーンがずらり陳列。まるでテストマシーン販売会社のセールス・デモみたいな印象。しかし記者から、じゃ、一体いつ米市民のテスト体制が整うのか、と突っ込まれると、いや、それは各州次第、と逃げ腰だ。要するにいかに高性能かというのはホワイトハウスの毎日テスト称賛のことなのだ、自分を新コロナから守る為の。
ところが、トランプの気持ちを高揚させるはずの自画自賛の会見がとんでもない終わり方になってしまった。ある記者の質問にトランプの怒りが爆発、トランプは突然、歩き去った。それが下の動画だ。
https://www.youtube.com/watch?v=vGNTMma8Fiw
‘Don’t Ask Me, Ask China’: Trump Abruptly Ends Briefing When Asked About China Hostility | MSNBC
ここで、中国系の女性記者が、
大統領、あなたは米国が他のどの国よりはるかに多くのテストを実施している、と発言しておられるが、こんなに多数の死亡者が出ているのに、あなたの指摘はそれとどう関連しているわけですか?とかなりキツい質問を出して来た。
すると、
死者は世界中の至る所で出ている、こういう質問は、チャイナにしてくれ!
と物凄いキレよう。
チャイナの答えは、まったく普通とは違うはずだ!
つまり、トランプは死者はあの武漢研究所から新コロナウィルスが漏れたのが原因、と示唆しているのだ。
次の人!
そこでたちまちこの記者、
なぜ特に私にこういう事言うの!と喰い下がる。
私は特にアンタに言ったわけじゃない、だがアンタの nasty (悪意のこもった醜い)質問に答えた。nasty なのはアンタだけじゃないがね。
私のは nasty 質問じゃない。と抗議、質問をリピートしようとしたが、トランプに、その次、あ、君、と待っていた次の質問者に変えられてしまった。
ところがこの次の女性記者、トランプの天敵CNNの凄腕記者だったから、
あ、君はいいよ、次、となってしまった。
このCNN記者は、
私に指名したでしょ、これどういう事!とただちに抗議。リピートで、
あなたは私を指名したでしょ!
そうだよ、しかし君は無視した、
こういう悪知恵はこの老人にはかなわない!
次、とトランプは叫ぶ。
次の記者は私の同僚よ!
そこで一瞬皆の視線もカメラも、次の記者へ。マスクはしているが、彼女もCNNの著名な反トランプ記者でインド系。しかもつい最近トランプと激しい言い合いをしたばかりの。
トランプは突然
皆さん、ありがとう、今日はこれでお終いだ。
と宣言、くるりと記者団に背を向けそそくさと退場。
当然、このシーンはレイシスト・トランプの最新の生の証拠として、大きく報道された。
長年米に住んでの拙感想だが、アメリカで人種差別はなくなった、と思い込むのは間違いだが、非常の危険でもある。米に滞在中差別をされた、という日本の方々の書かれた動画ブログもかなりある。日常的差別はすでに学校で顕著になる。子供集団は大人社会の反映だからこれも当たり前だ。しかし受け止め方とか対処の仕方は個人個人の問題だ。
この中国系女性記者もそういう経験をしっかり経てきているようだ。
トランプに、なぜ特に私に向かっていうのか?とやり返したが、これは、”レイスカード”(race card) を持ち出した典型である。
確かに、他のニュース番組コメンテーターが言っていたように、この記者はガッチィ(=根性の座った)だ。