chuka's diary

万国の本の虫よ、団結せよ!

コメント:千田夏光と吉田清治

前回のブログ"慰安所は入場券を使った"で下のようなコメントを受け取りました。ありがとうございます。

 

千田夏光さんの本は吉田清治さんの本同様、捏造された疑いの記述がたくさんあります。史実に基づいたのなら、こんなに問題が長引く筈はありません。

 

上の二人が安倍側近のネトウヨ学者達からウソつきとしてクソみそに避難され続けてきたのは事実です。それだけではなく、朴ユハ教授に対して千田からの引用が多すぎる、という作家千田氏を見下すような発言も出ていました。

 

千田夏光は"従軍慰安婦"1973 で日本国内に慰安婦ブームを巻き起こした作家で、ネトウヨ側にとっては"従軍"が日本軍との繋がりを強く示唆したというので非常に憎まれた。

 

2007年の安倍元首相が協賛者に名を連ねた米WaPostの意見広告では慰安婦は商売女の追っかけ集団で軍は直接関与していない、と主張していた。もちろんこれは史実に反している。慰安所システムは軍が一般兵士の占領地でのレイプ殺人・暴行を恐れ、それを防ぐ目的で考案されたものだった。しかし多くの日本人は広告にあるネトウヨ的言い分をあの時点でも信じていたのではないかと私は思う。

 

特に戦争を知らない世代にとっては軍が動員したという従軍慰安婦、その多くは半島女性、の存在は寝耳に水だったようで、そうでなければあれほどブームにならなかったはずだ。

しかし千田の本には1939年、南京事件の直後に上海で陸軍直営慰安所設置に加わった麻生徹夫軍医から陸軍に提出した慰安所に関する意見書が解説付きでそのまま掲載され、これで慰安所を作ったのは日本軍だったというのがバレてしまった。この本の韓国語訳があるというのをどこかで読んだのだが、確かでない。しかし麻生軍医のこの意見書はご家族の手によって英訳された彼の上海時代の日誌の中で全文が英訳掲載されている。だから英語圏では少なくともこの部分は研究者の必読資料となっている。

 

従軍慰安婦で千田氏は"ルポライター"として一躍名声を得た。しかし彼のノンフィクションは買って読んで貰うのが目的で、決して学術論文ではない。

内容の中には産科医である麻生軍医が南京攻略前後には兵士の足を切断する外科手術をしていたというのがある。これなどは当時の軍部が負傷兵を非常に軽く見ていた証拠だ。だから外科医不足が解消されると彼は兵士の手術後回復管理に回されている、というように貴重な情報がある反面、セックス、特にレイプ・グループセックス等の示唆も頻繁である。二作目の"従軍慰安婦慶子"ではむしろ後者にやや重点が傾いているようにさえ読める。

 

千田論についは下のpdfが参考となると思う。千田の本は国内では大ヒットしたが、政治的影響はほとんど無だったようだ。やがてブームも自然消滅してしまった。

 http://www.research.kobe-u.ac.jp/gsics-publication/jics/25-2/kimura_25-2.pdf

 

戦前一族が華族だった千田とは大違い、全く素性不明なのが吉田清二。はっきりいって戸籍謄本上の証明が確定されなければ彼自身の本当の国籍すらも事実上不明だ。

 

吉田の最初のヒット作は"朝鮮人慰安婦と日本人"1977 でこれは小説である。明らかに慰安婦ブームを念頭に置いて書かれたらしく、慰安婦の名が登場するのは200ページの内最後の50ページのみである。しかも終戦の前年1944で、吉田が当時属していた下関地区の労務報告会で挺身隊員の募集命令30人を受けて地元の憲兵と共に対馬の軍病院の掃除婦と騙してその筋の女や貧困家庭から在日女性を、月給30円一年期限という条件で勧誘し、中国内部に送ったとなっている。

 

しかしこれは現在の韓国テグー市に出張し海軍の命令でブーゲンビル飛行場建設に必要な頑強な徴用工約100人をトラックに放り込むなどの強制連行した後に来た仕事となっている。いわば徴用工狩りだ。だから1983年の"私の戦争犯罪"の内容とは違う。

 

吉田は1982年に樺太残留朝鮮人請求訴訟で、済州島での慰安婦狩りを法廷で証言している。なぜ慰安婦狩りがこの裁判に出てくるのかは疑問だが、原告側の狙いは日本帝国政府がいかに度を越えて残虐であったかを示す為だと思われる。しかし不思議にも彼の法廷証言に対して日本政府側は全く反対尋問をしなかった。

 

その翌年、済州島の慰安婦狩りのルポ本、"私の戦争犯罪"が出版された。その前から彼は土下座で謝罪する韓国ツアーを始めている。土下座謝罪は日韓社会では大きな意味を持っている。日本への断固たる謝罪要求のブループリントは吉田にあるのかも知れない。吉田の本は五年後に韓国語に翻訳されている。その後の慰安婦強制論争の矢面に立たされた吉田のストーリーは有名だ。

 

吉田清二の証言は韓国、英語圏でも注目され、サラソーの"the comfort women" 2008 、Dai Sil Kim -Gibson の " Silence Broken" 1999 で言及されている。しかしこの本の著者達は吉田氏に直接コンタクトを求めたが断られた、と書いている。

 

日本軍の慰安所システムを総合的に点検すると、マレーシア、インドネシア、フィリッピン、中国の占領地で吉田の書いた内容に酷似する慰安婦狩り事件が頻繁に起こっている為どの本も吉田証言を正面からウソと断定するに至っていない。

インドネシアではオランダ軍戦犯裁判により日本軍高官や日本人業者がオランダ婦女の慰安婦狩りの責任を問われて有罪になっている。上記の二冊は英語圏の研究家に頻繁に言及されている。

 

吉田氏を法廷で偽証させた人権派を名乗る弁護士側は前後の事実関係だけでも明らかにするべきだ。それが弁護士資格を与えられている人々の社会的責任と義務だと思う。

 

以上は本とネットを探した結果ですが、お二方の最新情報については抜けているかも知れません。