chuka's diary

万国の本の虫よ、団結せよ!

Jan. 6 : よみがえるレイシズム

1月6日からもう8か月経った。あの日は副大統領だったマイク・ペンスが次期大統領を宣言するという全くのセレモニーの日であったが、トランプは支持者を扇動し、議事堂に乱入した彼らはこのセレモニーを暴力で妨害しようとした。特にペンスやペロシ議長、コルテス下院議員は捕まるとどんな目にあうか分からないという恐ろしい事態に面していたのだ。議会場に集まった下院議員は全員床に這いつくばり会場から何とか脱出しようとしていた矢先に、トランプ支持者達はすぐ近くでまさに会場に続くドアを破ろうとしていた。

 

ドアの前にはバリケードが築かれ、警官達が待機し、リーダーがピストルをドアの前に突き出し構えていた。その時、暴徒化したトランプ支持派の一人が砕かれたガラス窓に上半身を突入、輝かしい先陣を狙ったのだが、警官に左肩を撃たれて即退陣。この女性が元空軍兵士だったアシュリ・バビット。彼女は床に寝かされたが、救急車内で絶命を宣言された。撃った警官は勤務歴28年のベテラン警官だが、それ以後名前も含めてこの警官に関する情報は一切伏せられていた。この人は4月に早くも何も落ち度がないと判断され、起訴されない事が決定。それでも情報非公開が続き、先週の木曜、8月26日にTVインタビューという形で本人が名乗り出た。それまで彼が身を隠していたのは、トランプ側の脅迫がひどかったのと、実際に危害を加えられる可能性が高かったからだ。理由は彼が”黒人” だからだ。

 

1921年にオクラホマ州タルサ市のグリーンウッド焼き討ち襲撃事件が起こった。グリーンウッドは黒人繁華街及び居住区だったが、あるビルのエレベーター内で黒人の靴磨き少年が白人女性を襲おうとしたという噂があっという間に広がり、武装した白人暴徒により、グリーンウッドの裁判所に逃げ込んだ少年をめざして虐殺が発生。死体は穴に投げ込まれ街は火災によってきれいに消滅した。黒人男性と白人女性のトラブルは、いとも容易に黒人リンチの原因となっていた。

 

今回も被害者は白人女性であることで、この警官に対するヘイトが高揚した。トランプ側メディアは早くから、犯人は"黒人"であることを強調し、ついに名前が内内に知られていたと報告されていた。トランプ自身も早くて4月頃から、犯人の名を知っている、アシュリ・バビットは"殉教者"で犯人は人殺し、下の動画でも言っているように、空中に吊るせ、と繰り返していた。

 

この間、両者に対するドブざらいが始まり、この警官が過去にピストルをトイレに置き忘れていたことが判明、トランプ側は警官として働く資格もない、と非難。

一方の被害者バビットさんは、やはり警察にお世話になった過去が判明、その中には相手に近寄らないようにという裁判所からの規制命令もあり、やはり、暴力的傾向のある人だった、という悪評判が拡散された。

 

先週のインタビューではこの警官、マイケル・バード氏は、私は職務を実行しただけ。白でも黒でも他の色でも人命を守る為には同じことをした、あの状況では私のした事が多くの人の命を救ったと信じている、と語った。

 

しかし、バビットさん側は納得せず、彼女は撃たれた時武器をもっていなかった、とこの警官を批判、損害賠償の起訴が予想されている。バビットさんの家族は現在議事堂警察に対して不起訴に至った調査報告を公開するよう訴訟中。

このインタビューを聴いたフォックスのタッカーカールソンは、この警官は単なるデモ隊の一人を冷酷に銃殺刑に処した、謝れ、とコメント。しかし、謝るのはバビット側だ、米軍兵士なら憲法を守るのが任務のはず、彼女の違法行為が死を招いた、という反コメも出ていた。

 

この事件、最初から、もし暴徒が黒人だったら死体が山のように議事堂内に積まれただろう、という声が大きかった。

 

この1月6日議事堂乱入事件で暴力被害に遭遇した警察官達もすでに損害賠償訴訟を起こしている。訴訟相手はトランプだ。3月31日に訴訟に持ち込んだ起訴状によると、被告はトランプ一人で原告は二人の警察官。賠償額$75000と裁判費用などを請求しているが、もし裁判になると、トランプは証言台に立たなければならなくなる。

 

 

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https://www.youtube.com/watch?v=0LBKJ3jwMyY&t=352s