先週8月26日の木曜にカブール空港のゲートで玉砕自爆が起こり、検閲中の米軍兵士13名が死亡。その中に親しくして人がいたとかで、ある海兵隊中佐が北カロライナの海兵隊基地内から怒りのフェイスブックを発信。それがバイラルになり、たちまち6400人がシェア。他のSNSにも拡散され、およそ100万人が訪問と報道するメディアも現れた。
何しろその動画というのが、今の軍の上層部にこの失態の責任を取れ!と迫る前代未聞のしろもの。
下のが話題となったその動画。まず冒頭に制服姿で名前とランクを明らかにしている。
このシェラー中佐(=O5,米軍の共通ランク)は17年間イラクとアフガニスタンの戦地と米を往復してきた海兵隊士官、と自らを紹介。
17年勤務だから後3年頑張れば、生涯軍務年金(=規定給の50%)と復員病院の健康保険を受け取る資格が貰えるが、もうそんな特典はどうでもいい、この際はっきり言うべきことを言う、という固い決意を動画で表明。
政治家、財政界、軍上層部のおかげで、この20年に兵士達は無駄死にした、責任を取れ、とマジ切れた。
彼によると、今回のアフガン政府総崩れで充分持ちこたえると答えた国防長官を頂点とする軍上層部に対しての強い不満の声が一般兵士達からすでに出ており、海兵隊ではこれに対処する為上層部から、これまでの名誉と規律にそってきた海兵隊のやり方からそれるな、必要ならカウンセリングを受けよ、という手紙が1週間前に下部に通達されていた。しかし、この人は、過去に人を殺した時は私も必要だった、が今はその時じゃない、とメンヘルのカウンセリングに拒否反応。
しかしこの動画のせいで彼はただちに部隊の指揮官を解任された。理由は、彼には指揮官としての信頼性と能力に疑いがある、というものだ。
実はつい数日前に、トランプが、米軍滑走路のあった米軍基地を先に放棄してしまったのは米軍側の大きな計算違いと指摘していたのだが、この人も同じ事を動画でエコーしているところから、この中佐は英雄としてトランプ支持者達に圧倒的に支持を受けている。
だが、多くの軍関係者はこの中佐は軍法会議モノとコメント。というのは上層部への批判はまず直接の上官を通して行うのが軍の厳格な規則となっているからだ。それをしないで直接外部に批判をぶちまけるのは国家公務員法違反でもある。
このシェラー中佐はこの時点で辞表を出すぞ、といきまいているが、すんなり受け取って貰えれば、ラッキーだというコメントに私も同意する。少なくともランク格下げは間違いないだろう。
とにかく今回のアフガン撤退はアメリカ市民にはやや過剰気味なトラウマとなってしまったようだ。
https://www.youtube.com/watch?v=Q3Qie2oZKW0
ともかく昨日、遂に米軍は撤退を完了。輸送機に乗り込む最後の米軍兵士は何と、現場の総指揮を取ったドナヒュー陸将、つまり、上の中佐の糾弾する上層部のヒト。
宣伝くさいぜ、ペンタゴン!
https://www.youtube.com/watch?v=VLTUtPTGkW8