chuka's diary

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1/6公聴会第3回:再びのトランプ vs ペンス!?

今日6月16日の1/6議事堂襲撃事件の第3回公聴会をちょうど見終わったところです。

news.yahoo.co.jp

 

選挙後娘のイバンカさんを始め大多数のホワイトハウス公式関係者はトランプが負けたことを認めていた。しかし、トランプだけは頑強にこれを拒否。それどころか、何かお役に、と申し出たトランプ称賛者達を利用し、選挙結果を盗み取り、大統領の地位に留まろうして一貫した陰謀を企んだ、というのがこの1/6公聴会でプレゼンされたシナリオである。

 

公聴会#3での焦点は当日1/6前後のトランプとペンスの憲法解釈をめぐる対立と交渉。この公聴会は前2回のものとは違い法学セミナーのようだ、というのがある弁護士兼キャスターの印象。

 

拙ブログでもトランプとペンスの確執を記事にしている。

 

chuka123.hatenablog.com

 

2020年1月6日は各州の大統領選挙人投票の開票集計日。しかし結果は事前に分かっているので、これはセレモニーとこれまで解釈されてきた。憲法修正条項第12条で副大統領が2院統合議会で集計し、得点が過半数を上回った候補者が次期大統領となる、と規定されている。米史上これまで副大統領がこの集計プロセスで異議を唱えた例は全くない。

 

しかし、トランプはペンスにバイデンが勝利した激戦州7州の内、少なくともジョージアなどの数州の集計結果に不正があったと異議を唱え、集計過程を一旦停止、選挙人投票をそれらの州に差し戻すよう指令した。その後はトランプの下院議員達が対処すると告げた。

 

この期間トランプの代表としてペンス側と交渉したのがイーストマン弁護士。しかし、彼がトーマス最高裁判事の実習生であったこと、特に共和党活動家のトーマスの妻のジニー・トーマス弁護士と連絡を取り合っていたことで、これが今大きな注目を集めている。理由はジニー・トーマスの1/6のe-mailの内容が、反トランプは皆軍事裁判にかけて処刑せよ、という異常に過激であったからだ。

 

今回の公聴会で宣誓証言したのは、イーストマン弁護士と交渉したペンスの顧問弁護士グレッグ・ジェイコブ氏とブッシュ大統領時代に最高裁判事候補として名が上がったマイケル・ルティグ元連邦判事。後者はフェデラリスト・ソサイエティという保守派法曹団体の著名なメンバーである。

まず、早くも大統領選挙後に、1/6の事態を予想し、副大統領の選挙結果介入は憲法違反という論文をフェイスブックに掲載したのでも有名。これはペンス側顧問からの質問に対する回答として書いた、とここで証言している。

 

ペンス側のジェイコブ弁護士によると、修正条項第12条では副大統領による集計過程の介入を全く認めていないので、トランプの要求は違憲行為と判断。トランプの要求を断り説得に当たった。イーストマン氏は弁護士としてペンスの介入は最高裁判事全員から違憲と判断されるという予想を納得。それが1月5日だった。

 

しかし翌6日、つまり当日の朝、親分トランプが直接ペンスに電話し、激しい言い合いとなった。トランプは、あんたの名はパトリオット(=愛国者)として歴史に残るか、プッシー(女の腐ったような男)として残るかのどっちかだ、とペンスに言った。

俺の言ったようにしないとあんたとはもう友達じゃないからな、と戦慄の最後通告。

あなたが、マフィアのゴッドファーザーから、もう友達じゃない、なんて言われたら、震え上がるのは当然!映画でもすっかりお馴染み。

 

このジェイコブ氏はペンス氏と共に暴徒から隠れていた時にポケットから聖書を取り出し、有名なダニエル書の箇所を読んで祈ったと証言。ダニエルは旧約の勇敢な戦士だったが彼が仕えた異国の王より神を選んだ人として聖書には描かれている。

 

その日の午後2時30分頃、トランプは、ペンスが裏切った、というツウィートを発信、暴徒をさらに怒らせ、午後4時半頃に州兵が出動するまで議事堂内は武装したトランプ民兵に占拠されていた。この占拠を決行したプラウドボーイズという武装民兵達はこの時点でペンスとペロシを捕らえて国賊として殺す積りだったと報告されている。

これがクーデタでなかったら一体何だ?

 

驚いた事には、イーストマン氏とジェイコブ氏のメッセージ交換は襲撃中も含めて2日後まで続いた。襲撃中怒ったジェイコブ氏か、違憲行為であることをトランプに伝えたのか、とイーストマン氏に詰問すると、伝えたがトランプは人の言う事を聞くような人ではない、とイーストマン氏。

2日後になっても、不正選挙の為一週間ほど激戦州で再調査するという命令を出せ、と要求してきたので、ジェイコブ氏は呆れ果てた。

 

このイーストマン氏、バイデン就任式の前になってトランプの私的弁護士で元NY市長のジュリアーニ氏に恩赦のお願いをe-mailしていた。

1/6公聴会に召喚されたが、第5(修正条項の証言拒否の権利)を使い質問に答えなかった。第5は証人自身の証言で罪に問われるケースに使われる。つまりイーストマン弁護士は自身が有罪であることを認めたということだ。

 

この公聴会の最後に、ルティグ元連邦判事は、トランプは米国の民主主義に対する

" clear and present danger"(=米口語の言い回しで、目前に迫る危険そのもの)と宣言。彼は24年にまた同じ事を繰り返す。彼の追従者は愛国者ではなく革命主義者。こんなことは米国であってはならない、これは米国憲法と民主主義の崩壊だと聴衆に訴えた。

 

この公聴会の後、ルティグ元判事は、12ページの声明を公聴会宛てに公開している。実はこの人はストロークの後なので、話し方が非常に遅くで聞きずらかった。しかし素晴らしい頭脳は健在であり、この声明の中で、これは過激方向に走った共和党が起こした問題であり、党が責任をもってトランプを排除し再建にあたらなければ共和党はこの先壊滅する、と述べている。

 

最後に余計な一言:この公聴会はペンス・ヨイショが過ぎる、という批判も出ています。