前回では先週の " ペンスの謀反" について書きました。これは独裁者ワナビー(=wannabe、独裁者気取り)トランプにとっては大地震の到来。その後も振動は続きます。
それにしても何というタイミングでしょうか!ペンスは Federalist Society の会合で、トランプは間違ってるよ、のスピーチをしでかしたのだが、このスピーチは大分前から予定されていた。
Federalist Society のメンバーは超保守弁護士達で、名前の通り、憲法遵守がモットーなのです。つまり民主党の超革新的憲法解釈、例えば中絶の自由、差別撤廃を実行させる逆差別法に反対する弁護士達です。だからペンスこそが保守本流だとのイメージを与えている。
しかも同日には、共和党はチェイニーとキンジンガー両下院議員に対する弾劾理由として、1/6議事堂襲撃は一般市民の合法的政治活動であり、それを犯罪と見なすペロシの下院調査委員会に民主党とグルとなって参加している二人は、共和党に対する裏切り者、という声明を発表。
しかし、法曹関係者から、この声明は共和党が組織ごと反逆扇動に加担している法的証拠、と指摘され、慌てて平和的抗議参加者のみ、と共和党議長のロナ・マクダニエルが自ら口添えするというおまけ付き。
実はこのトランプ・ヨイショのマクダニエル議長は元大統領候補のミット・ロムニー現上院議員の姪だ。ミット・ロムニーは口先は反トランプだが、トランプはこの天敵にかなり手加減している。ロムニーとマクダニエルについてはよく知られているが、今回主要メディアで初めて大っぴらに言及されたので、驚いた。
このペンス発言から数時間後に、トランプは Save America PAC (トランプの後援資金団体)から声明を発表。下がそのニュース。
その声明内容によると、
ペンスはOld Crow (ケンタッキーの安酒)マコーネルの自動ベルトコンベヤーのベルトとなった、
マコーネルはバイデンを大統領にしたくて州選挙人投票集計をコンベヤーに乗っけたのだ。そのおかげでバイデンが大統領になった。
これに追従したペンスと共和党議員は皆”RINO”(=名だけの共和党メンバー)だ、
ペンスは不正選挙のあった州の州選挙人投票を差し止め、その州に差し戻すという副大統領の職務を怠った、
と反論。
それにしてもベルトコンベヤーという古めかしい言葉がでてきたのはトランプの齢のせいかもかも知れない。もっともこの箇所について果たしてトランプが書いたのかどうかという疑問も出た。
それに、RINOとは共和党の名を乗っ取ったトランプのことだ。
ペンスはその後再び口を閉じ、ペンス副大統領の首席補佐官だったマーク・ショートがメディアに登場。彼は1/6議事堂襲撃調査委員会に協力し証言した。この人によると、トランプの身辺には、"スネークの油売り"のような得体の知れない人が集まって、今回のクーデター陰謀事件に繋がった、とメディア発言。
ペンスも政治生命をかけてのサバイバルを目指しているのだ。24年にはトランプ・ペンスは絶対あり得ないと見られている。狙いは2020にトランプに投票した "The Base" (共和党大票田)である。今年と24年にはトランプの唱えるアメリカ終末論に乗せられたレッドウェーブ(共和党への投票の波)が予想されているからだ。
下は著名な元共和党コメンテーターで反トランプの Ana Navarro のコメント動画。
ペンスは1/6議事堂襲撃から13か月も沈黙し続けた、副大統領時代はトランプの靴磨き、何を今さら、この先ペンスに政治生命などありゃせん、とクソみそ批判。これ以上のは私はまだ耳にしていない。
Ana Navarro challenges Pence after he called out Trump - YouTube