chuka's diary

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トランプのアメリカ:弾劾公聴会はサーカスか?

ホィッスルブロワー(内部告発者)の存在が監察総官により下院に通告され、内容がウクライナ大統領への電話であることがリークされるやいなや、トランプは7月25日のウクライナのゼリンスキー新大統領との電話会談の内容を公開。この公文書は録音ではなく、電話後に内容を再構成したもので、部分的に要約や省略がある。

公開の理由はゼリンスキー勝利のおめでた電話で何も違法な箇所などないから、ということだった。しかし、これを読んだ絶対多数、拙者も含めて、はバイデン潰しを狙ったマフィアの親分の脅かし電話という印象を受けた。これも最近分かったことだが、モラー報告公表時のように、トランプは司法長官バーに、会話の内容は全く合法、と記者会見で発表するよう頼んだのだが、バーに拒否されていた。

 

下は最近のトランプのツィートに頻繁に登場する弾劾糾弾の決まり文句集。

 ・電話内容は全く合法、おかしいところは何もない

・ホィッスルブロワーはディープステート(国家高官層)に巣くうかくれ民主党

・弾劾は公正な選挙結果を破壊する目的のクーデタ

・クーデタの首謀者は小男のユダヤ人シフ

・シフはウソつき

・下院地下室での未公開の証人査問はナチと同じやりかた

・弾劾は魔女裁判

・弾劾はホィッスルブロワーの捏造でスタート

・ホィッスルブロワーの情報は2番手、3番手で真実ではなく捏造。

・弾劾を引き起こしたホイッスルブロワーは大逆罪で処刑されるべき

・姓名を名乗り出なければこちらから明らかにする

・弾劾は違法

・弾劾は民主党が仕組んだサーカス

・上院で下院の弾劾決議は否決され、実際弾劾はできない

 

上の歪んだ論理をエコーのようにリピートするトランプ支持派の共和党下院議員団は、ついに非公開聴聞会に突入し、ピザやチキンをデリバリーさせ調書審問の妨害に出た。

 

そういういきさつがあり、11月13日(水)に初の弾劾公聴会がスタート。

 最初は、ビル・テイラー、ウクライナ代理大使、とケント国務次官補代理で二人とも国務省のウクライナ専門家である。ビル・テイラーはエバノビッチ大使が5月に突然更迭された直後にポンぺオ国務長官に直々に頼まれリタイヤからの復職である。この二人はウクライナ外交が、公式とトランプの私的外交との二つのチャンネルに分かれ、ジュリアーニ指揮下のトランプ外交でウクライナ援助が凍結されていたことを証言した。が、開会前にトランプの忠臣として知られているジム・ジョーダン議員が、まずホィッスルブロアーを呼び出せといちゃもんつけて大暴れ。下の最初はその動画。

 


Crowd erupts in laughter as Jim Jordan humiliated at impeachment hearing

utube.com/watch?v=g3gqGN5BUWo&t=37s

この男の論理は弾劾はホィッスルブロワーの嘘から始まったので本人を呼ばなければ真相解明は出来ないというトランプのツィートのエコー化。こういうのが本当の小児化レグレッションだ。

しかし次に出た民主党のウェルチ議員は、弾劾を引き起こす原因となった人、つまりトランプの証言は大歓迎だ、どうか前に着席を、とやったものだから、会場が大爆笑につつまれた。これが公開証人喚問第一日のシンボルとなった。

 

ジムジョーダンと彼の仲間は、今回の証人は直接に事件にかかわっていない、だから二次的、三次的、いや五次的、六次的な間接証人で全くあてにならない、と主張。

ところが最後の土壇場でビル・テイラー ウクライナ大使が、問題の電話会談の翌日にゼレンスキ大統領の補佐官とレストランで会談、その際に同席していたソンドランドEU大使がトランプをセルフォンで呼び出した。しかしトランプの声があまりに大きくて内容をすべて聞いた、と報告してきたテイラーの補佐官の存在を明らかにした。これは五次どころがトランプ介入の直接証拠ではないか、とメディアが大騒ぎ。

 

2回目は昨日11月15日のヨバノビッチ前ウクライナ大使である。下はこの人についての拙記事。

chuka123.hatenablog.com

 ところが彼女の証言中にトランプが突然一連のツィートをスタート。その一つが彼女に対する悪意に満ちた、エバノビッチの赴任先では情況は悪化するばかり、ソマリアしかり、という酷い内容だったことから、トランプに対する非難がごうごうと巻き起こった。この為情勢はトランプに非常に不利に向かっているようだ。これがトランプ大統領終焉のトリガーとなるのではないか、とまで思わせられた。

 

 ところで二回目を象徴するシーンは下の動画。

下の動画では1分20秒後にシフ議長が公聴会終了を宣言しています。エバノビッチ前ウクライナ大使が立ち上がると大きな拍手が起こり周囲が起立。シフが共和党を侮辱した、とこの後に及んでも異議を唱えるあの共和党のジョーダンの叫びが全く打ち消されたことに注目。拍手喝采に送られ、エバノビッチ前大使は堂々と退出しました。

 


APPLAUSE: Day 2 Impeachment Hearing ends with applause for Yovanovitch

 

実は共和党側の質問内容にバイデン親子汚職疑惑について興味あるものがあった事を報告します。ヨバノビッチは2016年8月にオバマ政権によりウクライナ駐在大使に任命されたが、それはトランプの主張するバイデンの汚職捜査の妨害行為のあった時期に近い。彼女は、バイデンの息子ハンターとは全く面識がないが、ハンターとウクライナガスとの関係は知っていた、これについては任命前の上院の質疑応答でもそう答えている。2016の米大統領選挙の時期にウクライナが反トランプだった、というトランプの憶測については、事実ではないと認識している、と答えていた。

しかし彼女の"突然の更迭"は実は"突然"ではないようだ。 2018年の11月12月頃からウクライナ側からジュリアーニに関連した人物2人が彼女を更迭させるようウクライナ側から働きかけている、という情報を受け取っているのだ。それに関して彼女は米国務省に連絡を取っていた。米国務省もそれに気付いていた。しかしトップボスのトランプがからんでいるのだ、彼女に一体何ができるというのか?引き続き、今年の2月頃には、ウクライナ側から、ウクライナを去るのか、と数回尋ねられたそうだ。これが彼女の答えであるから、突然ではなく当然予想される出来事ではなかったのか?

彼女の更迭の理由は、追放中のウクライナのオリガルヒと組んで大儲けを企んだジュリアーニとその一味にとって彼女の存在が邪魔になったことだろうと推測される。詳しい事はNY南区連邦検事による捜査結果にかかっている。