過去5年間を振り返ればトランプの名が米ニュースに出てこない日はなかった。おかげで皆すっかりトランプ疲れに陥っていますが、それにも関わらずこの狂人のせいで米国内はまた内戦(=南北戦争)に次ぐ最大の危機に再び直面しようとしている。
それは来年22年の中間選挙だ。この選挙で下院がトランプ共和党の手に落ちそうだというので、米国内では社会不安が日増しに高まっている。
しかし、バイデン司法省は表面ではトランプを全くの放し飼い。これではトランプ王国の到来を手をこまねいて待っているようなものだ。このような背景からバイデン政権の人気はよくないと報道されている。
現時点で公式に1/6のトランプによるクーデターの追及をしているのは、下院の"6/1議事堂襲撃事件特別調査委員会"のみだ。この事が米市民の過半数を占めている反トランプ側からのバイデン政権への大きな不満となっている。
この調査委員会は7月1日に公式に発足。しかしそれ以前にいろいろあった。まず1/6を理由に下院でドランプ弾劾成立、しかしバイデン政権下の2月13日には上院で無罪判決となった。
その直後に9/11調査員会をモデルとした上下両院合同の捜査委員会設立を図ったのだが、上院でフィリバスターが出て成立しなかった。結果として上院では独自に調査報告書を公表。しかし内容は全くナゾにつつまれたまま。
下院での調査委員会設立はすでに5月14日に成立したのだが、フリーダム・コーカスというトランプ支持派閥(2015当時の発足人の一人は今回問題となったメドウズ前下院議員)に引っ掻き回され、結局共和党側2人と民主党7人でスタート。
この委員会は今年の最後に報告書の提出を義務付けられているので、超スピードで調査を進めて来た、と報道されている。今週中のトランプ・ニュースの中心は、かってトランプの首席補佐官(=官房長官)をしていたマーク・メドウズ、下院でトランプの手足となって動いているフリーダム・コーカスの生みの親。このトランプ直属の下院議員達が今回の陰謀に加わっているという疑惑が明らかになった。
彼はトランプの直接側近としてクーデターの共謀者の一人であると共に、外部の共謀者一味をトランプに引き合わせるゲート番となった、という疑惑がかけられている。
当然下院調査委員会から召喚された。最初は当時は政府役職にあったことからトランプに指示された通り大統領特権を主張し召喚に応じなかった。しかし先々週には突然召喚に応じ、5000頁に及ぶ書類を委員会に引き渡した。だが、親分トランプと間でメドウズが発刊する予定のトランプ暴露本の内容が大きくリーク。それで親分との間にゴタゴタが発生し、突然態度を変え、召喚絶対拒否に逆戻り。
米市民はまるでキツネにつままれたような恰好だ。
しかし、調査委員会側はメドウズの引き渡した資料の中から、1月6日に彼に送られたSNSメッセージの内容や、トランプと側近共謀者達にクーデタ計画を分かり易く説明したとみられるパワーポイントが含まれていることから大騒動になっている。
米議事堂襲撃は、議事堂警察がいち早く機転を利かせてターゲットのペンス前副大統領・ペロシ議長を始め議員全員の逃亡を成功させたことで、選挙人投票なる大統領決定の儀式が暴徒によって実行不可能にならなかった。だから全くの失敗に終わった。当然失敗の気配を察したトランプ派の共謀議員はメドウズにテキストメッセージを送っていた。それらが今回調査委員会に握られた。
このクーデターが成功していたら、合衆国は一体どうなっていただろうか?考えて見て欲しい。
ところでメドウズは、14日に議会屈辱罪で司法省に告発されることが決定。バノンと同じく起訴となると予想されてはいるが、これは司法省の判断次第だ。
下の動画ニュースでは、メドウズは1月5日に早くも、州兵が議事堂に集結するトランプ支持者を守る目的で出動する、というメッセージをSNSで発信していたことを報道。
しかし当日議事堂警察の守備が崩壊しても州兵は一向に出動してこなかった。出動は事態を憂慮したバージニアとメリーランドの州知事が要請、と報道された。しかも乱入者は全員白人なので現行犯で逮捕もされなかったのだ。
調査委員会はこの点に関してもメドウズが内情を知っている、と見ている。
一方の首謀者トランプは大統領特権を使い当時の彼の執務ログ及び関係記録公開を訴訟でブロック。しかしすでに連邦高裁で自ら任命した判事に控訴が却下され、最高裁までに持ち込むつもりだと予想されている。目的は時間稼ぎ。
もうこうなれば、時間との闘いである。