chuka's diary

万国の本の虫よ、団結せよ!

トランプのトンデモ訴訟:死ね、FB、Twitter & YouTube!?

7月7日にトランプは、所有しているベドミンスター・ゴルフクラブ(NJ州)で記者会見、他の被害者4人とまだ名乗り出ていない被害者達と共に集団訴訟(=class action law suit)を起こす、と発表。

訴訟相手は、彼がビッグテック(=big tech)と呼ぶフェイスブック、ツィッター、グーグル(YouTube)三社、とそれぞれのCEO(=経営責任者)である。

 

訴訟理由は、憲法修正第一条違反、となっている。

 

トランプはこの訴訟が裁判で市民陪審員により判決される事を指定、規制処分前への原状回復、各被害者への金銭的損害賠償、裁判費用全額負担、加害者3社からの見せしめ懲罰金、等々を要求している。ここらへんは通常の損害賠償訴訟であるが、特異なのは、連邦法セクション230の違憲判決要求である。

ここでの賠償金の額などはこれらの巨大企業にとっては屁の河童。だが、このセクション230への違憲判決は三社の事実上の崩壊につながる。

 

この法で"情報提供者"となり損害賠償の義務免除という特権を与えられたことで今日のSNSの世界的隆盛がある、という見方が一般的である。つまり、トランプにしてみれば、この特権を取り上げ、自分をいじめたSNS3社に、"死ね!"という追い討ち。

 

なんだか"悪ガキの復讐"に見える。しかし、実際トランプが勝つと、事態は非常に深刻となる。この悪影響をもろに受けるのは、その他の膨大な数に達する一般ユーザーなのだ。もともとこの法は、SNSの一般ユーザーが受ける恩恵を維持し、トランプのような悪質ユーザーを取り除く目的で立法化されたものだった。それを逆手に取ったのがトランプだ。

 

それに、この訴訟、聞いただけで、かなりおかしい。

米憲法修正第一条はフリー・スピーチ条項と呼ばれている。政府は市民の言論・表現に関する法を作ってはならない、となっている。つまり言論・表現の自由は、政府が違反者に懲罰を課して言論弾圧をしないこと、で維持される、という認識に立っている。

 

だからこの修正一条違反を理由にするなら、訴訟相手は当然政府(州・市)でなければならないのに、なぜこのビッグテック3社なのか?

しかも、混乱を覚悟で言うなら、セクション230(c)1では政府はSNS側は単なるユーザーからの情報提供者として損害賠償の義務を一切免除しているのに。

 

その辺りから訴状の内容がモヤモヤしてくる。この民間3社が政府にへんし~んする鍵があのセクション230であり、これに依存した3社が共謀、政府の代理役(=state actors)になったと主張。

だが、この政府の代理役ビッグテックは、やはりセクション230廃止をちらつかせた民主党議員に脅かされてトランプ達のフリースピーチを規制し言論検閲を行った、だから修正第一条違反だ、という理屈は、ちょっと無理なのではないだろうか?

 

事実はこのセクション230(c)2 がSNS側の自主検閲をむしろ薦めている。目的は悪質な使用者、少女売春やイスラム国のリクルート等の社会に害を与える類、の排除である。トランプのデマ拡散やクーデター扇動も悪質性ではこの法に充分該当するというのが私も含めて多数の見方だ。

 

実際このへ理屈を支持するのはトランプ支持硬派の弁護士のみ。それ以外からはまたトランプのトンデモ訴訟(=frivolous lawsuit)と見られている。

 

トランプ側は三社それぞれに訴状を提出。

私は、トランプvs. ザッカーバーグの訴状44ページにざっと目を通すのに、少なくとも2-3時間かかりました。

 

内容についていろいろメディアの記事を当たっています。しかし、訴状内容がモヤモヤのせいか、法曹及び一般の意見もそれぞれ違っている。その主要原因は、トランプが持ち出してきた、セクション230の法解釈の違いかと思われます。

とにかく一致しているのは、とんでも訴訟、ということです。

 

日本のトランピスト、及川さんも相反する内容の解説をしています。下はその動画です。私個人の記録目的もあって掲載しています。興味のある方のご参考になれば幸いです。

 https://www.youtube.com/watch?v=H8cLOamlXNM&t=1s

下の動画はトランプの記者会見の模様です。

https://www.youtube.com/watch?v=LZkG7iK38Co&t=388s