今日5月10日はエスパー元国防長官の回想録"Sacred Oath" (=聖なる誓い)の発売日。ここ連日、本の内容がメディアで騒がれていることから、ベストセラー間違いなし。
エスパー氏の祖父はレバノン人移民だった。そのせいか彼の顔はどこかエキゾチックに見える。しかし、レバノン人のDNAは東洋と西洋の混合だからあまり当たっていないかも知れません。
私のブログでも2年前エスパー元国防長官のことをチョコっと記事にしていました。それはジョージ・フロイド氏が警察官に殺されたことがトリガーとなり大都市で大規模なBLM(=Black Lives Matter)のデモが発生し、首都ワシントンでは数日ホワイトハウスがデモ隊に包囲されるという事態になった時のことです。
https://chuka123.hatenablog.com/entry/2020/06/03/132814
上の事件の2日後に、エスパー氏はペンタゴンで独自に記者会見し、現在米軍が介入して国内でデモ対策に当たる必要はない、と宣言。トランプと正面切ってのにらみ合いとなった。しかし、なぜかその時はクビにもならずエスパー氏はそのまま国防長官の席にいすわっていたのだが、大統領選直後にすぐ解職された。
そのエスパー氏、先週の日曜日に、CBSの" 60minutes"で特別インタビューに出演。そこで驚きの内容が明らかになった。下の動画はその部分です。
ところでトランプはエスパーを、"イェスパー"と呼んでいた。この意味はお分かりでしょう。イエスマンということです。
このエスパー氏はウェストポイント陸軍士官学校を優等で卒業、10年間陸軍将校を務め湾岸戦争に従軍。除隊後は防衛産業のロビーストからエリート国防省官僚に上り詰め、最後は国防長官としてトランプと直接顔を合わせて話すようになった。
だが、トランプの全く糸の切れた凧のようなとてつもない勝手ぶりにあきれ果てた。
その一つが今回暴露された。
トランプはメキシコのドラッグ・カーテルの拠点にミサイルを撃ち込めとエスパーにしつこく迫ったそうだ。誰がやったかわかりゃせんよ、とのこと。いくら米へのドラッグ流入に手を焼いているとはいえ、これはあんまりだ。それで必死になってミサイル攻撃は国際法違反の戦争犯罪と言ってトランプを説得した。
"60minutes "はトランプに真偽を確かめると、ノーコメントという返答を彼から得た。
エスパー氏の国防長官就任は超党派で承認された。しかしその2日後には、トランプがウクライナ大統領のゼレンスキーに電話し、バイデン汚職捜査をしないと、約250億円の援助を差し控えると脅した為、これがトランプ弾劾に発展した。その際エスパー氏は、トランプにこの金は下院の予算として通過したので出さなくてはならない、と繰り返し通告したのだが、寝耳に水だったそうだ。だから最初から二人の関係はぎくしゃくしたものだった、と回想している。
ホワイトハウスがデモ隊に包囲され、地下壕で夜を過ごしたトランプは怒りで逆上、誰彼かまわず周囲に当たり散らした。
あの温厚紳士のペンス副大統領にも"f**king looser"(=オマエは役立たず) と面と向かって罵ったのを目撃し、エスパーは驚愕した。
エスパー氏はトランプは感情と思考過程のコントロールが不能で、次期の大統領などとんでもない話、と厳しい評価を下している。
その時、トランプはエスパー氏に、一万人の陸軍兵士を首都に連れてこい、と命令。それでエスパー氏が、軍にどうしろと言うのか、と尋ねると、トランプは、デモ隊を撃て、と答えたそうだ。これじゃまるで、バナナリパブリックの独裁将軍大統領だ、とあきれながらも、エスパー氏は、軍人はだめだが州兵なら合法なので根回しで5000人を首都ワシントンに配置。そして首都の郊外に陸軍部隊を待機させるということで、トランプの気を静めた、と動画で述べている。
トランプは、あの時点で弱虫のエスパーが国防長官として無能だったので、自ら指揮をとらざるを得なかった、と" 60 minutes" へ文書で反論していた。
それにトランプの後をぞろぞろとあの放火された教会の前まで歩いたことは、全く事前に知られされていなかった、彼らにうまくはめられたのだ、とエスパー氏。
それじゃなんで防衛長官を辞めなかったのか?と尋ねられ、エスパー氏は、辞任すればトランプのトンデモ側近にこの先何をされるがわからない、その時誰がトランプを止められる?
とにかく国を守る為に長官の席にいすわった、これは軍のミリー統合幕僚長や他の軍トップ官僚とも相談して決めた、と答えていた。