予想されていた通り、今週5月8日(月)にトランプ vs. E.ジーン・キャロルの裁判は結審、翌日5月9日(火)の朝から陪審員による判決作業がスタート。
しかし3時間後には判決が出た。下の判決書は予め9人(男6、女3)に渡されていた質問書だった。陪審員はこの10問について合議し、これら10の個別質問に答えた。比較的簡単な英語です。
https://www.courthousenews.com/wp-content/uploads/2023/05/carroll-trump-verdict-form-final.pdf
上の判決文(10の質問の答え)は2つのパートに分かれている。
パート1:暴行
#1.キャロルさんが裁判に提出した証拠に基ずき、トランプは彼女をレイプしたか?
陪審員の答えは、ノー。
#2. トランプは性的暴行をしたか?
陪審員は、イエスで一致。
#3.トランプは無理やりキャロルに触ったか?この質問は、#2.でイエスと答えたので スルー。
#4、キャロルさんはトランプの行動により、損害を受けたか?
イエス:損害額を記入せよ。 $200万ドル。(=約2億7千万円相当)
#5.トランプ氏の行動は、意図的、又は不注意により、又は思慮に欠け、キャロ ルさんに対する人権を意図的に無視、又は浅薄さの結果で権利無視、に至ったのか?
イエス:罰金額を記入せよ。 $2万ドル(=約2700万円)
パート2:名誉棄損
#6.裁判上の証拠により、トランプはキャロルさんの名誉を棄損したか?
陪審員は、イエス
#7.キャロルさんは証拠により、トランプの発言は虚偽であることを示したか?
イエス
#8.トランプ氏の言述には悪意がこもっているか?
イエス
#9.キャロルさんが提出した証拠から、2022年12月22日のトランプの言述で
キャロルさんが損害を受けたことは証明されたか?
イエス:損害額記入、$100万ドル
名誉棄損回復額、$170万ドル
#10.トランプ氏は言述で、悪意、憎しみ、よこしまさを、侮蔑感を抱き、無思慮、浅慮、意図的に他者の権利を無視したか?
イエス:罰金額、$28万ドル
上の判決文により、トランプには陪審員によりかっきり総額500万ドルの支払いが命ぜられた。
今日の$1=134円に換算すれば、約6億7千万円相当となる。
トランプ側は控訴の予定だそうだ。米の控訴は裁判のやり直しではなく、裁判過程に公平さとか違法性の問題が認められる時だけ受け入れられる。ほとんどは却下されている。
この裁判はトランプのレイプ裁判として有名ですが、トランプがキャロルさんをレイプしたかどうかについては、陪審員はノーと答えている。判事は陪審員に、レイプは挿入であるという法的定義を事前に教唆した。キャロルさん自身も、挿入されたかどうかは確かでない、と証言していた。
よく知られているように、女性の膣内には接触神経がない。ではどこで女性は膣挿入を知るのか?多くは膣口からです。性的興奮をもたらすのは性器外部のクリトリスの刺激で挿入ではない。それとキャロルさんはその時動転していたので明確でない、ということでしょう。
これは民事裁判なので証拠が信用できるという陪審員の判断でいいわけです。ここの陪審員は判事のいう事に従っている。しかし、トランプの行為はレイプを念頭においた性暴力と判断された。それだけで約1億3400万円がトランプに損害として課された。
質問#6以下はパート2、名誉棄損、です。
2019年6月21日以来、トランプは事あるごとに、ツィート、公式💬、あるいはホワイトハウスの報道官の口を通して、キャロルさんには会ったこともない、彼好みでもない、キャロルさんはウソつきで金目当て、と侮蔑的英語表現でやり返し続けてきた。2022年の10月12日には彼所有のSNS、TruthSocialで特に長文の💬をカキこ。これも従来のと全く同じ悪口雑言の行列ですが、この裁判ではこれが証拠として提出された。
トランプは昨日、CNNがニューハンプシャーで開催した共和党プライマリーを念頭に置いたトランプ・タウンホール集会でも、E.ジーン・キャロルさんを名指しで、詐欺師、ほら吹き、トランプを出汁にした手っ取り早い金儲けを企んだ、などと汚い米語で罵声を浴びせた。これには多くが眉をひそめた。というのはこの裁判に負けたのはトランプ自身のせいだ、というのが米市民多数の見方です。
裁判中は国外に逃亡。そこからいろいろと陪審員向けの雑音を流し、結審直前になって、急遽帰国し裁判に出廷証言をする、と公言。そこで判事はトランプの出廷を待つと言いだした。しかしこれは全くのウソ。全く人騒がせな狼老人です。
結局、トランプ本人の証言無しで結審となり、トランプはキャロルさんに性暴力と名誉棄損で損害賠償を命じられた。これは全く大方の予想通り。魔女裁判でも#metooのせいでも何でもない、彼自身のせいだ。
トランプを離婚レイプで糾弾したのは他でもない、前妻のイヴァナ・トランプだった。しかし彼女はこれで莫大な口止め料をせしめトランプと和解離婚。そのイヴァナさんは、離婚成立直後に顔を整形し、何とトランプの再婚相手、マーラのそっくりさんになった。イヴァナはよほど悔しかったのでしょう。これも信じられない話です。そのマーラとキャロルさんの顔を見間違えるとは!
キャロルさんを昨日もTVで、好みじゃない、と繰り返し侮蔑を続けるトランプの信用度はゼロです。
この裁判、伊藤詩織さんのケースと比較するとおもしろい。彼女のレイプも証拠がない。それだけではない。事件当日訪れた婦人科医、3日後に訪れた整形外科医の診断書にもレイプを自ら否定している。伊藤、山口証言の一致点は性交があったということだけです。しかし、全く違った時間帯と状況でこれが同じ事件とはとても思えない。どちらかが偽造、と指摘しているブロガーは正しい。