上が外務省がクレームをつけた記事だ。ただしクレームはタイム誌の表紙の、
『岸田首相は過去数十年間の非戦主義を放棄、彼の国を真の軍事大国（=軍事パワー）にしたがっている』（英語原文）
という見出しの部分のみ。実はタイム誌は『軍事パワー』（＝military power)を『軍事大国』と日本語訳してしまったのが原因だ。後者は日本では禁句の４文字です。
記事の題は、" Prime Minister Fumiko Kishida Is Giving a Once Pacifist Japan a More Assertive Role on the Global Stage"。『岸田首相は、過去の非戦国日本に国際外交のステージでより"確固な役割"（＝assertive role)を与えるつもりだ』（拙訳）
ところで、この assertive こそ日本語訳するのに困ってしまう単語なのだ。というのは、これは"忖度"とは正反対の意であり、日本のカルチュアにはピッタリくる語がない。ポジティブかつ毅然とした態度という意で米のカルチュアでは最高位に置かれている。
ニュースとしてはただこれだけだが、では記事の内容は騒がれたことで日本人に広く読まれたのか？という事になると、これは本当に疑問です。
中国は日本経済にも大きなインパクトを持っている。しかも地理的には日本は中国及び台湾の隣国であり、帰属不明の尖閣列島を抱え、沖縄諸島への経済覇権を匂わせつつ北朝鮮をアタックドッグとして背後で操つる中国に対する日本の選択は、status quo(=現状維持）。これは米、加、オーストラリア及び他の近隣諸国と歩調を合わせている。しかし、これには "how much ？"が大きな焦点となる。
岸田首相は、2027年にはGDPの２％に到達する防衛費を念頭に予算を組んだので今年は50％の増額となった、というのがタイムの視点である。GDPの２％はNATOの参加国分担金だ。つまり、中国は太平洋の"ロシア"でウクライナは台湾となる。日本のGDPは米・中に次いで世界第３位。だから防衛費も大型になってしまう。だがタイムは指摘する。特に今、日本国内の経済衰退続行を考慮するなら中国をロシア化することは日本にとって果たして賢い選択と言えるのか？と。
タイムによると、岸田首相はエリートではなくむしろ凡庸なる賢人と見られている。彼の経歴で目立つのは、人種のるつぼで名高いNYのクィーンズの公立小学校で最初の３年を過ごしたので、英語が達者である上に、かなりアメリカ的発想が根底にあることを本人の口を通してタイムは指摘。特に岸田氏の性格、コンセンサス・ビルダー、がリーダーとしての卓越さに貢献していると評価。
岸田政権の経済回復政策の狙いは失われた30年でワーキングプアに落ち込んだ日本の中産階級を再び元の位置に返したい、ということだ。
バブル前の1980年代の日本人の給料は米国より高かった。しかし今日では米国より40％も減少。中産階級をてっとり早く復興させるには給料を上げることだが、その具体的政策は今のところ無し。
それでも他に先進国欧米並みにと2030年、７年後までには、女性CEOを民間企業の30％まで到達させるという目標をかかげている。これも具体的方法は、まだない。
今回のG7開催地広島で待っているのは、戦争放棄に核絶滅という今や亡霊化した原爆被害者達の声。ところで、この広島出身の岸田首相は、原爆の恐ろしさを身に染みて感じている一人だと主張。G7で参加国の結束強化が平和維持につながるのだ。と同時に、岸田はG7に韓国（GDＰ10位）とインド（ＧＤＰ６位）を招いて対中国包囲網のコンセンサスを固め、今年11月予定の習今平との直接交渉を目指している。
タイムによると、一方の習は中国マネーとカルチュアを結びつけて関係国への影響拡大を一層強化。このMO（＝操作様式）は "シ"ビリゼーション（＝xivilization) と皮肉られている。この"シ"は習の発音をもじっている。
この岸田路線、決して米国依存路線ではなくむしろ米国離れに見えるが、とにかく成果です。
余談ですが、米国に住む私は先日大衆向け安スーパーでコメを買った。
一番安いのは1㎏=約135円。ただしこれは大樽のロングクレインライスでセルフサービスで樽からスクープして袋に入れた。この細長いコメを家でAmazonで買った$30（=約4000円）のライスクッカーで炊くとやはりコメの味がしました。
大体日本人一人当たり月５㎏コメを消費するので月約700円相当かかる計算となる。これが米国のコメ値段の最低線です。
米国では貧乏人はコメを喰え😊
