"トランプはサイコパス、トランプが再選されれば民主主義が崩壊する"、というのが、トランプの姪、メリー・トランプによる回顧録、" Too Much and Never Enough "の一節だそうだ。
この本はボルトンの暴露本に続くトランプ直撃の第二弾。著者が心理学論文で博士号取得、統合失調症の心理療法の専門家であるということで、ボルトンと同等かそれ以上に世間の注目を集めている。
この本は来る8月27日に発売予定だったが、6月末に、ロバート・トランプ=トランプの弟、の名で発売差し止め請求が裁判所に出された。裁判所は2001年のトランプの父、つまりトランプの姪の祖父、フレッド・トランプの死で起こった財産相続争いが和解された際のNDO(内容非公開条項)が和解条件の一つと認め、それを理由に本の一時的発売差し止め処分の請求を認めた。しかし抗告され、今回は発売元の出版社にはNDOは適応されない、という理由から発売許可判決を得た。
実はこの本はすでにプリントされ、アマゾンには予約が殺到。これはボルトン暴露本と全く同じ状態。しかも発行日を7月14日に早め、昨日7月7日の夕刻には、NYタイムスで抜粋が公開された。夜には、この本をすでに読んだ人々による内容紹介がTVで広範に渡り放送されてしまった。これもボルトンの時と全く同じ。
著者はトランプの姪のメリー・トランプ。彼女の弁護士の主張では、トランプの姪は2001年の遺産分配訴訟の際の遺産総額41.4億ドルは実際の413億ドルの10分の一しかない。これは遺産総額自体が正しくなく、従ってこの契約を守る義務も消失した、と反論している。
明らかに相続税逃れの遺産過小評価の陰謀には、トランプの姉でNY地裁判事だったマリアン・トランプが加担していたらしい。マリアン・トランプはこの後、クリントン政権の時に連邦判事に任命され、終身判事となった。だが、昨年、NYタイムスがトランプ一家の遺産相続の暴露記事でこのトランプの姉の判事としての倫理を咎める動きが出た途端、今年の2月に辞任してしまった。倫理問題は本人が辞任してしまえば、捜査は打ち切りとなるからだ、と憶測されている。トランプ一家の税金不払い陰謀は今に始まったことではない。今日が明日にでも最高裁でトランプの税金申告を下院の調査会に公開するか否かの判決が出る予定だ。
トランプと姪の相克は富豪一族の創始者であったフレッド・トランプの遺産相続争いが原因と言ってもいいだろう。
トランプは5人兄弟姉妹の次男で、フレッド・トランプには長男がいた。名もフレッドトランプ二世だから、父としては待望の嫡男誕生であった。しかし、この長男はあまりにお坊ちゃんで父親の成り上がり流について行けなかったようだ。早くからパイロットに興味を持ち、低所得層アパートの家賃取り立てには向かなかったらしい。6歳下のトランプ(大統領)は早くから性格に問題があったが、この兄を反面教師としてひたすら父親に従いビジネスを見習った。
しかしトランプの兄は志望していたパイロットにはついになれなかった。理由は酒である。それで一年間のトライアル採用を終えたがパイロットとして本採用されなかった。そこでまた父親のビジネスに戻ったのだが、そこでかなりのモラハラをトランプ親子から受けた、と姪は書いているそうだ。酒に関連して健康を害し、42歳の若さで亡くなってしまった。残されたのがメリーと兄のフレッド・トランプ3世である。
その時十代早々の彼ら二人はトランプ家が面倒を見る事になった。しかし、フレッド・トランプが2000年に亡くなった時残された莫大な遺産は生存するトランプを含む4人の兄弟姉妹が独占し、長兄の遺児二人には、他の孫と同様に2000万円ぽっちを受け取ることとなった。父の遺産分を主張したメリーと兄は裁判所に提訴し、その後和解した。
メリーの兄の妻はフレッド・トランプの死後3日目に早産した。その赤ん坊が分娩時のトラウマから脳性麻痺の症状、痙攣、呼吸停止、吐き気、等が後日出てきた。トランプ会社の医療保険で100%カバーされていたのが、提訴と同時にトランプの命令で打ち切られたことも著者の恨の原因となっている。
サイコパスというのは性格異常症状の一つで、一言で言えば自己に限り無く優しく、他人には冷血非情、という言動のパターンで、犯罪者に共通した性格と見られている。しかし正直に言うと、私達は皆場合によってサイコパスのような言動をしてしまう状況に置かれる時もある。しかし、後になって後悔し、そういう態度で対応した方に謝罪し埋め合わせをしようとする。だが、本物のサイコパスは、嘘、詐欺で我を通し、他者に害を与えても屁の河童、となってしまう。
この本を読んだという方々の話では、著者はトランプのサイコパスは父、兄、との葛藤の中で形成されたと捉えているそうだ。だが、医学的には原因は明確ではない。サイコパス症状に効果ある治療薬はないようだ。
コロナ大感染の最中なので、この本を読めるのはかなり先になりそうだ。