chuka's diary

万国の本の虫よ、団結せよ!

世界に見せたくないトランプ対バイデン討論会

『世界に見せたくない』、『外国人が聴いたらアメリカはド最低の国』、『恥ずかしい』『途中で聴くのを止めるべきだった』、これが昨日29日のトランプ対バイデンの討論会についての聴衆の共通の印象。

 

討論前の約束ではトランプ・バイデンも共に司会に従い、6個の政治的焦点について15分、それぞれの見解約2分とその後自由討論、となっていた。しかしそれが守られたのは冒頭の最高裁判事の指名に関する各々2分間のみで、もう後は互いの足を引っ張る泥仕合。その上、トランプは司会者のクリス・ウォレスにも喧嘩を売って反抗。もう大混乱。政治的討論か街中の喧嘩か区別がつかない90分間。

 

クリス・ウォレスと言えばいわばトランプの宣伝放送局となったフォックスの看板レポーター。しかし、今年七月末の彼とトランプのインタビューはトランプの人気の急降下につながったといういわくつきの人です。

 

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下の動画は日本のTVニュースより。

 https://www.youtube.com/watch?v=R5r-U-T8dB4

www.youtube.com

動画の中で米国人の方が日本語でバイデンがトランプを"ピエロ"(=clown )と呼んだ、これは大統領選では史上初、なんて言っていました。確かに、私が相手を面前でクラウンと呼ぶと、拳か下手すると銃弾一発、をお見舞いされても不思議はないです。しかし、トランプの言葉も同等にderogatory(蔑称的)で一旦口を挟んだら最後、意図的に屈辱を辞めない、という点から見たらトランプの方がより悪質かと。

 

クリス・ウォレスがトランプに連邦税$750というのは本当か?ここではっきりさせるべきだ、と迫った時、トランプは"税金なら数ミリオンドラーズ"払っているとゴマカシ、イエスかノーかを避けた。前回に書いたように、市民及び合法居住者は国だけではなく、州、市や郡からの税を払うことになっている。各地に所有している会員制ゴルフ場や超高級ゴルフクラブ・ホテルの"マーラーゴ"はトランプの個人資産であるので、彼はどこかで税を払わざるを得ない。しかも彼はスコットランドとかの海外の資産にはちゃんと外国に税金を払っているのだ。

 

私が理解できないのはこの動画では日本語訳で数百万円と言っている。しかし英語のミリオンドラーズは日本語の一億円だ。これは円は米のドルではなくセントを基準にしているので私も混乱させられる。通貨を除けばたとえば人口一億人は100ミリオンズとなるわけです。

 

しかしこの動画の指摘は正しい。今のトランプには政策が無い。この討論から聞こえてくるのは、コロナは中国が持ち込んだ伝染病、しかし老人疾患だから学校・ビジネス全開、患者数・失業者数増大の最中に国民皆保険廃止、政治的プロテストは極左が起こしていると決めつけて武力で抑圧、西海岸の大火災は普段から山をきれいにしていなかったからだ、等々の独裁者による歪んだ論理のみ。この10月以降にトランプ側が起こした訴訟、米国民皆保険違法、に対する論議と判決が最高裁でなされる予定ですが、その目的で故ギンズバーグ判事の後釜を押し付けているわけです。このトランプの判事候補はオバマケアは違法という見解をすでに明らかにしている。

 

この討論の最後の部分、大統領選挙投票についての15分間がおもしろい。トランプは、投票日後の10日間でも投票できる、もう各地で不正郵便投票が起こっている、など事実でない事をあげ、郵便投票は量が多過ぎて郵便局で処理できない、結果が出るまで数カ月かかる、その上、不正を働く人が出て結果は全く信頼できない、と主張。しかし、郵便局から高速処理機をコッソリと取り除き解体してしまったのは、トランプの手下の郵政局長官なのだ。議会で尋問されこの男はすべてを認めた上で、郵便投票に遅れが出ない事を約束する、とまで証言している。

 

それに付け加えて、ここでトランプは彼の支援者を各州の投票所に見張りに送ったと報告した。彼は、投票の不正を防ぐためには見張り人が必要だと強調。しかし、フィラデルフィアではこのトランプの派遣した見張り屋は投票所から追い出された、と自ら抗議。これも笑いたくても笑えない話だ。

米国の選挙投票の歴史は投票妨害の歴史でもあるのだ。投票所の見張り人は特に投票に来るなという黒人へのメッセージでもあった。その他に南部諸州で実施された合法妨害はその場の投票税、読み書きテスト、と日本ではちょっと想像できないようなもの凄いのが数々ある。

公正の為に書くのだが、トランプは嘘だらけだったが、これは彼にとってはこれまで通り。バイデン候補だが、二回ばかり、アイオワを持ち出し、投票に関しては IOWA.COMへと口を滑らした例から、ひょっとして討論場所はオハイオではなくアイオワと勘違いしていたのかも知れない。高齢の思い違いは彼にこれまで通り。

 

なお、トランプに、私の後方で私を支えている、と言及された白人至上主義武装民兵、" Proud Boys"が討論後に大はしゃぎ、と今日報道されている。この人達の本場が拙州ですからもうすぐ最寄りの投票所にやってきます。私は米国在住数十年ですがこんな事態は本当に初めてです。