先週18日の夜、NY州検事レティシア・ジェームズが、今後NY州とマンハッタン地区の総検事は相互に協力し、トランプオーガニゼーションの犯罪捜査を進める、と発表したので、米メディアは夜中過ぎなのに騒然となった。
今週の初めには WaPo (=ワシントンポスト)がすでにマンハッタン地区の特別大陪審員グループ(=grand jury)が正式起訴するかどうか審査をスタート、とすっぱ抜き、またまた大騒動で今や主要メディアでは一つの憶測が大きく注目されている。
米憲法によって連邦検察からの起訴は大陪審院の承諾を得なければならない。大がついているのは、市民陪審員の数が裁判の時の通常12人より多い16人から23人ぐらいというところからだそうだ。
各州もこれをモデルにしてるのだが、各州ごとに違いがある。NY州では数年の刑期を伴う重犯罪については検察側は大陪審院の下で捜査及び起訴決定となっている。大陪審院は裁判ではなく検察側の説明で起訴するかどうかを判断する、という形式で内密に運営されている。
例えばマンハッタン地区検事は大陪審院の要請として最高裁に意見を求め、トランプ個人及びオーガニゼーションの過去8年の連邦所得申告を今年の2月にやっと手に入れた。その前には同様にしてトランプ・オーガニゼーションの最大の債権銀行、ドイツ銀行からの関連書類を取得した。
その直後に、外部からマフィアの起訴及び有罪判決に経験ある元検事や暴力組織の帳簿のカラクリに詳しい会計事務所を雇って現在捜査の真っ最中。
トランプ・オーガニゼーションはつい最近、エリック・トランプ・オーガニゼーションと名を変更。エリックとはしゃべり方や話の内容からおバカさんという評判のあるトランプの次男の名。しかし、一時期トランプに反抗した長男と違いトランプに逆らった事がないので、トランプ御大のお気に入りと言われている。
トランプ・オーガニゼーションは個人ビジネスでトランプの家族とワイセルバーグ氏一家の数人で内密に運営されている。しかしこの事業の全容を知っているのはおそらくトランプのみだと推測されている。トランプの子供達も副社長とか重役等の肩書を持ってはいるが、イヴァンカも新オーナーの次男エリックも検察側の事情聴収では内部事情をそこまで知らないと証言している。その点もマフィア組織に酷似しているそうだ。
トランプの命令は絶対で、帳簿上の数字もトランプの直接命令で書き直させられたと、アトランティックシティのトランプ・カジノの雇われ経営者がTVで述べていた。トランプカジノが破産したのは、トランプが誇大妄想にかられ、複数のカジノとホテルを次々と隣近所に開店してしまったのが原因だった。つまり自分で自分を競争相手にしての共倒れだったのだ。
その時、トランプのドケチ親父は、数億円にのぼるカジノチップの現金買いで一時的キャシュ不足に陥ったトランプ・カジノを危機一髪で救った。この有名なエピソードは違法行為で脱税もいいとこだが、親がああだから息子もこうなった、と指摘する人も多い。
つい最近トランプ・オーガニゼーションで40年も経理担当をしてきたワイセルバーグ氏一家の脱税容疑が捜査に協力中の長男の元嫁の口から漏れた事で、NYの検事側はトランプ・オーガニゼーションを組織暴力罪、通称RICO(=Racketeer-Influenced and Corrupt Organization Act)を適用して起訴しようとしている、という見方が米主要メディアで非常に有力になってきている。だからトランプはマフィアのボスと同等と見なされているということになる。
"Racketeering" は日本語では恐喝となっているが、詐欺などの反社会的手段を使い被害者をおどし恐怖心を煽る組織暴力特有の金儲けのやり方と法的に認識されている。これはトランプ大学詐欺事件、トランプ慈善基金、大統領就任式寄金問題、また今回の不正選挙資金集めでもすでにお馴染みの手口だ。トランプのやり方は最初からこの調子だった、と被害者達や関係者は暴露本やメディアで証言しているのだ。
トランプ本人は来たるべきものが来たと直感しているかのようだ。彼の危機管理の悪だくみにかけては天才的と敵も評価している。
今のトランプは窮鼠ならぬ、檻の戸口に追い詰められた🐯トラのように、牙と爪を剥き出し、死に物狂いになって民主主義選挙の破壊という報復に撃って出た。
メディアも米市民もNY州検事側の起訴状が公開される日を辛抱強く待っている。