chuka's diary

万国の本の虫よ、団結せよ!

マイケル・フリンの正体!?

大統領選まで後60日!それに10月にはオクトーバーサプライズが必ずある!というので米国内のテンションはもう上がりっぱなし。

先月は全く歴史的に異常な民主・共和両大会が続き、霞んでしまったのはコロナニュースだけではない。たとえば、上院情報委員会のロシアゲート捜査結果の公表はモラー報告かそれ以上の大ニュースのはずなのだが。

 

今年5月のバー司法長官によるフリン起訴取り下げと同時にトランプ自らが言い出したオバマ陰謀説を憶えているだろうか?

この時のバー氏の起訴取り下げ理由はフリンは当時のFBI担当官、つまりトランプが目の仇にしているマケィブFBI副長官らに嘘をつくように仕掛けられた、というもの。その陰でオバマ前大統領の命でコミFBI元長官が背後で糸を引いていた、というのが陰謀説の大筋だった。その時バー氏は、秋頃に調査結果を公表し、起訴もありうる、とトランプに口を合わせた。この脅しは真剣に受け取られた。これがオクトーバー・サプライズになるのではというと予想が流れ始めた。

 

しかし、先月8月18日に上院情報委員会による2016大統領選ロシア介入捜査報告が突然公表された。上院では共和党が多数であるからこの委員会も共和党に率いられている。上院の情報委員会はCIA及びFBIの情報収集機関の監査役として知られている。だからこの報告書ではトランプ以外を除き関係者多数の証言と情報機関による情報が総合的に評価されている。中でも、トランプ側近の大物、クシュナー、バノン、長男ジュニア、次男エリック、マナフォート等々は、偽証疑惑で司法省に捜査依頼がすでに一か月以上も前に送られたと報道されている。だがバー氏はこれを握り潰していたらしい。

この報告書は1000ページ近くに及び、モラー報告書約500ページと合わせて読むと、ロシアゲートオタクにはたまらないはず。この報告書は現在ネットで公開されている。しかも市民向けであるから分かり易い。だか黒塗り箇所もかなりある。

 

私はフリン条項50ページあまりを読んだのだが、政治的背景、登場人物、理由などの解析は非常に明白だ。但しフリン自身はこの捜査に対して米憲法第5修正条項の黙秘権を行使している。この黙秘権は答えると本人が起訴されるという事態のみ使える。つまりフリンは偽証に関して有罪だと見てよいだろう。

 

それともう一つ重要な事が8月31日に起きた。司法省のフリン起訴取り下げだが、ワシントンDC地区の連邦判事10名のうち8名がサリバン判事に同調し、フリン起訴取り下げが取り下げになり、刑の決定はサリバン判事の手に戻った。そうなるとその先はトランプによる赦免?という予想がすでに出回っている。この起訴取り下げ要請をする為に、バー司法長官はDC地区の筆頭検察官を騙してクビにし、自分の息のかかった筆頭検事に起訴取り下げをやらさせた。この事もつい一か月前の下院公聴会で問題にされたばかりだった。

 

まず、報告書のフリンの項の最初の部分にはフリンとロシア、次いでトルコとの関係が簡潔に書かれている。ただし、なぜフリンがオバマ大統領に国防省情報長官を罷免され2014年に陸軍から強制的に退役をしいられたのかの事情については全く触れられていない。及川氏がフリンは小説より奇なる人生を送ってきた人だ、とトランプ・ヨイショの動画シリーズで述べていたが、私も同感だ。オバマに罷免される前後から彼の人生は本物のスパイ小説になったという印象を受ける。

 

フリンの方が先かロシアが先かはっきりしないが、オバマとの関係が悪化しつつある頃、フリンはロシアに一本釣りされたのではないか?と思うのは私だけではないだろう。フリンが陸軍を退役させられて即、金一杯の温かい手を差し伸べてくれたのは、他ならないロシアだったからだ。RT(国営ロシアTV)は度々フリンに高額の講演費を払った上、10周年記念大会にフリンをモスクワに招いて講演させ少なくとも475万円という高額な料金を払っている。またその時のモスクワの大宴会ではフリンはプーチンの隣に座るという大光栄に預かってもいるのだ。これは一般米人として例がない超特別待遇。裏に何かあると勘繰らない方がおかしい。その直後フリンはロシア財閥系会社のロビーストにもかかわらず、元国防情報長官という肩書で、中東平和でのロシアと米の協調の重要性についての論説をある有名メディアに掲載した。

 

ロシア軍がウクライナに侵入、クリミア地区を占拠し米をリーダーとする国際社会に制裁を受け、ロシア経済が大打撃を受けたのが2015年だから、フリンは金の為にはかなりやばい事もしなければという見本のような男と言ってもいいだろう。これが33年間勤めあげた年金付の元陸軍中将というのだから米国にとっては情けない話である。

 

その次は2016年8月のトルコだ。オランダの会社を通して約5618万円相当で期間90日の短期契約を結んだが、NYでトルコ大統領の婿をまじえて、エルドアン大統領の政敵を米からトルコに送還させる事を協議。その内のオプションには誘拐計画があった。この協議にはフリンの息子も側近として加わっていた。フリンのしている事は明らかにトルコ政府のロビー活動であるので政府に登録する必要があったが、していなかった。彼はやはり ”The Hill” に元国防省情報長官の肩書で、エルドアンを支援し彼の政敵の送還を主張する論説を書いている。捜査報告に一言触れられているのは、このオランダの会社はロシアの財閥とも関係があるという事である。

 

フリンは2016にトランプ陣営に参加したのだが、この間一貫してロシア側との接触を続けていた。だから、オバマのトランプへの最初の忠告、フリンはロシアに近過ぎる、というのは正しかったと言える。しかも就任前のトランプ陣営ではフリンは事実上ロシア接触のポイントマンにさえなっている。

 

死に際のオバマ政権によるロシア制裁はすでに予告されていた。それに対してロシア側は必ず同程度がそれ以上に報復すると通知。オバマの目的は、トランプとプーチンの間に釘を撃ち込む事、ではないかという説が出ている。トランプ側も制裁に対してかなり神経質になり、何としてもロシアの報復措置を防ぎたかった。その役目を負わされたのがフリンであった。当時のロシア大使とフリンは顔見知りで幾度も連絡を取り合っていたのだが、FBIに盗聴された電話はロシア大使の方がフリンにコンタクトを求めていた、というのが関係者の証言だった。