昨日29日(土）夜、トランプはテキサス州でアリゾナに続く選挙戦応援ラリー（＝大集会）を開催しました。しかし今回の彼の演説は1時間20分そこそこ。これまでのトランプの最小1時間半から２時間や３時間という長さから見ると短縮形です。
カスワードを頻繁に使ったアグレッシブで下卑たトーンのせいで、ヘイトラリーとレッテル貼りされた前回アリゾナとは違い、今回のは全般的に暗く落ち込んでいる印象を受けました。カスワードも数えるほど。
だから内容がフラットで面白みも欠け参加者は退屈模様。そのせいかどうかは知りませんが、観客も途中から去っていったらしいが、これは大コンサートではよくあることなので何とも言えない。本番のパフォーマンス最後近くには観客がすっぽり姿を消すのです。ボヤボヤすると車で会場を出るのが不可能になり車の中に長時間閉じ込められるはめになるのを避けるためです。これ、車社会の不便現象の一つです。
このラリーでトランプは大統領再出馬宣言をするのではないか、と予想されていた。
理由は下の動画です。先週にTicTocでバイラルしたのはトランプのゴルフシーン。その中でトランプは、私は45代だが、47代大統領でもある、と冗談？を言っている。これが主要メディアでちょっとしたニュースになっていた。
トランプは昨日のテキサス・ラリーでもバイデンをボケ大統領（＝Senile President)と呼び、トランプの受けた"メモリーテスト"をバイデンも受けて見ろ、まず通らない、とこき降ろしいる。このメモリーテストが何なのか未だにはっきりしていないけれど、この種のものは一般人は皆パスすることを前提として作られている。だが、自分のように素晴らしい記憶力のある人は珍しい、と医者に褒められた、とトランプの自我自賛は止まらない。
しかしむしろ注目すべきはこの動画の彼のメタボ体形。スーツではなくシャツ姿なので一層目立っているのだろうが、白人男性でここまでの大型なら赤信号。いつ何かが起こってものおかしくない。イスラエルのシャロン元首相(当時86）の例もある。
しかしラリーでは、禁酒禁煙なので200歳まで生きそうだと医者に言われた、とお馴染みのトランプ不死説を披露し勝手にバイデンと比較して有頂天になっていた。こういう医学的認識マイナス老人にコロナ対策を要求するのが無理だったのだ。
しかし何といっても今回の鳴り物入りは、1月６日に議事堂襲撃者に大統領恩赦を与える、と公約したこと。これが本日の大ニュースとなった。下の動画はトランプの大統領恩赦スピーチ。CCで英字幕がでます。
だが、この恩赦発言に至る前の部分の基地外ぶりがひど過ぎる。
まず、トランプは彼自身が起訴されたら、首都ワシントン、NY、アトランタで大規模な抗議集会を起こすよう参加者に呼び掛けたのだ。
起訴は憲法で定められた法的プロセスで、起訴されてもいないのにこれに対して今の時点で1/6のような介入を呼び掛けることはズバリ現行反乱扇動罪ではないですか？
首都ワシントンは国家反逆、NYは反悪徳企業罪（悪質詐欺、悪質脱税）、アトランタはジョージア選挙法違反、でそれぞれトランプに対して犯罪起訴が予想されているのだが、現状ははっきりしていない。
だが裁判の闘いの場は法廷であり、トランプは法廷に多数の連邦判事を送り込んだ。それに最高裁にはトランプ判事の３人がいて彼らがトランプの頼みの綱だった。トランプが無実なら恐れることはないのだ。
トランプが選挙不正裁判で負け続けたのは、法解釈を自分の都合にいいように歪曲しているせいだ。これではトランプ判事達も助けようが無い。自業自得。
ここでの恩赦の表向き理由は、容疑者達が公平に取り扱われていないから、と述べている。しかしこれは、司法長官の、容疑者の起訴は証拠から、と全くかみ合っていない。
このトランプの恩赦発言には彼にとってより重要なもう一つのメッセージがあるようだ。
つい最近、トランプのクーデターに関連した人々、彼の家族と側近、共和党議員グループ、政府高官達、武装民兵メンバー達、が一挙に調査委員会から公式召喚されている。すでに調査委員会に協力した人々が多く出ている事が先週公表されたばかり。調査委員会は今、重要な情報をチラリとリークしながらこれら召喚者に自発的協力を呼び掛けている最中だ。
議会の召喚を拒否すれば犯罪として司法省に通告するというルートが確立していることもあってキング・ピン召喚者にプレッシャーをかけている模様。
最高裁判断でトランプ大統領令は効力失墜。それで次は赦免状を目の前にぶらさげたのだ。
証言拒否で司法省に犯罪起訴され有罪となり一年ぐらい下獄してもトランプが大統領に再選されればすべて赦免という目出度い筋書きだが、召喚者の内の誰がこれをまともに信じるのか？
主要メディアは興味深々である。
