chuka's diary

万国の本の虫よ、団結せよ!

黒人リンチの復活!?その2

2月23日、新築中の空き家に忍び込み窃盗を働いたというので、ジョギング中のアマード・アベリー氏は白人親子が乗り込んだピックアップ・トラックに道を塞がれた。息子の方にショットガンを突き付けられ、彼のショットガンを逆に掴んで格闘状態になり、息子に腹を二度撃たれ射殺された。この事件は一部始終がセルフォンに録画されていた。犯人のマクマイケル親子は”市民による容疑者拘束”という合法行為中に起きた正当防衛であるという理由で警察の逮捕を逃れた。そのまま放免され、事件はこれで終わったように見えた。しかし二カ月後にその録画がその地域の有名人のフェイスブックに掲載、これを視た人は皆、これは一昔前の南部の黒人リンチだ、と思った。

 

この動画がフェイスブックに乗ったのは5月5日、2日後の5月7日には白人親子の逮捕となった。容疑は一級殺人である。

 

それ以後、関連するさまざまな動画が浮上し、毎日のようにTVで報道されてきた。しかし、先週の金曜日5月22日に、セルフォン録画をした男が州特別検事により逮捕された。容疑は違法拘束と殺人である。

 

この容疑者#3は先に逮捕されたマクマイケル親子と同じ住宅区に住み、マクマイケル親子とは明らかに友人同士であった。また殺人現場にかけつけた警察官の事件報告書にはマクマイケル親子と一緒に被害者をトラックで追いかけストップさせようとしたことが書かれていた。

 

報告書PDFはブログの最期に掲載しました。

 

しかし、この容疑者#3ブライアン氏は、カーマイケル親子の逮捕後、TVで弁護士と共に数回記者会見をし、私は単なる通りがかりの第3者、この動画がなければ犯人逮捕は出来なかった、と弁明を重ねていた。逮捕直前には、ウソ発見器をパスした、だから私は無罪、私の一家に対する脅迫をやめて欲しい、と彼の弁護士がTVで全米に嘆願している。

 

まず、ここまでですでに解明したのは、この動画の謎である。この動画をフェイスブックに流すために動画を手渡したのは、マクマイケル親の知人の弁護士だった。

マクマイケル親のグレゴリーは動画の中ではショットガンを手にトラックの荷台上で息子が被害者を殺すのを見ていた。

この事件後あれは親子が殺したという噂が出て、それを正当防衛の証拠として流し、噂を消す目的だったというのが理由だそうだ。この人はあくまで知人で彼らの弁護士はアトランタからの有名な刑事弁護士が担当している。

 

これ、一体どーゆ―事か!全く理解に苦しむ、とこれにはアメリカ市民は驚愕。

 

問題の動画は約37秒である。このわずか37秒間に、マクマイケル親子はトラックが犠牲者アマード・アーベリーを待ち伏せ、マクマイケル息子との格闘、射殺が起こったことになっている。ところが、本物は4分以上だそうだ。アーベリ―氏が新築中の空き家から出てくるシーン、続いてそれを追うマクマイケル親子のトラックによる追跡シーンで構成されている。なお、アーベリ―氏の空き家の出入りのシーンは逮捕直後に公開されている。

これは被害者が窃盗をしたかどうかは別としてもとにかく不法侵入である証拠として流されたようだ。

しかし、ショットガンとマグナム拳銃で武装してトラックで追跡、素手のアーベリ―氏に対する正当防衛は法的に成立しない、というのが弁護士多数の意見でもあることから、ここの警察・検事がおかしい、という事になり、徹底調査が強く要求されている。

 

なお、警察側の報告書では、マクマイケル息子が、話がある、と言った直後にショットガンのつかみ合いが起こっているところから、市民による合法拘束をアーベリ―氏に宣言するすることはあの状況下では不可能だった。

 

この事故報告を出した地元警察側は、今になって、逮捕しようとしたが、州検事からするなという指令を受けた、と声明を出している。それに対して州検事は、嘘だ、警察側を起訴する、と息巻いている。この人がマクマイケル親を資格剥奪にもかかわらず長年に渡り雇用し、最後は彼を年金付でリタイヤさせてやった親切な女性検事。

 

彼女はラジオで、マクマイケル親のボスであった関係で事件担当を辞し、何の指図も与えていない、とジョージア訛りの英語できつく反論していた。

 

ところで#3の逮捕前には、もっと問題になるセルフォンのメッセージが浮上した。それは警察官から空き家のオーナーに送られたものだ。この新築中の空き家のオーナーは去年の暮れに空き家の中に入っている白人カップルの動画を警察に送ったのだが、引退した州検事の捜査官だったマクマイケル氏がすぐ近くに住んでいるので、彼に連絡するように、という警察官のメッセージが入っていた。このメッセージを読んだ多くの人は、この事件は警察に責任がある、と考えている。

この空き家のオーナーであるが、何かうさんくさい。

 

州検事はこれ以上の逮捕者はもう出ない、と宣言したが、まだ点と線はすべてつながっていない。いずれ裁判で明らかになるだろうが。ここでも有罪or無罪を決めるのは市民で構成される裁判員である。この裁判がTVで公開されるのはほぼ確実だ。

 

なお、血まみれで路上に横たわる事件直後のアーベリ―氏の写真がSNSでマクマイケル親子の娘によって流されたことが発覚。これも人々の憤慨を買った。

 

https://assets.documentcloud.org/documents/6884018/Glynn-County-Arbery-Report.pdf