chuka's diary

万国の本の虫よ、団結せよ!

ウィスコンシン黒人銃撃事件大騒動

このところ米では11月の大統領選に関連する重要ニュース続きで息つくひまがない。もし、最後のトランプのしかける"オクトーバー・サプライズ"までこの調子なら米は大混乱に陥るだろう。

で、今回の大事件は23日の夕方、共和党大会開催の前日、ウィスコンシン州の地方都市、ケノーシャで起きた白人警官による黒人射撃事件だ。被害者は29歳のジェイコブ・ブレイク(Jacob Blake)。

 

至近距離から背中へ7発もぶち込まれ、何とか一命を取り留めたが、脊椎損傷で一生半身不随だそうだ。それが現時点での公表であるが、下腹部損傷で、結腸、大腸の大部分を切除、という報道が流れていることからすると、この若者は、回復後は人口肛門(腸上の穴)で排便、尿はカテーテルからという次第。当然性的インターコース不能、車椅子生活を余儀なくされる。その上、車椅子ズレ悪化やカテーテル使用からの感染症リスクに常に晒されるということになる。同様の運命に陥った人の中には命が助かって有難たいと言えない者もいる。私としては医療の進歩を祈るばかりだ。

 

当然このクラシック・モデルの如き"白人警官による黒人青年射撃事件"はたちまち全米にバイラル。主要都市でも" Black Lives Mtter"(=BLM)というスローガンの下で再びデモのツナミが押し寄せている。しかも今回はNBAまでもが予定試合を一時停止した。

 

しかし25日、いや26日の早朝、地元ケノーシャでトランプ・カルトに洗脳された17歳の白人少年が、戦闘用ライフルを持ってデモ隊の中に突入、2人を射殺、一人に重傷を負わせた上に警察側に投降。それが事態をさらに悪化させた。

トランプはウィスコンシンの知事の要請で、これまで非難の対象となっている武装連邦警察官をケノーシャに派遣すると発表した。

 

このこじれにこじれそうな事件、最初から問題があった。事件の発祥地は典型的な田舎町。田舎と都市ではこれが同じ国か、というくらいサブカルに違いがある。

 

何しろこれまで警察官が起訴された事はない、というような田舎なのだ。捜査ももたもたで、有名になった射撃シーンのみでも容疑者の白人警官はすでに逮捕されてしかるべきなのに、一か月以内に、と規則を盾に取って腰を上げない。しかも、公正な捜査を、という理由で司法省捜査を依頼した。

こうしている間にも人種差別騒動は拡大するばかりだ。この市の捜査当局がこういう状態だから、事件の詳細は未だにぼんやりで様々な噂がSNSから流れてくる。

これまで被害者側はBLMをひたすら強調するばかりだったのだが、背景がかなり漏れてきた。どうやら被害者はDV男だったらしい。ケノーシャではDVで7月7日に逮捕状まで出ていたので、所轄の警察署内では知る人ぞ知る存在だったのではないか、という憶測も出ている。彼の裁判所からの逮捕命令はすでにネットで一般公開である。私も読んだ。

 

さて下の動画はWSJことウォールストリート・ジャーナルによるものです。今日掲載されました。

 

*まず、冒頭はこの事件に呼応する加州オークランド市のデモ。放火が出た。

 

*次は地元ケノーシャ、解散時刻午後7時を過ぎても群衆は去らない。

 

*被害者ブレイク氏が射撃直後に救急車で運ばれるシーン。

 

*州検察長官の報告発表。容疑者は車内にナイフを所有、というのだが、至近距離で背後から7発撃つ、という言い訳には全然ならない。ただひたすら捜査中だそうだ。

*共和党知事の要請で州兵500人派遣。

*トランプ系民兵も攻撃用ライフルで武装し街路に出兵。

 

*攻撃用ライフルを抱えデモの中を走り抜ける17歳の少年、邪魔した黒人は容赦なく射殺。

*すぐに装甲車に向かい両手を挙げ投降。腰には攻撃用ライフルがぶらぶらと。しかし少年はそのまま釈放され、翌日イリノイ州の自分の家で逮捕。

 

一体どうなってるねん!

 

https://www.youtube.com/watch?v=QXs3uuF4Wxs
Jacob Blake Shooting: Protests Spread to Other Cities | WSJ

 

この事件、テニスの大阪ナオミ選手も全米オープンに抗議の手紙を送り、準決勝戦をボイコットしている。おかげで日本でも有名になりました。米でも主要メディアに取り上げられていました。