chuka's diary

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下院のグラウンドホッグ・デー!?

来る2月2日はグラウンドホッグ・デー。この日、冬眠から覚めたグラウンドホッグ(リス科の哺乳類だが無知な私達はモグラと解している)が地中から出てくると言われている。ペンシルべニア・ダッチと呼ばれたドイツ系移民の多かったペンシルべニア州がこの行事の本場として知られているが、実際にこの日が米に広まったのは、あの映画 "グラウンドホッグ・デー" のせいだ、と私は思っている。

私も当時この大ヒット映画を見たその他大勢の一人でした。時は1993年。日本語の題名は "恋はデジャ・ヴ" だった。全く初耳です。

 

下の動画はこのなつかし映画のトレイラーですが、当時としては非常に奇抜なものでした。主演したのは大コメディアン、ビル・マーレーに美人名女優アンディ・マクダウエル。それとベテラン脇役となつかしさで一杯。

この映画、何しろきっかり朝6時に起きてからは同じシーンの繰り返し。しかし映画の中では回ごとにシーンが変わっていく。それは主人公がグラウンドホッグデーを毎回繰り返していることに気付いたからだ。映画の結末は全く記憶にないけれど、確かハッピーエンディングだったような。

ところでなぜこの映画かというと、2月2日を前に下院が往年の大ヒット映画 の "グラウンドホッグ・デー" になった、とフェイクニュースが大騒ぎしたからだ。結構見た人が多いらしくて驚いた。

 

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米国の下院は今週の火曜に去年11月の中間選挙に当選した議員達でスタート。多数党の共和党がマッカーシー議員を議長に選出する予定だったが、トランピアン議員達20名に反対され過半数である218票を獲得できなかった。"ネバー・マッカーシー" がトランプに絶対忠誠を誓う下院議員組の合言葉となった。

 

共和党内で4人反対者が出ればマッカーシーは過半数を獲得できない。金曜日まで延べ14回投票を繰り返し、トランピアん議員達と交渉と重ね、14回で打ち止めにしよう、ということろまで行った。しかし、土壇場で、トランピアン議員の中心人物、マット・ゲーツ議員が、"ネバー・マッカーシー" をドタキャン。その日の集会閉会宣言をしようとした矢先に、マッカーシー議員自らが閉会賛成を取り消し数人がそれに続き、再投票となった。時に最後の15回目の投票は今日1月7日の早朝夜中過ぎ。それまでマット・ゲーツは、名前を呼ばれる都度、"ドナルド" や "トランプ大統領" に入れ、14回目の投票は、"Present"(=出席してます) に投票だ。ゲーツの予想外のドタキャンでマッカーシーは議長になれた。

 

トランピアン下院議員達は2年前のちょうど昨日起こったあの1月6日トランプ・クーデター失敗の直後、トランプは辞任すべきだ、と演説したマッカーシーを油断のならない裏切り者と見ている。この下院のトランプ忠誠組にはトランプのクーデターに直接加担したと見られる4人の現下院議員が含まれている。

 

議長選で最後にドタキャンしたマット・ゲーツ(フロリダ選出)議員はその4人組の一人です。この4人はクーデター失敗後、大統領赦免をトランプに願い出ていた。とんでもない逆賊議員達だ。彼らの目的は明らかだ。この先の2年間、下院はトランピアン議員による混乱とカオスの中、バイデン政権からの議案はことごとく妨害されることが早くも予想されている。

今年の大型予算は通ったが、今年末には2024年度予算がブロックされ政府機関の全面閉鎖がすでに口に上っている。バイデン政権も米市民もこれをもう見越している。が、その前に司法省は職務を果たすべきだ。つまり無法大統領トランプの逮捕及び起訴がなされねばならない。

 

公表された1/6議事堂襲撃下院調査委員会の公式レポートでは、トランプは選挙前から何がなんでも再選されたと信じ込んでいる狂気の大統領として描かれている。このレポートはへたな小説を読むより面白い。本文(全8章)の量は300ページだが読書好きの人にはたいしたことはないだろうが、なにしろ膨大な数の証言の集大成なので登場人物が多過ぎるのが難だ。

 

マッカーシーは宣誓後の就任演説で共和党の創始者リンカンを強調し、今日の悪化する治安対策として犯罪者の捕捉を強調していたが、これなどは全くの噴飯もの。真っ先に逮捕されなければならないのは、クーデターの首謀者トランプとクーデターを手引きしたゲーツなどの手下の下院議員達だ。

もう一つ興味深いのはこの演説でマッカーシーは多人種の国として人種差別を超えることを強調した。これなど白人優勢主義に立つトランプとトランピアン議員連には相いれないしろもの。もちろん、マッカーシーはこれからトランプの意向通りに行動はするだろうが、この先どのような混乱が待ち受けているのか、先は闇だ。この勝負はバイデン政権の強さにかかっている。