chuka's diary

万国の本の虫よ、団結せよ!

トランプvs.ブラッグ:トランプ追及の鬼検事ポメランツが登場!?

4月11日(月)にNY州マンハッタン地区検事アルヴィン・ブラッグが下院司法委員会議長ジム・ジョーダンを相手取って下院司法委員会への召喚を停止する請求をNY州連邦裁判所に提出した。これは前々回のブログに書いた通り。

 

この訴訟理由は憲法で規定されている連邦と州の権限の分離に従わず、現在進行中のトランプ捜査及び裁判過程を妨害、という2点。訴訟文書にはジョーダンに4月21日に召喚された元NY州検事ポメランツの名が指摘されていた。

ポメランツ氏は現在は民間弁護士。だから議会に召喚されると仕事が忙しいからと言って断るのことは許されない。いわば私達一般市民が陪審員として召喚されるのと同じです。これは市民の義務ですが、正当な理由の無い欠席は懲罰の対象となる。

 

この訴訟、4月19日(水)にNY連邦地裁判事により判断が出された。連邦判事は名指しでポメランツ元検事に下院による召喚に出席するように要請。召喚停止命令については、下院(立法)の召喚が立法関連であることを認め判事(司法)は介入しないことを示した。NY州裁判過程の妨害の恐れに関してはポメランツ元検事に答えを拒否することを許可、ジョーダン、ブラッグ両者が話し合うよう要請した。

 

上の判断を示したピスコシル判事はトランプが任命した判事だが、判決書の内容がトランピアンだと評判になった。というのは、ジョーダン側が念頭に置いている新法というのは、前大統領トランプの起訴禁止、だそうで、最初から違憲だ。しかも、ポメランツに召喚に応じることを命じた理由として、誰も法を超えることはできない(=No one is above  the law)と一見場違いなセリフを挿入していた。

 

考え方があのフロリダ機密文書大騒動の渦中にいたトランピアンのキャノン判事に似ている。読んでいて何とも気味が悪い。

マンハッタン地区州検事ブラッグの方は翌4月20日に控訴裁判所に一時的召喚停止願いを出し受け入れられた。だが、4月21日(金)にジョーダン側と和解し、ポメランツ元検事は来月5月12日非公開の召喚に応じることになった。

 

下の動画はポメランツ氏が今年の2月に出演した”60minutes"というインタビュー番組から。

 

なぜTVインタビューかというと、彼はその時、"People vs. Donald Trump" という本を出したからだ。本の題名は、トランプが犯罪容疑者として起訴された時検察側が用意する起訴状に書かれるタイトルからきている。このタイトルの示す通り、ポメランツ元検事はトランプを起訴したかった。

 

ポメランツ氏は長年に渡り連邦検事としてNYのマフィアを相手に戦ってきたベテラン検察官。引退していたにも関わらず、トランプ起訴準備の為に前任のNY地区検事サイラス・バンスに顧問に任命された。ポメランツ氏は無給で一年間捜査にあたった。これこそ本当の社会奉仕だ。そこで彼が得た結論は、トランプは彼所有の企業を犯罪組織化し運営しているということだった。つまり彼にとってトランプはマフィアのボスと同じこと。

 

ところが去年の一月に州検事に就任したアルヴィン・ブラッグは、トランプ起訴を無期延期と表向き公表。その際ブラッグはポメランツに、君の飛行機はまだ離陸準備ができていないんだよ、と言ったそうだ。だがポメランツは、飛行機は他の飛行場からもう飛び立った、と厳しく反撥。

他の飛行場からとはNY州検事レティシア・ジェームズによるトランプオーガニゼーションに対する悪徳企業起訴を指していた。こちらは民事損害賠償だが、ジェームズが勝てばトランプ及びその子達はNY州内でビジネス活動が著しく制約されるので、結果的にはNYからの追放と同じ。

その直後にポメランツは同じ立場にいた同僚と共にブラッグに辞職を叩きつけた。それからかっきり一年後には上記のタイトルの本を出版。結果的にはトランプを犯罪起訴しなかったアルヴィン・ブラッグをクソみそにしてしまった。

しかし彼がジム・ジョーダンのターゲットになった時以来、ブラッグの指示に従っている。

 

一方のジム・ジョーダンはといえば、もうトランプの忠臣そのもの。これは茶化しではない。ジョーダンの名でポメランツへの召喚状がネットで公開されている。読むとこの人のアタマはカルトだ。

ジョーダンは、トランプは何も違法行為をしていない、従ってアルヴィン・ブラッグの起訴はトランプの大統領再選出馬を妨害する目的でただただ政治的、と主張している。彼が議長の司法委員会ではブラッグの政治的意図を暴露し犯罪起訴する、とまで述べている。

 

前大統領に対するNY州の起訴事件をなぜ今の下院議会の司法委員会で取り上げなければならないのか。時間と税金の無駄だ。

 

またこの召喚状で大きく取り上げているのは、あのマイケル・コーエンはウソツキで証人の資格なし、というトランプの宣伝だ。これも教主トランプ様の口真似でしかない。コーエンがウソツキかどうかは、実際の裁判で陪審員に判断されるべきだ。

 

下の動画で、ポメランツは、犯罪証拠はトランプオーガニゼーションの帳簿記録にあり、コーエンではない、と断言。

 

例えば、トランプの居城、マーラーゴ・ゴルフコース&ホテルは、2018年の銀行及び世間向けの財政公表では、$739M(約990億円相当)だがNY州の市場価格査定によると$75M(約100.5億円相当)だった。

別の例では、トランプは2012年にフロリダで他のゴルフコースを約5.4億円で買収したが7か月後には約83億円相当と公表。しかし連邦国税局に税金が高すぎると訴訟を起こした。トランプは過去10年以上も連邦税を払っていない。

 

トランプオーガニゼーションの財政記録は著名な会計事務所の名のもとで公表されていたのだが、去年その会計事務所はトランプ氏のいうまま数字を記入していた、と自白しトランプと縁を切った。トランプオーガニゼーションはトランプの個人所有物だからビジネス会計規則に従わなくてもいいが、税金申告は税法に、銀行ローンには会計規則に従った財政記録が法的に必須だ。トランプオーガニゼーションの帳簿記録だけでトランプのビジネスはRICO(=Racketeer Influenced and Corrupt Organization Act)に該当する悪徳企業で、この運営主トランプこそ犯罪起訴に値する、というのがポメランツの本の要旨だ。

 

とんでもない人を証人に呼んだ、という声があちこちから上がっているのも事実です。

 

www.youtube.com

https://www.youtube.com/watch?v=hAT3nw6YSj4