つい最近、”レ・バンリュー"(=les banleues)=パリ近郊のゲットー、で起こった北アフリカ系フランス人少年を警察官が射殺した事件でパリでデモ隊が暴徒化した。それがあっという間にフランスの各市街に拡散です。特にフランス系の日本人向けのユーチューバー達は口を揃えて、フランスは内戦状態でフランス渡航を控えるように、と叫んでいるわけです。
その彼らにとっては今が絶好の稼ぎ時でしょうが、フランスにとってはこの騒乱は大損害以外に何ものでもない。理由はバカでもわかる。フランス全土はすでにバカンス(夏休み)に突入。
7月はいわば最盛期で観光立国のフランスはこの収益無しには生きていけない。それが今回でオジャンに!まるでコロナ再来です。
『おフランスよ、永遠に』という思いで、なつかしのシャンソンのフランス語をひねくり回している日本人にはバッドニュースがあります。
今やフランスの共通語は英語です。
おフランスというよりEUでの一般的共通現象です。金もユーロだから当然共通語が必要なのです。
パリではフランス語はいらない。レストランや店では誰かが英語で応対してくれるのです。これで喜んだのは、拙愚娘と愚孫。それまでこの人達のフランス語は全く通じなかったのでがっくり落胆。だから、下手なフランス語はやめなさい、英語が通じるんだから、と言ったとたんに、もう有頂天。それ以来英語一点張りです。それに英語で話しかけるとフランス側も喜んで応対してくれる。
こういう拙者が最初に話せた外国語は、実はフランス語でした。それも大学のドームで友達になったフランス語を話す旧植民地の移民学生からの聞き覚えでした。その当時のフランスは、もちろんフランス語一点張り。これを変えたのは移民だ、というのは果たして拙者の独断と偏見でしょうか?
パリのメトロの乗客の少なくとも半数はフランス人ではない外国人系。耳に入ってくる言葉もスペイン、英語、アラブ語と多様です。私達が滞在したのも、今や中国・ベトナム系地区と呼ばれている街でしたが、何処へ行っても圧倒的なのはアラブ系。
下は1998年にフランスで爆発的にヒットした" Ya Rayah"(=ヤラヤ) , 通称『移民の唄』です。当時歌ったのは、ラシッド・タハという十歳でフランスにやってきたアルジェリア移民の青年だった。しかし彼のはカバーで元歌はアルジェリアからです。フランスでこの歌知らない人いないです。ラシッド・タハは亡くなりましたが、この歌は今やヨーロッパとアラブの国民歌謡となっている。
それを今になって移民が悪い!
笑ってしまう。
>下は拙訳
旅行者さん、何処へ行くんだ?
その内疲れ果てて帰ってくるよ
どれだけ多くの者が自分の無知を後悔したことか
私達やあんた達の前にね
どれだけの人口過剰国や空き地が生じた国を見たことがあるというのか?
どれだけの時間をこれまで無駄にしたのか?
どれだけの時間をこの先も無駄にするつもりか?
よう、旅行者さん、あんたらは他人の国で、
一体自分がどうなるのか分かっているのか?
運命と時まかせだよ。
だがそんなことは無視だ。
なぜあんたの心は悲しい、
なぜあんたは不幸せなのか?
苦労の日々は終わり、習うのも成し遂げるのも終わる。
その時には、あんたも私も若さの終わり。
あんたは気の毒にもチャンスを失ったが、それは私も同じこと
よー、旅行者さん、私の忠告に従いなさい
売り買いする前に何が利益になるのか考えなさい
あんたの話はみんな知ってる
あんたに起こったことは私達にも起こったことだ
私達の心は創造主である最高の神に戻る
地中海に橋があったら移民は渡ってくる、というのが原則。今回の騒動を移民のせいにするのは全く政治的か無知。事実は私達も皆移民の末裔です。私達の祖先、クロマニヨン人はアフリカから全世界に散らばった。しかし、先住民のネアンデルタール人を絶滅させたと最近非難が高まっている。移民は私達のDNAなのです。
フランスがこの先、元の"おフランス"に戻るのはまず無理です。
日本の"おフランス様"系にはまことに😢ご愁傷様です。